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そして伝説に、ならない……  作者: 星麒麟


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レベル40 大魔王討伐【ラストボスバトル】

レベル40 大魔王討伐【ラストボスバトル】


オヤジを殺した中ボスをあっさりと倒し、俺たちは城の奥深くへと進んだ。


「さて、どうしたものか」


奥から声が聞こえた。忘れるはずも無い大魔王の物だ。


「まさか、ここまで来る者があるとはな」


俺たちは大魔王の前に立った。


圧倒的な存在感を放つ大魔王が座して待っていた。


「直ぐに殺してもつまらんだろう。ここまで来れたその強さも惜しいしな」


俺は静かに剣を抜いた。


「まぁ、そう急くな。『仲間になれ、世界の半分をやろう』などという提案はあまりに陳腐だ。もっと面白みのある提案をせねばな」


剣を正面に構える。


「お前もここに来るまでに見たであろう。人間の浅ましさを。世界の平和より、自分たちの利権を求める者たち。それが人間の本質だ」


「それがどうした」


「護るべき存在かと問うている」


「奴らは関係無い。俺は俺のためにお前を討つ」


「そうか。では少し語ろうか」


「何についてだ」


「生きるという事についてだよ、勇者よ」


「?」


「我ら魔族の糧は人間の恐怖だ。しかし人は直ぐに慣れる生き物、常に同じ恐怖を与えても慣れてしまう厄介な生き物だ」


「だからどうした」


「そこで、余は眠りにつこうかと思う。いわば冬眠に近いな」


「話が見えてこないんだが」


「人が恐怖を忘れた頃、余は目覚め再び人を恐怖に落とす。そのサイクルを繰り返そうと思う」


「俺は何をするというんだ」


「お前は帰り、大魔王をうったと皆に伝えよ」


「茶番に付き合えとでも」


「お主は勇者の血を絶やさぬようにしておればよい」


「後世の者、次代の勇者には、余から説明しておく」


大魔王は静かに立ち上がった。


「余の命は永遠。しかし人は弱く滅びやすい。我らの糧がその人に依存せねばならぬとはなんという不幸か」


「もっといい方法を教えてやろう」


「ほう、まさか余の命はをとろうというのか」


「そのまさかだ。終わらせてやるよ」


「ふ、無駄な事を。まぁよい、では試してみるがよい」


戦いを挑んだが、全ての攻撃が効かない。


頼みの綱だったオリハルコンの剣ですら大魔王にかすり傷を付けるのがやっとだった。


強い、圧倒的な強さだ。


「ストップ! 待て! はい終了!  ちょっとお前の力を試しただけだ!!」


「分かれば良い」


「では」


俺は大魔王と堅い握手を交わした。


「人の世界でいう666年後、余は目覚める。それまでつかぬ間の平和を楽しんでおくのじゃぞ」


大魔王は特別製の棺に横たわり、蓋が閉じると闇に覆われた。


試しに剣や魔法で攻撃したがビクともしなかった。


「眠り入る前に言っておくが、この結界は絶対にとけんぞ、あの虹の力を持ってしてもな。それと、お主たちとの世界の裂け目は閉じておいた。ここで一生を暮らしてもらう」


こうして大魔王との決着はついた。


正直、釈然としない。


だが世の中とすべて割り切れるモノでは無い。その事を心に刻み、帰って大魔王討伐のパーティでも楽しむか。666年後の事なんて今考えてもしょうがないしな。


空を見上げると一筋の光が差していた。


世界は光を取り戻した。ただその光を実感するためにも闇の存在が不可欠なのだということを身をもって知った。


旅を終え、何かもろもろやり残している事があった気がする。まぁいい。とにかく俺は魔王改め大魔王を倒し、当初の旅の目的は果たした。それでいい。


完璧な最後などありはしない。


世の中は、そうゆうふうにできているのだ。


【完】

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