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影踏み

制限時間:15分 文字数:473字

「暑くない? そんな黒尽くめの」

と彼は私ではなくて彼の横に出来た影法師に聞いた。暑さでついに自分の影に話しかけるようになったか、と私が憐れんでいると

「そんなに。むしろお前が日よけになって涼しい」

と影法師がごく普通に答えた。

「そうだね、影だもんね!」

と私は割り込んだ。

たとえ彼の影法師だろうと、せっかくの二人のデートを邪魔する奴は許さないんだから!

踏んづけてやるわ!

私は影法師をズカズカ踏みつけた。

「およっ? おっと、っと」

滑稽なステップを踏みながら私を避けるのは彼の方で、影法師は余裕でひらり、ひらりと舞っているように見えた。

同じ動作をしているはずなのに、この違いは何? 私はむかっと来て彼の腰にハイキックと影法師の脛にローキックを同時に繰り出した。

「テイヤーッ、うあ?」

バランスを崩してつまずきかけた先にバナナが落ちており、私はすべってすってんころりした。

やだ、パンツ見えたかな? とか、さっき彼を影法師ごと蹴った時には思わなかった乙女心が顔を出した。

ふと前を見ると、私の影法師がどこかへ走りさっていくのが見えた。

お題:黒尽くめの、と彼は言った 必須要素:バナナ

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