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エルフが現れた。

 町は燃えた。王政廃止は失敗し、王権復帰も失敗した。

 なぜ町は燃えたのか。王に逆らい、新たな王の形を生もうとした結果だ。と、エルフは言った。哀れだと、エルフは言った。

 そこここに散らばるのは何も木片や燃えカスだけじゃない。死んだ人もそこここに散らばっている。

 ヒュートレッドを褒め称えたオッサンも、レッドの事をゴブリンだからと言って蔑んだりすることも無く話してくれたオッサンも、ヒュートレッドを見て歓声を上げたオッサンも、自身を正義だと言ったオッサンも、みんな燃えていた。

 そんな消し炭となった町で名も告げぬエルフは、ゴブリンと耳の短いエルフに言うのだ。

「つまり、お前は最初からこの町に潜伏してた。ってことか。」とゴブリンは聞く。

「些事。」と、エルフは笑う。

「お答えください。誇り高きエルフよ。」耳の短いエルフはゴブリンの側にいる。そのゴブリンのレッドは構わねえ、答えなくていい。と手を振るが、エルフはそれを無視して言う。

「居なかった。」とだけ答えるエルフ。

 それでレッドは理解した。蚊帳の外にいるのは自身だと、そう捉えた。

「居なかったのに、どうしてこのような事が出来たのですか。」と、ヒュートレッド。

「このような、では解らぬ。姫よ、その口で説明して見せよ。」と、趣味の悪い事を言い出すエルフ。とても誇りが高そうには見えないとレッドは思う。

「見てもいないのに町をひとつ焼き払うなどと言う事がどうして出来ましょう。」

「見ていようと、いまいと、下賤なもの共を焼き払っただろう。」そのチカラがある。と、エルフ。

「下賤とは、人間の事ですか。」

「左様。姫も見ておいでだろう。ゴブリンと言葉を交わす輩を、それは我々エルフに対する侮辱。」

「私もゴブリンと共にいます。私も下賤なのでしょうか。」

「おお、ハーフエルフの姫よ。エルフに穢れなど無い。」

「穢れ穢れとやかましいなおい。大体人間と手組まなきゃ滅んでたのはお前らエルフだろうが。」レッドは言う。

「過去。」と、エルフは嫌な顔全開で答える。

「未だに逃げ腰なのはそっちだろうが。」

 レッドがそう言い切る前に、エルフは無言で剣を振るった。切っ先からは火炎が飛び出す業物だ。それを空中で召喚してからの一閃を、これまたレッドは避けるのだからどちらもすごい。

 場はしばし凍てついた。が、ヒュートレッドが前に出て言う。

「私、今日は重たい日なのです。」

 場は和むのを通り過ぎてあっけらかんとした。

「姫よ。なんと?」

「なに言ってんだバカ。」

 同時に相対する者達の注意を引くと、ヒュートレッドは更に言う。

「ですから私もイライラがすごいのです。ですからこの場は両者引いては頂けませんか?」さもなければ私も剣を抜きます。と、力強く言い切る。

「あい解った。」とエルフはその場を去ろうとするのをゴブリンが逃げるのか。と、煽る。

 瞬間、剣を抜くヒュートレッド。

「やめておけ。愚物。」とエルフ。

「名前くらい覚えてやる堅物。」とゴブリン。

「エルダーナ。」そう告げるとエルフは、今はただのエルダーナだ。と、背を向けて行

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