74/100
納豆工場の秘密
制限時間:15分 文字数:451字
大豆の大群が逃げるようにぱらぱらと美代子の前を走っていく。
美代子は目を皿のようにして大豆の大きさを目測していった。
小さすぎる、または大きすぎる大豆は弾いて均等の大豆だけを集めなければならない。
それが今日から彼女に任された仕事だった。
この大豆は粒がきちんと整列した「美なっとう」という製品としてパッケージ化されるため、規格外の大豆はいらないのだ。
それにしても。
美代子はかいた汗をゴム手袋から覗いた手首で拭った。
この大小の歪な大豆の方は、廃棄なのかなぁ。
笊に落とされた大豆は工場の明るすぎる蛍光灯に照らされてぎらぎらと乱反射していた。
その時、工場に全体放送のチャイムが鳴った。
『鬼が出ました! 鬼が出ました!』
鬼ぃ? 美代子は周りの誰かに聞こうと思ったが、生憎シフト休憩でいなくなってしまっている。
「誰のこと?」
不審に思っていると本当に赤ら顔の鬼が工場の扉をバーンと開けて入ってきた。
「ギャー!」
美代子は夢中で不要豆を投げた。そっか、節分豆として使うんだ。
美代子は納得した。
お題:白い小雨 必須要素:節分豆




