2つの月~ヒズナへ~
主人公視点
俺が傍に行くまで、カレンは茫然と立ち尽くしていた。どうして、こんなことになってしまったのだろう。何度も俺は、出ない答えを探し続ける。
「――アラン。すまない助かった」
誰も悪くなんかない。
誰にも責任なんてないはずなのに、俺には素直にそう思うことが出来なかった。(俺だけは、ゲームのときを知っている)
重たくのし掛かる。
「レンフォードさんは――」
俺を守ってくれたんだって、最後までちゃんと自分の言葉で伝えたい。でも涙と嗚咽で崩れ落ちて、最後まで伝えることが出来なかった。失われた命の重みで、動けなかったんだ。
気付くと俺は、カレンに手を取られ抱き起こされ、そのまま肩を預けて情けなく仲間の元へ戻る。
「あの刹那に間に合いたかった」
重い足取りの中で、カレンの悔しそうな声だけが静かに残った。
レンフォードを通り過ぎ、クーシュのところまで行くと、カレンが俺の背中をそっと押してくれた。クーシュも捨てられた子猫のように、砂に力無く倒れて動かない。
俺はそっと、クーシュを抱きかかえる。
クーシュの腕も足もすごく細くて、そして、魔力欠乏症ですげぇ冷たかった。(すごく、無理させたんだよな)ゲームだった頃は、魔力を使い切るとペナルティーで行動制限ステータスが付くだけだったのに現実で見るクーシュの痛々しいまでの衰弱に俺は心を痛めた。
「アラン、ヒズナへ急ごう次の敵はどうにもできない」
カレンもレンフォードを背負っていた。俺は、クーシュが早く元気になるように(なんでこんなことしたのかわからない)クーシュの頬に魔力を注ぐイメージで唇をあてた。
ヒズナに向かうそんな途中、クーシュの足がぱたぱたと揺れる。俺達がヒズナに着いたのは、2つの月が夜を照らす幻想的な荒地での初めての夜のことであった。




