第91話〜【間話】ギャルちゃんの憂鬱
これはマールにギャルちゃんと呼ばれた、一羽のコッコのお話である。
…………。
…………。
…………。
コッコの里の修練場。
そこでは鮮やかな一羽のコッコと、やや小柄な普通のコッコたちがいた。
鮮やかなコッコは退屈そうにため息をつく。
はぁ…
「コケー…(マジチョベリバなんですけどー…)」
今日も今日とて脳裏に浮かぶのは一羽のマルモ鳥。
あの子が里を出て行ってからしばらく経つ。
つまらない。
ひたすらにつまらない。
あの子の明るくてちょっと抜けた感じがもう懐かしい。
今頃何やってるのかな〜なんて事を日に何度も考えてしまうほどだ。
突進してくる若いコッコたちをいなし、転ばせ、互いにぶつけたりと動き回りながらも、考えているのは小さな親友の事。
一緒に遊ぶ、もとい競い合う友達ができた事で元々あった才能が開花したのか、今ではコッコの里で若鳥の教育係みたいな事をしている。
実力的には里の中でも上位に入るだろう。
別に闘うのは嫌いではないけれど、狩りが好きなわけでもないので若鶏の相手は結構気に入っている。
雛鳥たちはとても可愛くて、最初こそ色々と教えるのは楽しかった。
しかし成長するにつれて成鳥たちのように漢臭いというか、暑苦しくなるのはいただけない。
せめてメスなら良かったが、任されたのは里の戦力になるオスばかり。
最近はトサカもしっかりしてきて、キリッとしたゴン太眉毛まで生えてきたので実に可愛くない。
鍛錬で無駄に汗をキラキラと撒き散らし、ニカッとクチバシを光らせて笑う姿など暑苦しくて仕方がない。
「コココ〜(はぁ〜、まじダルチョベリバだし)」
…………。
あの子は今、どこで何をしているだろう?
ギャルの頭にまたそんな疑問が浮かんだ。
心配しているわけではない。
たぶんいつもみたいにのほほんとしながら、なんやかんや生きているにちがいない。
バトルコッコである自分と対等に渡り合えるほどに成長した、強くて可愛いマルモ鳥。
あれだけ強くなったのに鍛錬なんかよりコッコの羽繕いをしたり小道具を作る方が好きだった。
動物だろうが、モンスターだろうが、ふわふわしてたりしたら誰よりも先に突っ込んで行って、逃げようが暴れようが「ぴょぴょ〜♪(もっふもふ〜♪)」と撫で回していた。
きっと旅先でも変わらずもふもふしてるに違いない。
そう思うと自然と笑えてくる。
気分が良くなって若鳥たちを動かなくなるまでコテンパンにしてしまい、大人たちに少し怒られたがそんな事はどうでも良かった。
今日は久しぶりに可愛いものを探しに森を散歩してみようか。
…………。
鳥と言うのはだいたい体の大きさで生きる長さも変わってくる。
もちろん個体差もあるし、一応はマルモ鳥もモンスターなので他の動物よりは長く生きる。
けれどマルモ鳥は小さくて弱い。
弱すぎて少し大きめの野鳥にすら負ける。
なんならちょっとした環境の変化で死んでしまう。
その分ゴブリン並みの繁殖力と、世代を経ることですぐに環境に適応する能力がある。
モンスターは体に魔石と呼ばれる器官があり、他の生き物より丈夫で長生きするし、特殊な能力を得たりする。
マルモ鳥は環境の変化に適応する能力に極振りしていると言ってもいいのかもしれない。




