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紅森の即興小説集 ~2014年の挑戦100~  作者: 紅森がらす
1時間挑戦編(主に即興バトル)
88/100

勢いを削ぐ

制限時間:1時間 文字数:1089字

俺のことを「だむちゃん」と親しげに呼んでくる女、いぶきに告白したが、あっけなく振られた。

俺がどうとかではなく、「男」をどうしても好きになれないそうだ。今まで「元恋人」の話はよく聞いていたが、実はそれはみんな女性であったらしい。

「ぐ……」

いっそのこと、襲って男を分からせてやろうかと思いかけた。

「あ、そうだ」

俺の内なる高ぶりを知ってか知らずか、いぶきはぽんと手を叩いた。

「だむちゃん、女の子になっちゃおうよ?」

にへらっと笑った。

「ああ?」

いぶきは俺との距離をつめ、そして……俺をいとも簡単に押し倒した。


気がつくと全身を拘束具に囚われていて、俺は必死にもがいていた。

「お肌が傷ついちゃうよ」

「俺に何をする気だ! 放せ!」

「ねえだむちゃん、「きょせい」って知ってる?」

ああ、為すすべもなく内心怯えて吠えている俺の態度のことだろ。

――気付きたくない。気付けば、実行される気がする。

股間が強張っているのを感じる。気を抜いたら逆流してくるような恐怖を覚える。

「ふふふ」

いぶきが手に持っているものは……鋭利な凶器などではなく一安心した。

パステルイエローの電気シェーバー。

カチリと小さく音がして、ブイーンと振動音が響き渡った。

「これでね、わたしここを剃ったの」

いぶきがシェーバーを持つ手と反対側の肘を上げ、脇の窪みを俺に向けてきた。

青い剃り跡と、コーンポタージュのような臭いが近づいてくる。

思わず俺が目を閉じると、そのまま頭を抱きかかえられた。

「だむちゃんも剃っちゃおうね」

頭を念入りに撫でられるような感覚が続いたかと思うと、俺の髪がばさばさと落ちてきた。

「!?」

「大丈夫だよ、シャンプーしてきれいきれいにしてあげるからねー」

「あ、ああ……」

記憶の一部まで切り取られたかのように俺は朦朧としてきた。

シェーバーは俺のしばらく剃っていなかった髭を落とした。いぶきに口答えする気が失せた。

腋毛が剃られると、腕の力がなくなりだらりと垂れさがった。

胸毛が剃られると、男の尊厳が漂白された。

シェーバーが股間へ降りてきた。毛の無くなった個所を彼女の指が掃うと、肌に空気が触れ、そこだけ生まれ変わっていくように感じた。

俺の陰茎は縮れた鬱陶しい陰毛を押しのけるように直立した。

はやく、早くこの周りも刈ってくれ! ただ、目で訴える。

「うん、分かった」

いぶきがシェーバーを振り上げた。いや、あれはシェーバーか?

ブイーンと唸り続けるシェーバーの刃がぐりんぐりん回転している。

振り下ろされたローラーが、俺の股間を開けた大地にしていく……。

お題:同性愛のつるつる 必須要素:ロードローラー

なんだか嫌な方向に行きましたね

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