ミニ人物紹介(1401 ハルマゲドン(57) ~ 1450 ハルマゲドン(106))
改稿作業がサブタイトル1450まで来ましたので、二十九回目のミニ人物紹介を入れます。
また、登場人物の所属はこのパートでのものになります。
尚、ここまでのネタバレがありますので、ご注意ください。
これが最後のミニ人物紹介となります。
ありがとうございました。
【中原】
この物語の舞台となる世界。
別名を『豊穣神の箱庭』というように、肥沃な穀倉地帯。
西の端はスカンポ河、北はベルギス大山脈、東はガルム大森林、南はアルアリ大湿原に囲まれている。
大湿原の南側にあるスーサス山脈のさらに南に沿海諸国がある。
スカンポ河の西側には辺境が広がっている。
中原は、乾燥した西部と湿潤な東部、肥沃な北部と痩せ地の南部、という二つの軸によって、西北・西南・東北・東南の四つの地域にわけることができる。
【魔道について】
中原には魔道という技術体系が存在する。
人間が本来持っている理気力を使うものとされている。
また、マオール帝国には、独自に発達した東方魔道がある。
波動:掌からロゴスを放出し、相手に衝撃を与える。
発火:指先を口元に当て、息を吹きかけることで火を出す。
隠形:周囲の色彩に溶け込み、姿を消す技。上級者になると、微かな気配すら感じさせない。
浮身:文字どおり身体を浮かせる技であるが、垂直水平の移動だけでなく、所謂飛行までを含む。
跳躍:瞬間移動。但し、大きな距離を移動すると航跡が残るため、中継点を取って、ジグザクに進むことが多いため、時間がかかる場合がある。
転送:人や物を瞬間移動させる。
結界:一定の区域内を進入禁止にしたり、中の話し声が外に聞こえないようにする。
時渡り:時間移動。但し、禁じられている。
隔力:空間的に離れた相手を掴んだり、物を持ち上げたりできる。
鬼火:指先に炎を出して周囲を照らす。上級者になると、指先から離して移動させることもできる。
言霊縛り:言葉の暗示により、相手の行動に制限を掛ける技。技を掛けた人間が解除しない限り、無効にすることはできない。
潜時術:サンジェルマヌスが得意とする術で、時の狭間に潜り、自由に活動できる。
但し、上下左右が閉鎖された場所でしか使えない。
尚、ここでの出来事は、術を掛けている本人以外、記憶に残らない。
識閾下の回廊:上記と同じくサンジェルマヌスが得意とする。別名『夢の通い路』。通常と異なる次元の通路となっており、精神だけが移動できる。
仮死術:大きな怪我などで動けない時、生命活動を極端に低下させ、仮死状態で仲間の救出を待つ技。
但し、予め復活を設定して置かないと、本当に死んでしまう。
幻術:暗示により、他人を操る技。効果を高めるために、魔香などを使う場合もある。
呪詛返し:幻術などが効かないアールヴ族は、それ以上の力で相手に同じ技を掛けることができる。
幻影:周りの人間に自分の分身などを見せる技。高度な術者は、幻影に簡単な受け答えを喋らせたりもできる。
消魔草:本来は若返りの妙薬とされる薬草だが、魔道を使える者に煎じて飲ませると、数日間魔道の力を奪うことができる。
虚空眼:魔道屋スルージの得意技。空間の歪を感知して、時間が経ったリープの航跡を追える。
魔種:東方魔道に特有の技。頭頂部にこの種を植え込まれると、術者の操り人形となり、最後は廃人となって死ぬ。
物品引き寄せ:離れた物体を手元に引き寄せる技。
魔道糸:主に盗聴に使われる極細の糸。
魔縄:生きているかのように相手に絡みついて離れない。
【失われた種族】
太古、中原に高度な文明を築いていた共通祖先(ノシス族?)に、天からの災厄が襲い、生き残った人々は南の大海にあったダフィニア島に移住し、普通の人間より寿命が長く、特殊な能力を持つ十の種族となった。
その間、徐々に中原にも人が住めるようになり、周辺地域から流入したが、原始的な生活のままであった。
二千年前、一夜にしてダフィニア島が海中に没し、十種族の大部分は対岸の沿海諸国に渡り、中原にも広がった。
一般的にはこれ以降の十種族のことを、失われた種族と云う。
尚、混血が進む程普通の人間に近くなる。
両性族:寿命数百年。両性具有で、一人の身体に男女両方の人格を持つ。
尚、女性形の方が魔道の力が強い。
長命族:寿命三千年。見た目は普通の人間と変わらないが、様々な能力を持つ。
但し、孤立を好むため、人間との混血は少ない。
妖精族:寿命千年。サラサラの直毛、先の尖った耳などの特徴を持つ。
人懐こく、一番人間との混血が進んでいる。
主知族:太古の時代、中原を支配していたという。
自分たちが失われた種族全ての共通の先祖であると主張している。
アルゴドラスに弾圧され、廃都ヤナンの地下に取り残されて赤目族になったという。⇒赤目族を参照。
妖蛇族:寿命二千年。大蛇に変身する。
霊癒族:寿命は人間とあまり変わらない。別名、医の民。癒しができ、薬草等の知識もある。
魔族:ダフィニア島の海没の際、絶滅したと思われていた。
睡魔族:両目から強力な睡眠効果のある光線を発生させ、敵を眠らせることができる。
仙人族:遥かな昔、ノシス族から分かれたと云われている。ノシス族は論理によって未来を予測するが、リシ族は超感覚的に未来を視るという。
半獣族:額に短い二本の角があり、その角で危険を察知する。
【魔道神の三種の利器】
古代ノシス族が持っていたとされる超文明の道具のようなもの。
機械魔神:巨人のような機械。
口から火を噴き、目から熱光線を出す。
干渉機:後の『アルゴドラスの聖剣』。
有翼獣神:実際に見た者はいない。ゾイアのことであるらしい。
【出身国不明】
ゾイア:本編の主人公。天空から飛来した光の球体が、タロスと合体したことにより、この世界に登場した。
超絶的な剣の技を持ち、獣人や鳥人に変身する。
通称、獣人将軍。
変身能力も徐々に高度化しつつあるが、心理的なショックがきっかけとなり、最初の光の球体に戻ること(=初期化)がある。
かつてサンジェルマヌスがタロスに施していた識閾下の回廊も、最初の合体の際に転写されていた。
また、この回廊でウルス・ウルスラと繋がった際、相互の入れ替わりにより、魔道や癒しを使えるようになった。
現在はバロードの参謀総長。
海月の毒に弱かったが、黄金城に治してもらった。
因みに、バルルやドゥルブは、ゾイアはAE=人工実存であると云う。
アーズラム帝国の膨張は中原の平和を脅かすと考え、ウルス・ウルスラを説得し、ギルマンへの援軍を出すことを決定。これが、第二次セガ戦役の発端となる。
双方の犠牲を最小限に留めるため、第二次セガ戦役の終結を痛み分けの形にして兵を退いた。
ガルマニア中央部にある牢獄島で謎の漂着者と出会い、その一部を体内に取り込んだまま過去へ行ったりしたが、結果的にその一部は残ったままとなった。
マオロン軍団との戦いでは体内の謎の漂着者に救われたが、その後かれらが暴走し、ゾイアの機能に異常を来し、少年の形態となって記憶を失い、サナト族の隠れ里で治療を受けながら働いていた。
ウルスラの異母妹レイチェルに頼まれ、ガルマニアの婚礼に出席するウルスラを護るため、ギータと共に隠れ里を出た。
その後も心が安定せず、感情が昂るとすぐに狼の姿に変身してしまう。
十歳ぐらいの少年の姿で、帰国の途についたウルスラたちに同行していたが、ジェルマと再会すると五歳児のようになり、マオールでは二十代の青年となり、更に十代の少女と目まぐるしく変身を繰り返した。
『識閾下の回廊』を通じてウルスラの心が移動して来て身体を預かり、、ゾイア本人の心は休眠状態になった。
更にその後、誘拐されたウルスの心と入れ替わり、現在は見かけ上ウルスとなっているが、本人の心は『識閾下の回廊』のどこかを彷徨っていた。
過去世の記憶の中で、無限循環に陥っていたゾイアを、『識閾下の回廊』に入り込んで迷子になっていたジェルマが救い出し、本来のゾイアに戻った。
現在、この世界の滅亡を防ぐため、一時的に宿敵ドーラと協力している。
ナターシャ:ウルスラと同じ限りなく灰色に近い薄いブルーの瞳をした女性。
異世界の戦場で、ジェルマとアイゾーを救けた。
その後、内戦に巻き込まれ、アイゾーを護るために死亡。
アイゾー:一見マオール人のような顔で黒い瞳をしているが、時々アクアマリンの瞳に見える。
宇宙開発公社に献体することを申し込んだ。死後、人工実存(AE)になるという。
シンゴ:アイゾーとナターシャの息子。宇宙飛行士を目指したが、事故で死亡。
【バロード連合王国】
古代バロード聖王国の子孫が建てた国。王都バロン。
ガルマニア帝国支配下の自治領から独立し、共和国となったが、カルス王の復帰によって、王政復古した。
赤ん坊のレウスが形式上の聖王となったが、生母レナと共にガルマニア帝国に亡命し、一旦空位となった。
現在は、ウルス王子・ウルスラ王女が政権を奪還し、新体制に移行した。
ウルス:新王。両性族。男性形(弟)。ウルスラと同じ肉体を共有。現在十四歳。
カルボン卿の謀叛の際、タロスと共に国外へ逃亡し、放浪の王子となった。
サンジェルマヌスの識閾下の回廊で、ゾイア、タロスと複雑に心と身体が入れ替わったが、クジュケたちの協力で元に戻り、ゲティスベルクで行われた父の葬儀では、名演説を行った。
姉ウルスラが白魔を中和する役目を果たすため、ゾイアの身体を借りて国内に残ったが、偶々入れ替わってしまい、結果的にウルスがその役目を果たす。
また、王都バロンで大蜥蜴が暴れた際、冷気を吹く魔道によって冬眠させた。
漸くバロード連合王国が安定し、姉と共に戴冠した。
農業や畜産に興味と才能がある。
姉に代わってゾイアの身体を預かり、ンザビに聖水を撒いて絶滅させたが、過労で河に落ち、目醒めると自分の身体に戻っていた。
ウルスラ:新女王。両性族。女性形(姉)。ウルスと同じ肉体を共有。魔道が使える。
生後まもなくウルスラの存在を知った両親は、それを隠し、本人が物心ついてからも、表面に出ないように命じていた。
凡庸な弟に比べ、利発で大人びているが、やや感情的なところがある。
誇り高く、母国を救いたいと、女王として即位することを望んでいた。
父カルスの死去の際、偶々ゾイアと身体が入れ替わっていたため、母ウィナの姿となって最期を見届けた。
大怪我をした老師ケロニウスを救うため、ゾイアの言葉をヒントに、癒しの力を身に着けた。
弟ウルスと共同統治することを望み、女王となった。
ガルマニア合州国の婚礼出席のため、密かにギルマンへ行き、長年蟠りのあった蛮族との宥和へ一歩を踏み出し、代表のローラとの間に友情が芽生えた。
その政治信条は『お互いの多様性を認め合った上での共存共栄』である。
ゾイアの身体から本来の肉体に戻り、ドゥルブとの最終決戦に臨んでいる。
クジュケ:元魔道師。共和国の外交担当参与であったが、王政復古により国外へ逃れ、ニノフの参謀的な立場になった。
その後、逃亡中のゲルヌ皇子と共にいたが、ウルス・ウルスラの許に戻った。
現在は、連合王国の統領。
アールヴ族サンサルスの曽孫に当たる。
タロス:ウルスとウルスラの元従者。
最初のゾイアとの合体で記憶を失い、ティルスとして暮らしていたが、記憶が戻り、逆にティルスの記憶を失った。
サイカ包囲戦でゾイアと再度合体し、またティルスとなった。
その後、ティルスの親友ベゼルの死で、タロスに戻った。
ゾイアがドーラに身体を乗っ取られた際には、ゾイアの心が逃げ込んで来て、ウルスラたちも含めて複雑に心と身体が入れ替わってしまったこともある。
現在は陸軍大臣。
ガルマニア合州国の婚礼に出席するウルス/ウルスラに同行していたが、警護兵千名を率いて帰国。
ウルス・ウルスラとは『識閾下の回廊』を通じて繋がっていたが、そこを魔女ドーラに利用され、肉体を乗っ取られてしまった。
更に、ドーラと仲たがいしたアルゴドラスに身体を奪われたが、ゾイア復活に伴って自分の身体に戻った。
ツイム:マリシ将軍の部下であった。カリオテの出身。元海賊。マリシに命じられウルス・ウルスラに同行して旅に出た。
ゾイアと共に、ヤナンで義勇軍を率いて戦った。
現在は海軍大臣。
ロック:元コソ泥。カリオテの出身。幼い頃、ツイムに生命を救われた。
ゾイア、ツイムと共に義勇軍を率いていたが、ピリカを助けようとメギラ族の族長ギルガと戦い、辛くも勝利した。
現在は情報軍将軍。
第二次セガ戦役に参戦中に怪我を負い、そこから感染症となって苦しんだが、『隠れ里』で治療を受け、奇蹟的に回復した。
シャンロウ:小太りの東方魔道師。他のマオール人と違い、被征服民族の南人。
ゲルヌ皇子を誘拐する際、上司のタンリンに捨てられ、ゾイアたちの味方になる。
現在はクジュケの秘書官。
ラミアン:父はカルス王の身代わりとなって死んだ秘書官ラクトス。
クジュケも認めるほどの外交の才能があり、シャンロウと共に秘書官に抜擢された。
但し、世間知らずなところがあり、他人の気持ちを忖度しない。
ウルス/ウルスラの帰国に同行中、一時攫われたが、その犯人は、幼い頃に誘拐されて行方不明になっていた兄ロメルであった。
ウルスを護るため、腐死者化したノスフェルに噛まれ、生命の危機に陥ったが、ゾイアの身体を預るウルスラが投与した薬で一命を取り留めた。
現在は、ドゥルブと結託したドーラを監視するため、共に古代神殿本殿に乗り込んで北の大海へ飛んだ。
スルージ:正規の教育を受けていないが、魔道師同様に魔道を使える魔道屋。
金のためにはどんな仕事でも引き受けるが、業界での信用は高い。
実は、老師ケロニウスの養子であったが、若い頃に家出してしまったという。
養父ケロニウスと和解できないまま先立たれたことを後悔している。
幽閉中のハリスを救出すべく、ファーンと共にガルマニア中央部の牢獄島に潜入した。
ゾイアたちの力で無事ハリスを救出し、帰りたがらないヨルムを聖地シンガリアへ連れ帰った。
その後、ラミアンの付き添いで自由都市を巡り、王都バロンにいるところへエイサの危機の知らせが入り、ゾイアと行動を共にする。
ガルマニア合州国を巡る陰謀の渦中にいたが、ウルス/ウルスラの帰国に同行した。
タロスを乗っ取ったドーラがバロード軍四万五千を率いてガルマニアに向かうのを止めるため、ツイムを連れて飛んで行ったが、矢を射掛けられ重傷を負った。
現在は隠れ里で治療中。
【暁の女神大公国】
元は野盗『暁の軍団』の砦であったが、様々な変転を経てニノフたちが国家建設を行うことになり、遂に大公国として独立した。
ニノフ:カルス王の落とし子。両性族。男性形(兄)。バロード共和国機動軍の将軍であった。
エオスを中心にした国造りを行い、初代のエオス大公となった。
異母兄弟に当たるウルス・ウルスラとの仲は良く、現在はバロード王家の臣下の立場を守っている。
スカンポ河東岸の危機に対応すべく、仲間たちと奮闘中。
ニーナ:ニノフの女性形(妹)。癒しの力がある。
ボロー:元機動軍副将。ニノフの親友。常にニノフと行動を共にしていた。
ワルテールの会戦で大怪我を負うが、ニーナの癒しの力で救われる。
現在は、エオス大公国の大公補佐官。
ペテオ:北方警備軍の元哨戒兵。
将軍となったゾイアの副将を務めていたが、現在はエオス大公国の将軍。
ピリカ:ニノフの異父妹。ヒーリングの力がある。
ロレンゾ:元は辺境の砂漠地帯に住んでいたベド族の族長。
ギータの誘いを受け、一族を引き連れて中原に渡河して来た。
間もなくピリカと結婚する予定。
ヨゼフ:工兵長。言葉は不自由だが、機械関係に強い。
【新辺境伯領】
住めなくなった辺境伯領から渡河して来た住民の多くは、スカンポ河東岸の下流域に留まった。そのため、旧主である辺境伯アーロンを中心に、そこを新辺境伯領として纏まって住むことにした。
アーロン:辺境伯。生真面目な性格。
尚、祖先はバロード人であるため金髪碧眼で、バロード王家に対しては、旧主筋として私淑している。
現在は、エオスのニノフと同盟関係にある。
ウルス誘拐事件では、狼狽のあまり自ら死のうとさえ思い詰めたが、皆から止められた。
【荒野騎士団領】
スカンポ河東岸上流域を根城にしていた野盗『荒野の兄弟』が母体となり、自治領として独立した。
ルキッフ:元『荒野の兄弟』首領。常に片目に黒い眼帯をしている。
実は、ツイムやファイム兄弟の長兄であるが、片目だけが青いオッドアイであるため母親が不義密通を疑われ、反撥して沿海諸国を飛び出し、野盗となった。
その後、ゾイアを通じてツイムと接触したが、兄弟であることは打ち明けなかった。
現在は、仲間たちと共に自治領を治め、ニノフやアーロンと同盟関係を結んでいる。
【隠れ里】
他種族と交わることを避けるため、霊癒族が隠れ住む里。
所在地は中原中央部に近い礫砂漠の中であるらしいが、座標がなく、周辺のアクシスも乱れているため、簡単には近づけない。
エマ:サナト族。隠れ里の責任者。ニノフやピリカの祖母。
リサンドール:エマの義母。ニノフやピリカの曾祖母。
年老いて現役を引退していたが、ハンゼ少年に同情してサンサルスの終末期医療を引き受け、苦痛を和らげながら最期を看取った。
更に、ゲルニアの臨終にも立ち会った。
ゲルカッツェ:ゲールの次男。正妻の子。太っており、成人しているのに甘えん坊。
チャドスらに操られてブロシウスを討伐し、ガルマニア帝国皇帝に即位。
バロードから亡命して来たレナと愛し合うようになり、皇帝失脚後は共にバロードへ逃げた。
その後、サナト族の隠れ里に移住。
弟ゲルヌと和解し、その擬体ゲルニアの死の際には号泣した。
レナ:シトラ族の娘。母方にアールヴ族の血を引く。
カルス王の愛人であった時、レウス王子を出産。
カルスの死後ガルマニア帝国に亡命していたが、皇帝ゲルカッツェと共にバロードに逃れた。
現在は、ゲルカッツェと共にサナト族の隠れ里にいる。
レウス:生まれたばかりの赤ん坊ながら、外曾祖父のレオンによって、一度は聖王に祭り上げられた。
母レナと共にガルマニア帝国からバロードへ移動。
母とゲルカッツェと共に、サナト族の隠れ里に移住。
レイチェル:レウスの女性形。超絶的な魔道の力を持っている。
気難しく、実母レナと養父ゲルカッツェ以外には懐かなかったが、異母姉であるウルスラを非常に慕っており、その危機を救った。
ガルマニアでの婚礼に出席するウルスラを案じ、少年ゾイアにその守護を頼んだ。
レンブラン:ゲルカッツェとレナの子。レウス/レイチェルの異父弟
カール:皇帝家直属の魔道師。死んだ兄のカノン同様、すぐに顔を忘れるほど目立たない。
隠形を得意とし、魔女ドーラにも気づかれずに接近できる。
ゲルカッツェの妻レナの命を受け、中原の国際情勢を密かに調べていた。
第二次セガ戦役においては、ゾイアやゲルヌに協力した。
ガルマニア合州国の婚礼に出席するウルス/ウルスラの警護役として同行していていたが、魔道屋シャドフとの闘いで傷を負い、ジョレと一緒に隠れ里へ行った。
ウルス誘拐事件の解決をゲルヌ皇子に頼まれ、辺境に入った。
あと少しのところでエージェントのユーダに刺され、それでも自らの生命を犠牲にして、ウルスと交替したウルスラを護り、ンザビ化してしまった。
ンザビとなってウルスラを襲ったが、結果的にドゥルブの機械を破壊し、ウルスラの脱出を援けることとなった。
それが本人の意思だったかどうかは不明だが、ウルスラは深く感謝した。
その後、本人の遺体がないまま、ゲルヌによって手厚く弔われた。
ザネンコフ:元ガルマニア帝国方面軍将軍。剣豪将軍との異名を持つ。
ジョレとの戦いで片腕を失い、隠れ里で治療を受けている。
ところが、ウルスラが職員に癒しを教える実験台となっているうちに、自分でもヒーリングができるようになった。
【自由都市エイサ=神聖ガルマニア帝国】
魔道師の都として千年の間中立を保っていたが、ガルマニア帝国の新帝都ゲルポリス、イサニアン帝国の首都エイサと変遷し、ガルマニア帝国の占領下にあったが、ゲルヌによって解放され、現在は名目上『神聖ガルマニア帝国』ということになっている。
また、その地下には古代神殿があり、赤目族の拠点である。
ゲルヌ:ガルマニア帝国初代皇帝ゲールの三男。ウルスと同じ年齢。
幼い頃から、軍略の才があり、サイカ包囲戦を勝利に導く。
チャドスの配下の東方魔道師にエイサに誘拐されたが、クジュケらに助け出された。
そこで出会った赤目族に、クジュケと共にエイサの地下にある古代神殿に案内され、この世界の秘密の一端を知る。
額に第三の赤い目が現れ、赤目族から『魔道神のみ使い』と尊称されている。
エイサで『神聖ガルマニア帝国』を宣言するが、次兄ゲルカッツェの報復に市民が巻き込まれることを懼れ、赤目族の許で身を隠していた。
そこでの修行により、魔道が使えるようになった。
また、母方にアールヴ族の血筋を引く。
兄ゲーリッヒに幽閉され、臣下になることを条件に解放された。
その後、ギルマン戦に参加したことを切っ掛けに、ギルマン族長国連邦の成立に関わる。
現在はエイサを『神聖ガルマニア帝国』として皇子の身分のまま統治している。
第二次セガ戦役では、旧ザネンコフ軍を率いて参戦した。
第二次セガ戦役終結後、敵から寝返った兵も含め、旧ガルマニア帝国軍五万五千を連れてエイサに戻った。
自由都市最大の大きさを誇るエイサでも五万五千の兵力は維持できず、自由都市同盟との間で『兵農交換』を実施して二万の軍勢は出向させ、三万五千の兵力となったところへ、マオロン軍団の襲撃を受けた。
初戦でジョレ軍五千が敗走し、最終的には勝利したものの、三万となった兵力で、ドーラ軍三万を迎え撃つことになった。
この戦いにも勝利し、安定を取り戻したが、母国ガルマニアの行く末を心配している。
現在は、ウルス/ウルスラを救うため犠牲となったカールを弔い、スカンポ河の危機に対応するためエオスの大公宮に来ていた。
バルルが救援艦隊の攻撃を止めるため不在となり、動揺した赤目族の内紛で、実の肉親以上のゲルニアが磔となり、結果的に死に至った。
それを悲しむ余裕もなく、ドゥルブとの最終決戦に備えている。
ツァラト:通称赤髭将軍。生粋のガルマニア人。
情に厚いが、義理堅い。
マーサ姫:マリシの娘。真っ赤な甲冑を身に纏い、皆から姫御前と呼ばれている。
マリシ:マーサの父。元北方警備軍将軍。
ンザビ化した部下に腕を噛まれたため、自ら片腕を切断した。
ジョレ:元ガルマニア帝国方面軍四将軍の一人。山羊のような顎鬚をしており、気弱。
裏切りの常習犯であり、また、亡霊やドゥルブなどにも取り憑かれ易く、どの勢力からも信用されなくなり、隠れ里の雑用係をしていた。
古代神殿に侵入した機械兵を倒すためゲルヌと共に戦ったが、その後、一人で留守番をしている際にゴーレムを通じてドゥルブに合体された。
ところが、憑依しているドゥルブを逆に支配するようになり、魔王化して赤目族を支配し、タナトゥス教を広めている。
現在は、ドーラと手を結び、古代神殿本殿を北の大海の巨大円盤と合体させ、宇宙へ飛び立とうと画策している。
【赤目族】
元々失われた種族のノシス族であった。
長らく廃都ヤナンの地下にいたが、魔道神の住まうエイサの古代神殿に戻った。
第一発言者プライムにより、先代ズール時代の歪んだ信仰を矯正され、敬虔な集団となっていたが、プライムの死によって動揺が広がり、更にバルルが星界に帰るらしいとの噂で分裂し、内紛状態となった。
この世界の破壊を止めるためバルルが宇宙へ去ると、一気に信仰が崩れ、そこへ付け込んだジョレ/ドゥルブに帰依し、タナトゥス教の信者となった。
現在は、信者を集めて宙船に送り込んでいる。
ゲルニア:ゲルヌ皇子を遠隔監視するために作られた擬体。
額の第三の目を通じて、ゲルヌと直接会話したり、互いの心を入れ換えたりできる。
プライムの遺言により、次期の第一発言者に指名された。
第二次セガ戦役では、ゾイアとゲルヌの連絡役として活躍した。
魔道屋シャドフに簡易制御盤を奪われ、エイサを危機に晒すことになった。
エイサにマオロン軍団が攻め込んだ際には、ゲルヌ皇子の連絡役として飛び回り、スマートコントローラーを取り返すことはできた。
ドーラ軍本隊との戦いにも貢献し、結界と『重さの壁』も復活させた。
バルルが星界へ帰るとの噂により内紛が起こり、第一発言者として抑え切れず、み使いゲルヌの力を借りて、漸く事態を収拾させた。
ところが、救援艦隊がこの世界ごとドゥルブを破壊する決定を下したため、それを阻止しようとバルルが宇宙へ去ると、赤目族の不信感が頂点に達し、磔にされ、結果的に死亡してしまう。
但し、その精神はバルルの一部となるという。
【魔道神】
エイサの地下にある古代神殿に宿る知性体。
敵に撃墜された際、捕虜にした白魔に宇宙船本体を奪われ、船橋の部分を切り離して脱出した。
その直前に分離した予備機構が黄金城であり、黄金城はバルルを本体機構と呼んでいる。
三千年前、ゾイアの協力で発信した救難信号により、仲間が救けに向かって来ている。
ところが、その宇宙艦隊がストレンジャーの危険性を重く見て、この惑星そのものを破壊する決定を下したため、それを止めるべく、黄金城と共に宇宙へ去った。
【黄金城】
南の大海に満月の夜だけ現れるホーライ島にある。
実は、古代神殿のサブシステム。
尚、ホーライ島は超巨大な海月であり、カイトに傷つけられ、寿命も迫っているため、黄金城から解放された。
自由に動けるようになり、ゾイアの依頼を受け入れてメインシステムである古代神殿に理気力を補填した。
また、中原東南部の汚染を除去する微細機械を散布した。
更に、ガンクの抗体を分析し、ンザビに効く薬を開発し、ゾイアに渡した。
その後、この惑星の破滅を防ぐため、バルルと合体して宇宙へ飛んだ。
【旧ガルマニア帝国 ⇒ アーズラム帝国 ⇒ ガルマニア合州国】
ガルム大森林の野人とも言われるガルマニア人(ガルム族)が建てた国であった。旧帝都はゲオグスト。
旧ガルマニア帝国が内戦状態に陥った後、方面軍将軍の一人であったマインドルフが、旧帝国の西南部を乗っ取り、アーズラム帝国建国を宣言した。
マインドルフは、更に旧帝国の東半分も奪い取り、全土掌握も時間の問題となっていたが、無理な外征で国内が手薄となり、その場凌ぎで二代目に指名したアラインに殺されてしまう。
二代目を僭称したアラインも僅か九日で部下に殺され、アーズラム帝国は消滅し、ヤーマンによってガルマニア合州国が建国された。
ゲーリッヒ:ゲールの長男。母が野人であるため、野人太子と呼ばれていた。
宰相チャドスに生命を狙われるのが煩わしいと、自ら皇太子の地位を下りた。
しかし、その後方面軍将軍たちを味方に付け、帝位を奪還し、三代目皇帝となった。
強引なやり方で帝国を統一しようとしたが、却って方面軍将軍たちの離反を招き、僅か数箇月で帝位を追われ、国外に逃亡を余儀なくされた。
東部国境付近でゲリラ戦を展開していたが、ヤーマンの合州国成立に伴い、旧皇帝領全部をガルム州として任される。
軍事力は極端に制限されていたが、ロッシュの叛乱の戦後処理において、ドーラと同格の軍事補佐官に格上げされ、軍事力も二万までの増強を認められた。
ウルス/ウルスラの帰国に際して、最初は敵対的であったが、ウルスの狩猟や解体の腕前を見て弟子にすると言い出し、嫌っていたウルスラに妻の難産を救われると、友誼を結ぶことになった。
ミラ:元海賊『ラカム水軍』の女首領。現在はゲーリッヒの妻。
難産で苦しんでいるところをウルスラに救われ、心から感謝している。
ウルフガンク:ゲーリッヒとミラの第一子。
アルゴドーラ:アルゴドラスの女性形(妹)。通称は魔女ドーラ。
孫のウルス/ウルスラと違って、男女間の性格の違いは殆どない同型で、兄アルゴドラスと表裏一体である。
第二次セガ戦役においては、総大将リンドルの参謀として同行。しかし、別行動を取ることが多く、一度はエイサに閉じ込められたものの、主戦場に戻って戦った。
仲間が死んだり裏切ったりで窮地に立たされ、六万の大軍を一人で率いてアーズラム帝国に迫っていていたが、ヤーマンの陰謀に巻き込まれ、結果的にその配下となることになった。
ヤーマンの合州国では四分の一自治州を任され、軍事補佐官に任じられた。
自治州はバローニャ州で、州都はネオバロン。
マオロン軍団を支配し、ヤーマンには無許可でエイサを襲撃させた。
それが失敗したことを知らぬまま、三万の軍勢を率いて戦ったが敗北。
その痛手から回復するため再起の機会を窺っていたが、婚礼に関わる陰謀の渦に巻き込まれ、身の危険を感じて早々に逃げ出したが、叛乱の戦後処理において更に領地を減らされ、戦力も三万に制限された。
この現状を変えようと、遥か遠くのマオール帝国に幻影を投影してヌルサン帝と手を結ぼうとしたり、辺境のノスフェルをンザビ化させてウルス一行を襲わせたりした。
ところが、執事のサンテを通じて白魔から同盟を申し出られ、あくまでも自分が主体でという条件で受け入れた。
現在は、『識閾下の回廊』にある聖剣を捜すため、ジェルマ少年の夢から中へ入ったが、サンサルスや初代サンジェルマヌスに妨害され、迷路のような回廊を進むうちにいっそ兄から独立してゾイアの身体を手に入れようとしている。
が、何故かタロスの方に辿り着き、タロスの肉体を支配した。
見かけがタロスとなったことを幸いに、バロード軍四万五千を率いてガルマニアに向かったが、兄アルゴドラスに止められ、更に復活したゾイアも現れたため、本来の自分の肉体に戻った。
その際、一旦兄アルゴドラスは追い出したが、バロードとの交渉の過程で和解し、再度合体した。
この世界そのものが破壊されることを知り、仇敵のドゥルブと手を結び、バロードとも協力し、両天秤をかけながら、最終的に有利な方へ付こうと陰謀を巡らせている。
アルゴドラス:ドーラの同体の兄。かつてのアルゴドラス聖王。一時は大元帥ドーンとも名乗った。
同型のアンドロギノス族として、妹ドーラのやりたいようにさせていたが、最近になって意見が対立するようになり、遂に独立を宣言されて放置された。
が、本人は気にする様子もなく、悠然としている。
バロードとの交渉過程で妹と和解、再度合体したものの、あまり表には出ず、好きなようにやらせている。
サンテ:元マルカーノ一家の幹部であったが、死後ドゥルブに肉体を改造され、機械人間として甦った。
脳の半分以上が機械のため、非人間的な反応をするが、ドーラは面白がって自分の執事にした。
但し、サンテを改造した反主流派の覇権主義がドゥルブ本体の実権を握ったため、その代理人のようになった。
ドーラの留守中は、幻影を身に纏ってその身代わりを務めていたが、コロクスに懇願され、内乱の最前線で戦った。
ドゥルブがジョレと合体すると見捨てられ、降伏を提案したコロクスを斬殺してまで自滅的な戦いを続けていたが、ファーンによって完全に破壊された。
ハリス:元方面軍四将軍の一人。ガーコ族で、常に白い頭巾を被っている。智将。
かつて宿敵同士であったガイ族のバドリヌと恋仲となり、生まれた子供がハンゼであるが、ゾイアの仲介もあって漸く親子の名乗りを上げることができた。
アーズラム帝国の国防長官であったが、東部国境の安定のためガルム族と裏取引したり、第二次セガ戦役では密かにバロード側を支援したりしたため、マインドルフの逆鱗に触れ、牢獄島に監禁された。
牢獄島では、謎の漂着者に憑依されていたが、ゾイアらに救け出され、バスティル監獄の民衆暴動に参加した。
その後、ヤーマンの合州国の四分の一の自治州を任され、民事補佐官に任じられた。
自治州はガーコ州、州都はハリー。
マオロン軍団に攻め込まれ、あわやというところでゾイアに救われた。
婚礼の現場責任者として、叛乱後のヤーマンの叱責を受けたが、実際には殆どお咎めなしであり、将来は息子ハンゼをヤーマンの娘ヤンの婿にするとまで言われた。
内戦が起きると、何とか援軍を出そうと苦慮していたが、ゲーリッヒに後押し
され、マオール軍二万を率いて参戦した。
ヤーマン:新四将軍の一人であった。ガルム大森林奥地の少数民族パシーバ族の出身で、見た目は小柄な猿に似ている。
香辛料を詰めた膀胱袋など奇抜な武器を得意とする。
第二次セガ戦役の最中に戦場を離脱し、勝手に本国に戻った。
ハリスの代わりに国防長官となったが、密かに陰謀を廻らした。
筋書きどおりマインドルフを暗殺したアラインを討ち、アーズラム帝国を終わらせ、新たな国家の形として合州国を設立し、初代大統領に就任する。
自治州はパシーバ州、州都兼首都はパシントン特別区。
大国を治める権威づけのため、マインドルフの姪オーネを妻に迎えようと画策。
オーネに愛人がいることは承知の上で婚礼に突き進んだが、オーネの側も陰謀を巡らし、ロッシュに叛乱を起こさせて、一時はヤーマンの身も危なかった。
戦後処理に於いて、懸案であったドーラの戦力削減には成功したが、結局、オーネを処罰することはできず、部下のコロクスに与えた。
結果的に、またしても謀叛を起こされてしまう。
当初、倍の兵力を擁するコロクス・ドーラ連合軍に押し捲られたが、地の利を生かし、遊撃先方で徐々に巻き返し、プシュケー教団軍やハリスの援軍によって勝利を収めた。
その際、旧バローニャ州を、プシュケー教団の教主領として割譲することを提案した。
ヤン:ヤーマンの娘。オーネを嫌っており、婚礼の席で公然と異議を唱えた。
親友であるハンゼ少年を通じて、ウルスラとも友人となった。
コロクス:ヤーマンの配下の巫術師。小太りで狒々のような顔をしている。
叛乱の戦後処理で、筆頭大統領補佐官兼コロネ州の州知事となり、ヤーマンから離婚されたオーネを妻として迎えることとなった。
が、オーネから本物の皇后にしてくれとせっつかれ、已む無く内乱を決断。
ドーラが贋者と知りながら最前線に立たせ、ヤーマンのパシーバ州に攻め込んだ。
当初、絶対的に優勢であったが、徐々に押し返され、ヤーマン側に援軍が来ることで一気に劣勢となり、ドーラの影武者のサンテに降伏するよう命じたが、逆に斬殺されてしまう。
オーネ:マインドルフの姪。美人だが性格は高圧的。
密かにヤーマンと手を結び、アラインを唆して叔父マインドルフを殺させ、そのまま逃亡。
ヤーマンがアラインを討つと、約束どおり皇后にしろと駄々を捏ね、土下座させる。
結局、皇后となることを承諾させ、かつてヒューイの城があった付近を皇后領として割譲させた。
但し、ヤーマンとは形だけの婚約者で、愛人の魔道屋シャドフを溺愛していた。
婚礼の日にヤーマンを暗殺させようと、ロッシュを唆し、叛乱を起こさせたが失敗。
本来なら処刑されてもおかしくないところであるが、ヤーマンの意地悪なのか、罪は問われない代わりにコロクスの妻にされてしまった。
が、オーネはこれを奇貨としてコロクスを支配し、更にドーラと同盟を結んで内乱を起こさせた。
結果的に敗戦となり、本来なら死罪となるべきところ、ヤーマンの温情なのか、プシュケー教団に預けられるという。
ファーン:本来は親衛魔道師隊隊長のタンファンであるが、ドーラのせいで記憶を失くし、更にサンサルスに暗示を掛けられて、弟子のファーンと信じ込んでいた。
サンサルスの命により、ゲルヌの守護者として活動している。
実は徐々に記憶は回復していたが、暗殺者には戻らず、サンサルスの弟子として生きることを決意したという。
兄弟子ヨルムの後を追って、ハリス救出のためアーズラム帝国に入った。
牢獄島では謎の漂着者の事件に巻き込まれたが、ゾイアらの活躍で無事に生還し、バスティル監獄の民衆蜂起に参加した。
民衆の指導者ガブリエルとその弟ミハエルと親しくなったが、結婚の話となって、逃げるように身を退いた。
その後、ヤーマンが禁教令を布くと聞きつけてガルマニアに戻り、偶々ミハエルに保護されていた少年ゾイアと出会う。
記憶を失くし、心細がるゾイアに対し、母親と思えと言っているうち、本当にゾイアが母親と思い込んでしまう。
ゾイア共々ウルス/ウルスラの帰国に同行していたが、ゾイアと別れ、ゲオグスト商人組合の人々を連れてガーコ州へ向かった。
仲間の『バスティル騎士団』を救うためヤーマンに協力して奮戦し、勝利に導いた。
【沿海諸国】
南の大海に面した小国の集まり。カリオテが最大、ダフィネが最古の国。
ファイム:カリオテの海軍大臣。ツイムの次兄。
大公の代理でガルマニアの婚礼に出席。
魔道屋シャドフを斃すなど活躍し、ウルス/ウルスラの帰国に同行した。
リサ:ファイムの娘。サナト族のリサンドールに因んで名付けられた。
一目惚れしたウルスと結婚することを望んでいる。
スーラ大公:カリオテの元首。
ジェルマ:初代ジェルマ(=サンジェルマヌス伯爵)の直系の子孫。メトス族。
見た目は五歳だが、本当は三十歳。魔道は訓練中で、まだ未熟だが、偶に潜時術が使える。
一度は敵対した相手だが、マオールのヌルチェン皇子に強い絆を感じており、その生命を救うことをゾイアに頼もうと帰国途上のウルスたちに接触し、共にマオール帝国へ行った。
東廻り航路の再開が決まると、それに一番乗りしようと、竜騎兵の生き残りたちを送り届けるという名目で乗船した。
帰国の途上、船に乗せてくれていたツイムからメトス族が拉致されていると聞き、心配しながらも海上で待っていた。
そこへ人魚のフリをしたドーラがやって来て、魔香によって眠らされ、『識閾下の回廊』に入り込まれてしまう。
サンサルスや初代サンジェルマヌスの疑似人格に援けられ、何とかドーラの追跡は逃れたものの、異世界のような場所に迷い込んでしまう。
ゾイアが自分を取り戻す手助けをして、共に現実の世界に戻った。
その後、ドーラを味方に付けるため、余命を与える譲命術を施してやるとハッタリを掛けた。
現在、最終決戦に備え、クジュケに連れられて北の大海へ飛んだ。
【ダフィニア島】
二千百年前、一夜にして海中に没したが、実は、その大部分は立体虚像であり、その本体部分は宇宙港であった。
現在も海底にあって、スペースポートとして機能している。
サンジェルマヌス伯爵:長命族。年齢は三千歳。大魔道師とも呼ばれる。
時間の狭間に潜る『潜時術』を使う。
アルゴドラス聖王とは親友、同体の妹アルゴドーラは初恋の相手であったが、聖剣を巡る攻防で決裂し、ウルスラに命じて『アルゴドーラの魔剣』を消滅させた。
『アルゴドラスの聖剣』を預かったまま、行方を晦ませていたが、白魔の活動を一時停止するために、ウルスラの前に現れた。
ウルスラに後事を託し、死去。
ゴースト:サンジェルマヌス伯爵の父ボルドニクスであったが、三千年前に殺され、その意識だけを小型自律機械に移された。
海底に沈んだダフィニア島の管理を担当している。
現在のジェルマ少年に、生き別れたままのわが子の面影を感じている。
【自由都市サイカ】
別名、商人の都。商人が創り、自ら統治している都市国家。
中原南西部の自由都市を糾合し、『自由都市同盟』の盟主となった。
ライナ:サイカの実質的な支配者。女性。
愛するゾイアをいつの日にか婿に迎えると公言している。
ギータ:情報屋。小人族。剣も上手い。
ゲルヌの誘拐事件で、敵であったシャンロウを味方に引き入れた。
ゾイアたちにとって、知恵袋のような存在。
友人のマルコを救うため、ゾイアたちとマオール帝国に行った。
ゲルヌに頼まれ、事務処理ができる者がいないエイサに手伝いに来ていた。
ガルマニアの婚礼では、商人の都サイカの実質的支配者ライナの名代として出席していたが、一緒に連れて行ったゾイアと共に、ウルス/ウルスラの帰国に同行した。
一度サイカに戻ったが、ウルス誘拐事件を聞きつけ、エオス大公国に行っていた。
現在再びサイカに戻り、ライナの相談相手となっている。
【ガイ族】
暗殺部族。諜報活動を得意とする。
黒尽くめの衣装を纏い、顔も黒い布で覆っている。
ハンゼ:女族長バドリヌの息子。ピリカの患者として、ヤナンに通っていた。
バドリヌの死後、父であるガーコ族のハリスと再会を果たした。
幽閉されている父を救うため、山越えして旧ザネンコフ領に侵入し、ヤーマンの娘ヤンと出会い、親友となる。
ロッシュの叛乱の戦後処理で、ヤーマンからガイ州を与えられ、将来的にはヤンの婿にすると言われた。
【プシュケー教団】
武装宗教団。中心は聖地シンガリア。
ヨルム:妖蛇族。サンサルスの弟子。
いつも詰襟の制服を着ている青年。
怒ると大蛇に変身する。
固辞していたが、新教主となった。
友人でもあるハンゼの願いを聞き、自らハリス救出に向かった。
アーズラム帝国で重税に苦しむ民衆を見て、直接皇帝マインドルフ一世に文句を言いに行った。
その後、ゲルヌらから説得され、シンガリアに戻った。
ガルマニア内戦への援軍を送るべきか迷ったが、周囲の助言もあって決断した。
【マオール帝国】
別名暗黒帝国。ガルム大森林のさらに東側にある。
ヌルハン:南北朝を統一し、初代皇帝となった。
ヌルガン:二代皇帝。
ヌルギス:三代皇帝。母はマギア族。魔眼を持つという。
一層の長寿と後宮一万人を維持するために様々な健康法を試した挙句、飲んだ薬の副作用で急逝。
ヌルチェン:親衛魔道師隊隊長タンファンの弟タンチェンと思われていたが、実は、マオール皇帝ヌルギスの第九皇子。十三歳ながら、皇帝となったゲーリッヒの補佐官となって暗躍していた。
ゲーリッヒの失脚と前後して辺境に渡り、自分の部下であった親衛魔道師隊を生贄にしてドゥルブの代理人になった。
だが、役立たずとして捨てられ、自暴自棄となったところをゾイアたちに説得され、共に母国マオール帝国へ戻ることにした。
その後、海賊ワコ族の首領に祭り上げられていたが、東廻り航路の再開を望む兄ヌルサンに幽閉された。
しかし、ゾイアたちの活躍で子のないヌルサン帝の皇太子となることが決まった。
ヌルサン:ヌルギスの三男。兄二人を殺し、帝位を狙っているという。
父同様にイビルアイを使えるが、ゾイアには効かず、逆にゾイアのイビルアイによって南人を保護する政策に転換した。
ウルスラとの結婚を望み、ドーラの了承も得ていたが、ゾイアの身体の検査機能によって生殖能力がないとわかり、実弟ヌルチェンを皇太子に決めた。
シャントン:シャンロウの従弟。体形も性格もそっくり。
現在は旧南都ファンクァンの自警団長。
ボサトゥバ:失われた種族リシ族の生き残り。初代サンジェルマヌスの友人。
サンジェルマヌスに勧められ、因果を調整してゾイアと会った。
また、同じく因果を調整してヌルギス皇帝の寿命を縮めたが、そのことは後悔しているという。
その後、人形のように小さくなったゾイアを預かり、本体と合体するまで護った。
リーロメル:本来はバロード人で、ラミアンの生き別れた兄。反社会的人格であったが、ゾイアに救われた。
【魔物など】
腐死者:北方や辺境で死んだ者の屍体を焼却しないと、ンザビ化して動き出す。
ンザビに噛まれた人間もンザビとなる。
辺境では夜間だけ動くが、北方では日中でも動ける。
北方および辺境に蔓延していたが、黄金城が造った薬剤をゾイアの身体で増産し、ウルス/ウルスラがそれを大量に散布したため、ほぼ完全に消滅した。
ガンク:ザリガニのような動物。スカンポ河の底に潜み、人や他の動物、更にはンザビをも襲う。
実は、このガンクのお蔭で、ンザビは中原に渡って来れない。
このガンクの細胞を基に、黄金城がンザビに対する薬剤を開発した。
ノスフェル:コウモリのような動物。吸血性だが、馴れたものは伝書鳩のような役割をする。
龍馬:全身を鱗に覆われた馬のような生き物。一日で千里を走る。
白魔:永遠に凍り付いている北の大海に突き刺さる巨大な円盤に居る謎の存在。
幾重にもズレた白い影のように見える。
赤目族は非位相者と呼んでいる。
実は、ゾイアと同じ宇宙からやって来た知性体である。
個体というより、意識の集合体であり、謂わば一つの国家のようなものらしい。
この宇宙のインテレクチュアルと戦争になり、この一体が戦時捕虜となったが、仲間に裏切られて撃墜され、この惑星に墜落した。
しかし、墜落した宇宙船の超光速推進機関を占拠し、生き残った。
従来、『生きとし生けるもの全てを滅ぼす』という虚無主義が主流であったが、『全ての人間を支配する』という覇権主義が主導権を握った。
他の仲間は一万数千年前に滅ぼされたようだが、三千年前にゾイアが送った救難信号が届き、この宇宙のインテレクチュアルが攻めて来ると予測し、宿敵のドーラと手を結んだ。
ドーラの留守中、領土を護ってやると約束したことを拡大解釈し、ガルマニアの内乱の最前線で戦っていたが、ジョレという憑依に向いた逸材を見つけて合体し、人格融合が起きた。
現在は、魔王化したジョレに、完全に支配されている。