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紅森の即興小説集 ~2014年の挑戦100~  作者: 紅森がらす
1時間挑戦編(主に即興バトル)
86/100

ドロドロ

制限時間:1時間 文字数:1011字

シックな高級クラブも、今夜はバレンタインの華やかな話題で持ちきりだ。

店のNO.1ホステス、ユキだけは憂いを帯びた表情を浮かべた。その表情が一層彼女の魅力を引き立てるのだったが。

「バレンタインにはちょっと苦い思い出があるのよ」

「聞いてもいい?」

客が興味津々に、しかし触れてはならないような気もして恐るおそる尋ねる。

「目の前でね、プレゼントを地面に捨てられたの」

客や、同じ席についていたホステス達は息を呑む。

「ユキさんでも、そんなことが……」

「最も、私はチョコっていうかお団子をあげたんだけどね」


ユキは水飲み場で歯みがきコップに溢れんばかりのお水を注ぎ、こぼさないようにそーっと砂場へ持っていき、厳選した砂だけを使用した高級感溢れる泥団子を、丹精込めて作りだし、愛しの彼へ差し出したのだった。


「あはははは。泥団子じゃしょうがないよ」

「なんだ、子どもの頃の話かぁ」

その場は笑い話として受け取られ、ユキも微笑んでいた。しかし、席を立った途端ユキの顔から笑みが消えた。

「私の初恋を、笑わないで貰いたいわ」


数分後、酒を口にしたクラブの客やホステスが次々と倒れていく事件が起きた。それほど飲んでいなかったのにも関わらず、彼らは一様に泥酔状態だったという。


朝になるとユキは初恋の彼が勤める幼稚園へ向かった。自分の子ども時代の思い出を壊しておきながら、子どもを相手にする仕事をしているというのも許せなかった。

口紅をクレヨンのように握りしめ、「せんせい あとでうらにわに ひとりできてね」と手紙を書き殴り、下駄箱に忍ばせた。

「完璧だわ……」

ユキは文字と同じ色の唇で、ニイ、と残酷な笑みを浮かべた。


ウサギ小屋の陰から、彼がやってくるのを待っていた。彼はキョロキョロ辺りを見渡している。

ユキのしかけた恐るべき罠が待ち構えているとも知らずに。

(こっち、そう……、こっちよ……)

彼が狙い通りに歩いてくるのを見ると、ユキは胸が高鳴っていくのを感じた。

一歩、また一歩……。


ツルッ


「うわあああ!」

彼はバナナの皮を踏んで滑り、あろうことか泥の水たまりに思いっきり尻餅までついてしまった。

成功を確信したユキは密かにガッツポーズをした。


今日一日、彼は尻についた泥を「うんこー!」と愛する園児に指差され続けることだろう。

泥を馬鹿にした者は泥に泣け。

こうして、ユキの恐ろしい復讐は完了した。

お題:穢された復讐 必須要素:下駄箱

お洒落な感じにしようと始まったのに後半ふざけた展開になってしまいました。穢されたっていうか穢れたっていうかばっちい復讐

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