23/100
傑作
制限時間:15分 文字数:457字
天才芸術家の真司が、最高傑作が生まれたと言ってきて、彼の家を訪ねたところ、なんと絵ではなく料理が出てきた。
「よし麻佑子、食え」
コック帽なんて被ってかっこつけた真司が言った。
「どれどれ……」
私は魚……チョウチンアンコウか何か?のお頭の飛び出た、見たことのない料理にフォークを近づける。気分はグルメレポーター。
「まるで深海のような色合い、夢心地になる濃厚な香り、果たしてどんな味が私を待っているのでしょう。では、いただきます。あーん……ぶふぉ!」
私は盛大に噴き出した。
「ひ、は、はああッ」
舌を冷まそうとだらしなく垂らして(あれ、熱かったんだっけ?)犬みたいに息を切らした。
一瞬で味の記憶が吹っ飛んだ。
「え、今の何なの? え?」
私は最大限に良く解釈してあげようとする。
「あ、あまりに美味しすぎて味覚に残らなかったってことかしら?」
真司はチッチと指を振った。
「真の芸術は心底不味いモノを食った時に生まれる。今のお前の顔だってことだ」
はあ? と私は顔をしかめたが、今の顔の方が傑作だったと思う。
お題:とんでもない芸術




