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レクリエーション

制限時間:15分 文字数:477字

人の声らしき騒音に目が覚めた。外を見ると、

「オイッチニーサンシ!」

軍服を着た老人が奇妙なイントネーションで叫び、腕を振り回したり、飛び跳ねたりと奇天烈な動きをしている。

おいおい、新手のラジオ体操か?

俺は眠い目を擦り擦り老人に近づいた。

「ハッ、隊長!」

老人は俺に向かって敬礼した。あれか、痴呆老人か。

その血走った眼を見ると否定も出来なくて、俺はなんとか誤魔化す。

「あ、あー、順調かね?」

「ハイッ、これで九百と八十二回にございます!」

そう言って老人は静止し、

「オイッチニーサンシ!」

を再開した。どうやら『隊長』の言いつけでこの動きを繰り返しているらしい。

「千回も何をやらせてるんだ……」


「あらあら、増川さん、ホームに帰りましょうね」

薄桃色のユニフォームを着た介護士が向こうから駆け寄って来た。どうやら介護施設からこの増川老人は抜け出してきたらしい。

「ハッ、副長!」

俺が隊長ならこの人は副長か。俺は苦笑いして見送った。


ある老人ホームが痴呆老人を兵士として教育している噂を聞いたのは、それからしばらく経った後のことである。

お題:1000の踊り

1000人に躍らせるか、1000通りのパターンの踊りにするか…なのですが、そうするには1000書くのは当然できないとしても少なくとも複数パターンを考える必要がある→では同じ動きを千回まで数えてる設定にしよう、ということでこうなりました。オチは書きながら考えてたけど時間足りなくて作中時間を飛ばしました。

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