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暑い日
制限時間:15分 文字数:358字
あー…ぽかぽかやわあ。いや、暑いくらいやな。お昼寝には向かん。
冬のちょっとぬくい日を小春日和言うんやから、今日は小夏日和でええんちゃう?
水が飲みたいわ。ちょ、水、水う。紀子さん、水くれはるか?
…紀子さん? 聞こえてまっか?
…おらへんのかな。縁側こんなに眩しいのに、家ん中あんなに真っ暗で見えへんわ。
それにしても暑いわぁ。桜があんなに綺麗やのに。
あの桜の中から蝉の鳴き声でも聞こえてきそうやな。ミーンミーンいうて。
なんやザワザワし始めたわ。どないしたんやろ。
声がするわ。聞き覚えあるんやけど、誰やろな。
…そうか、あんた迎えに来てくれはったんか。ほな、いこか。
紀子さんがお盆を取り落とし、私の肩を揺すって「お義母さん!」と呼びかけてはるのを一度だけ振り返り、私は亭主に手を引かれ歩きだした。
お題:春の夏
お題が矛盾している…ので小春日和を参考に小夏日和って?と思いながら書きました。あとなんとなく方言っぽく主人公年寄りっぽく、な気分でした。




