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after 4〔乗れない新代社会の遊園地と顔認証の罠、商品棚を見上げる天才子役だらけの諸事情〕

 季節は変わる。

 でも、新代社会においては人類の移り変わりのほうが速い。


「けっきょく遊園地に行っても、身長制限でほとんど乗れなかったし、てか機械がそもそも止まってたし!」


 本日はこんな感じで、マヤカはずっとご立腹である。


「てか遊園地とか、よく行く気になったね……」


 幼馴染の外見相応に元気な不満を冷たい笑い方でいなしつつ、チエさんがメスを入れ始めた。


「そりゃ行くっしょっ、今のアタチにピッタリだチ!」


 それについては否定できん。


「……写真を撮るだけなら、乗れなくても問題ないでしょ……」

「ん、まぁそれはそうなんだけどォ」


 目的そこかよ。


「――でもさ、いろいろ問題もあるっしょ……?」

「んなもん言いだしたらキリないわ」


 んだんだ。


「てか、なんで急に遊園地なの?」

「えっと、それは……」


 何だ? 急にしおらしくなったぞ。


「じつはさ、マックスがさ……」


 マックス。


「ああ。マヤカのとこで飼ってる犬ね」


 ――海外の犬、代表みたいな名前だな。


「もう超歳だから、……記念にとおもって」


 なんだ超歳って、程度でいうのなら犬種問わず大体平等だろ。


「てかマヤカんとこの犬って、大型犬じゃなかった?」

「ェそうだけどー?」

「……物理的優位性を失っても、よくまだ飼えるね……」


 それを言うのなら、そもそも大型だと優勢とは言えないけどね。


「マックスは賢いから問題ないチ」

「それは当事者になる前だから言えることでしょ」

「何の当事者ッ?」


 事後報告では遅いのだよ。


「今の世の中ね、自己分析と認識をおこたると命にかかわるでしょーよ」

「自己……。――そういえばさ、認識で思い出チたんだけど。二人はスマホのロックって、どうチてる?」

「なに急に……、いちおパターンだけど」

「私はパスワード」

「なら問題ないねェ」

「だからなに?」


 うむ。


「じつはさ、アタチの知り合いが顔認証だったせいで、困ってたって話」


 ぁー、――なるほど。


「……それは厳しいね。てか認識できなかったの?」

「結論から言って、今は無理だったみたい。まァいずれ解除できるからって店側からは言われたってさー」


 いずれ……。なんとアバウトな見積もり。


「――マセルは、これまでになんか困ったこととかあったァー?」


 そら、いくらでもあるけど……。


「……最近だと。商品棚の上側を見るために皆が逆側の棚の前で立ちつくすから、困る」


 新時代の日常あるあるである。


「なにそれ……」


 わかるまい、日常を遊びにしている貴様にはな。


「それ系ならわたしも。映画館で、チャイルドシート必須な光景――て、どう?」


 あるある。


「ぁーそれなら分かるけどォ。最近映画とか見なくなったチ……」


 む。――それは。


「分かる。あれでしょ、出演者の見た目的な問題でしょ……?」

「そうそれ。あんな見た目で泣けないっしょ……」


 それは選ぶジャンル次第なのでは。とはいえ――。


「――ドラマとかも。緊張感が、ね」

「新代社会のあるあるだね。なにもかも幼児番組みたいに見えるっての」


 ほんと困ったものです。


「逆に天才子役だらけで面白い時もあるけどねー」


 故にバラエティ番組が主体となっている昨今。


「わたしとしては知的財産が唯一の救いかな」


 とにかく大人を見たいと思う、異常なビジネスモデルが拡大傾向です。


「ま、でも。今はそれで良くても、どのみち需要が減ることは確定している要素にどれだけ取り組むかのバランスってムズカシイと思うわ」


 仰るとおりです、チエさん。


「アタチは好きなものはいつまでも、好きなまま、だけどねー」

「ただ流行に乗りたいだけでしょ……」

「そんなコトないチッ」


 てなかんじで。ご立腹だった友人がそれすらも忘れてしまうほどに、現代社会は変化の激しいカジュアルさと、フォーマルなエンターテインメントで戯れているというコト、なのだろう。


「ぁ、○ン・○・リングのタマがまた一つ減るんだってさー」


 おい、それは違うだろ。

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