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そして伝説に、ならない……  作者: 蒲生たかし
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レベル39 大魔王城【最終ダンジョン】

レベル39 大魔王城【最終ダンジョン】


大魔王の城のある島は闇の衣で護られており、それに触れただけでも大ダメージを受けてしまう。


俺は「大空の石版」を大地に置き、そこに書かれた通りに「太陽の杖」、「雨露の壺」をセットした。


壺から水が流れ太陽の光に照らされ虹がうまれた。


その虹は次第に伸びて行き、島を護る闇を切り裂いた。


闇の衣が裂かれ、大魔王の城があらわになった。



大魔王の城に俺たちは入った。


いつもの様に、戦士の女の「壁壊し」で最短距離で進み続ける。



途中、奥で何者かが大きな魔物と戦っていた。


無視して進もうかと思ったが、なぜか胸騒ぎがしたのでちょっと寄ることにした。


近づく頃には戦いは終わっており、人間の方は魔物に敗れ横たわっていた。


俺は声をかけた。


「あんたは何者だ」


「私は勇者、大魔王を討つべくここまで来た」


「どうやってこの城に入った?」


「私は、どうやら長くないようだ。もし私の地元に寄ることがあったら、我が妻にすまなかったと伝えてくれ」


話が噛み合わない。


「いや、その前にどうやってこの城入ったの? 俺たち『三種の神器』集めてやっと入れたのに」


「昔、妻のプリンを食べたのを、息子のせいにしたが、……真の犯人は俺だ、本当にすまなかった、と」


「ん、プリンって、親父か!?」


「ん、息子か!?」


魔法使いのジジイが聞いてきた。


「勇者よ、プリンのくだりでなぜ父だと分かった?」


「いや、俺小さいころ、突然母親に切れられてさ、『私のプリン食べたのだれー!!』って。なんか親父が俺が食べたとか言い出してさ、俺食ってないんだよ。それから母親からはお仕置きされるしさ」


「あれ、ほんとごめん、母さんの切れ方が半端なくて、つい」


「ついじゃねーから、遊びたい盛りに1週間も外出禁止だったんだからな!」


「でも、ほら、今はこうやって自由に世界巡れてる訳だし」


「今はいいの今は、あーなんか色々思い出して来た、オヤジに俺金貸してたよな」


「なんだっけ、それ」


「新年のレース、堅いのがあるって、俺の金持っていったじゃねーか、そのままなし崩し的に魔王討伐の旅で出やがって」


「ごめんごめん、返すから、俺の右のポケット探して」


俺は横たわっているオヤジの右ポケットをまさぐった。


「無い」


「いや、俺から見て右だから、逆逆」


「あ、こっちね」


俺は反対のポケットをまさぐった。入っていたのはわずかな金。


「これだけ?」


「いや、あと大魔王倒すだけだから。ほとんど使っちゃってさ」


「で、オヤジここで何してたの?」


「いやだから、大魔王倒そうと思ってさ」


「そういえば闇のバリアどうしたの、あれ」


「ビリビリ来たけど気合で通り抜けたよ」


「まじか、オヤジ昔からそーゆーところあるよな」


パーティの面々が呆れている。


「久々の再開でアレなんだけど、息子よ、俺もう長くないみたいだから」


「え、ヤバイの?」


「さっきのやつ意外に強くてさ、やっぱ闇のバリア抜けた時のダメージが残ってたのかな」


「だから、ちゃんと『三種の神器』集めないから」


「お前も気を付けろよ、あと母さんには上手く伝えといてくれ」


そう言うと、俺の言葉も待たずオヤジは息絶えた。



もう死んだと思ってたオヤジだったが、目の前で息を引き取るところを見るとなんとも言えない気分となった。


「勇者よ、気持ちはわかるが、ここは大魔王の本拠地、感傷に浸っている暇はないぞ」


魔法使いのジジイが言った。


「わかっている。貸した金が少しでも戻った事がせめてもの救いだ」


「そこかい!」


全員の突っ込みでいつもの調子に戻れた。


「さ、大魔王を潰しにいくか」


俺はオヤジから奪った金を握り締め歩を進めた。

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