そんなのアリなん!?
イナリは右手に雷の魔剣、左手に相似の魔剣を握り、両者をクロスさせながらゴウクから距離を取りながらスキルを発動させる。
「プラズマショット、魔剣相克」
イナリが放つのはアクティブスキル、プラズマショット。
魔力を使い増幅された電撃の圧縮された弾丸が、ゴウク目掛けて襲いかかる。
そして同時に発動された魔剣相克により、相似の魔剣から黒い雷によって形作られたもう一発のプラズマショットが放たれる。
相似の魔剣のアクティブスキル、魔剣相克。
同時に使われる魔剣に打ち勝つような攻撃を放つこのスキルは、単なる威力増幅だけでなく、弱点相性の補完のように使うことができる。
「ぐうっ、これは……っ!?」
先ほどまでその場を一歩たりとも動くことがなかったゴウクが、イナリの放った二発の雷の弾丸を食らい、ズザザッと音を立てながら大きく後ろに下がっていった。
足を引きずるように強制的に下がらされたゴウクの鎧には焦げ痕がついており、スキルが剣だけでは防ぎきれなかったことがわかる。
(よし、やっぱりスキルは効く……いくら父さんやって、どんだけ攻撃を食らってもダメージを受けないわけはない。コツコツダメージを積み重ねていけば、いつかは勝てるはずや)
ゴウクが初めて苦悶の声を上げたことに、イナリは自身の攻撃が通用していることを確信する。
イナリは続いて再度プラズマショットを使い、次は相似の魔剣のもう一つの能力である魔剣相似を発動させた。
今度は全く同じプラズマショットが二発同時に、ゴウクの身体を貫かんと発射された。
ゴウクはそれを見て避けようと身体を動かすが、雷の魔剣のアクティブスキルは技の発動から出、そして着弾までにほとんどラグがない。
結果として二発の弾丸はゴウクの脇腹を抉るように命中し、ゴウクの眉間にわずかに皺が寄る。
(物理的な防御力は極めて高いけど、魔法抵抗力はそれと比べればまだマシ……やっぱり中距離戦で粘るのが勝ち筋やね)
当然ながら元からかなり高いレベルであろうゴウクには基本的にはどの攻撃も利きが悪い。 だが着実にダメージを与えていけるように考えれば、イナリがすべきは接近戦ではなく相手の強みを殺すための中距離戦であった。
「ダークネスフォグ」
イナリは再び闇の魔剣の隠密性を発揮させながら、アクティブスキルであるダークネスフォグを展開する。
周囲に現れた黒の霧がステージ上を覆い尽くし、イナリは自身の姿を隠すためにシャドウダイブを使って影の中へとその身を隠した。
そしてその間に更に魔剣創造を発動し、炎の魔剣を生み出す。
相似の魔剣は腰に提げることで雷・闇・相似・炎という四本使いの状態になった。
今のイナリが使える魔剣の最大本数であり、正真正銘の全力に近い状態である。
「サーマルブリーダー」
スキルの始動同時に徐々に火属性攻撃の威力を上げていくアクティブスキル、サーマルブリーダーを発動させながら、右手に雷の魔剣、左手に炎の魔剣を構えた二刀流を維持したままスキル発動のための準備を整えていく。
「邪魔だな……斬るか」
ゴウクはそう呟くと一閃、力強い横薙ぎを放つ。
すると彼が剣を振ると同時、彼の周囲に生じていた黒い霧が一瞬にして払われ始める。
(えぇっ!? そんなのアリなん!?)
スキルそのものを斬ってしまうその規格外っぷりには呆れるしかない。
だが霧は未だ全てが消えたわけではない。
このまま完全に消されてしまう前に動き出そうと、イナリは影の中に潜みながら気配を消して移動を開始する。
(けどこのまま攻撃をしても普通に受けきられる未来しか見えんな……せや、ほんなら一計案じてみよか)
イナリは再び魔剣創造を発動し、闇の中に潜みながらその気配を消すのであった……。




