逆走
制限時間:15分 文字数:572字
追い詰められたねずみはがくがくと尻尾を震わせていた。
「な、なぜ……」
目の前には鋭い眼光を湛えた猫が舌なめずりしていた。
「干支の話をしてやるニャ」
ねずみに嘘を吹き込まれた猫は十二支になれず、その時の恨みでねずみを追い回すようになった……。
「というわけでお前を食べるニャ!」
「いやいやいや、ご先祖がなんかしたかもしれないけど、僕は何にもしてないよ!」
ねずみはぴょんと近くにあった茶色い毛の山に飛び乗った。
「おお、これはさっき猫の話にあった牛……?」
十二支のように、ねずみを助けてくれるのは牛かもしれない……? ただ牛はさっきの話だとゆっくり歩くらしいからな……。
そう不安げに動物の顔を見やると、そこには伸びた牙と荒い鼻息があった。
「これは! イノシシ??」
ねずみが驚いた途端、イノシシは走り出した。
「ワンワン!」
犬の吠える声が聞こえた。どうやらイノシシを狩る猟犬らしい。
イノシシと犬が猿の横を走り抜けると、猿は興味深げにその後をついてきた。
その後にも、干支の動物たちが逆向きに続いた。
たどり着いた先には神様が待ち構えていた。
「新しい国の干支がこれで決まったな」
ねずみは再び一番手になれたことを喜ぼうとした。しかし
「ねずみはズルしたから失格じゃ。代わりに猫お前が入れ」
こうして、ねずみが猫を追う国が出来た。
お題:隠された国 必須要素:干支
干支の方がメインになった感ありますね




