夏休みに無理して遠出する必要は無い。 休め
夏休みも残り僅か。 人によっては地獄の始まりとなる8月後半。 僕たち! 私たちは! 卒業します! いつの間に卒業式別れの挨拶を……
冗談はさておき。 机の上に置いとく。 帰る時忘れないでね? お土産?
俺も紅葉も一応優等生なので課題は配られた当日に終わらせてるし、なんなら課題を予想して配布前からやってある。 後半はただのバカですね。
紅葉の尽力(という体裁の俺の頑張り99%)で学園に行く用事も終わらせた────ハズなのでこれといって急ぎは無く、お互い締切は乗り切っているので本当に何も急ぎの用事が無い。
「……暑い」
「退けば?」
だからこうして部屋でダラダラゴロゴロしてるんですけどね。うん夏休み前から内容変わらんね。
「……奏士から離れると奏士成分を直接摂取できない」
紅葉は汗を垂らしながら苦悩している。どうやら暑さで脳みそトロトロに溶けちゃったらしい。
いや元からこんな感じか。 忘れてたコイツ元々頭おかしい。
「……でもぎゅうしてると暑い」
「どっちかを諦めろ。 俺は暑いので離れてくれる方に期待する」
「……二律パ○パン」
怖いけどこれも元からなんだよね。 今紅葉の頭揺らしたら水の音するんじゃね?
「……だから奏士は早く『柳奏士 夏の香り』フレグランスを商品化して」
「流石のタ○トイズもそんな一点集中はしない」
しないと思う。 しないんじゃないかな。いやなんかしそうだな。 だってタマ○イズだし。 お前の中でタマト○ズどんなイメージだよ。
「僕としては普通に暑苦しいから離れてくれると喜ばしい」
「……奏士はぎゅう魔王に逆らう気?」
「お前はいつから平天大聖の真似事なんて始めたんだ?」
「……私ははなっから」
「ベ○ザブロック好きだな」
紅葉のそれは間違いでもないのがね。 人の温もりが好きなんだろう。
「……汗でベタベタ」
「離れれば?」
「……奏士はそうやってすぐ引き離す」
そんな怒られても……愛だなんだと言う前に健康を考えようぜ? 熱中症になるぞ。
「……お散歩行きたい」
「暑いからヤダ」
「……夕方」
「暑くなければ考えてもいい」
「……その言い方は行かない時の返事」
だってこの夏休み中何回行ったよ。 夕方は勿論、徹夜明けの早朝、真昼間に夜。
「……お散歩は運動不足解消にいい」
「残念ながら2日に1回のペースで散歩しているため運動不足にはなっておりません」
お陰様でね。 夏休み中ずっとゴロゴロしてるのに健康です。 まぁどっちにしろ俺は毎朝身体動かしてるしね。 もう少しでノッキングタイムを習得できそう。
「……そろそろ駄菓子も補充したい」
「近くのスーパーで買いなさい」
「……おばあちゃんの方が安い」
紅葉ちゃん金持ってる癖に変な所で抑えるんだから。 君は金で時間を買うタイプでしょ。
「あのババア嫌い」
「……この前反撃されたから?」
「折角足を運んだのに客を亡き者にしようとするとはとんでもねぇ妖怪だ」
「…………」
紅葉が「お前自分で何言ったか覚えてないのか?」みたいな目で見てくる。 覚えてないっすね。 先に俺がババアを絶滅させようとしたことなんてこれっぽっちも。
「……あとシンプルにあのババアお前だけ特別扱いしてその分俺に悪態つくじゃん」
「……でも、結婚報告したら駄菓子くれた」
「お前行く先々で知り合いに虚偽報告するのやめろよな」
この前は朝釣りに行ったらジジイ共に結婚報告をし、お友達の家にコスプレ撮影会に行ったら結婚報告をし、そしてそれをグループに広められたので俺は徐々に外堀を埋められている。 コンクリかエポキシパテで。 外堀って穴と同じ概念なん?
「……でもみんなお祝いしてくれる」
「お前が夏コミで隣サークルの俺指さして結婚報告したせいで俺のフォロワー5千人くらい減ったんだが?」
あと胸がドキドキする脅迫文とか届いた。 ご丁寧に例の指輪まで持参しやがってよぉ……
「……天音さんが言ってた」
「また奴か」
「……『結婚を渋られたら友人知人に結婚報告をして逃げられなくしてやれ』って」
「いい加減縁を切れあの化け物と」
「……遂に奏士からの評価が人外になった」
あの人悪人ではないんだけど個人的に苦手です。 なんだろうこれが姑ってやつなのか? 家系図のトーナメントに入ってくんなよ。 家系図にシード枠とか無いねん。(養子を除く)
「……あと知らないのはおじいちゃん達だけ」
「最後の砦じゃねぇか」
「……後で奏士と2人でする」
どうやらこいつの中では決定事項らしい。 ルンルンで言われてもぉ……
「……今のうちに子供の名前と妊娠計画を考えておいた後々楽」
「俺の意見だけど、卒業して即結婚は色々不便だから1、2年はお互い独身でやってた方がいいと思う」
「…………そう言えば、瑠姫さんからメール来てた」
コイツ都合の悪い話通過しやがった。 快速列車じゃねぇんだぞ。
で、なんて? ロクな話じゃなさそう。 あと俺には来てない。
紅葉がスマホをポチポチ。 スマホ触る時くらい人の上から退いてほしい。 おい俺の顔をスマホスタンド代わりに置くな。
「……『創刊10周年記念企画でサイン会等を実施したいので各々の了承(特に旦那さん)と、何かやりたい案があれば』って」
どうしよう結婚前に結婚しちゃった。 オラまだ墓場行きたくねぇだよ。
「……で、なんで俺には来てないのそれ」
「……『どうせ一緒に居るだろうから2人分送るのは手間』って書いてある」
宛先に俺を追加するだけだろうが。 ちょっとの手間を惜しむなよ社会人。
「てか何? サイン会すんの?」
「……企画書も貼ってある」
スマホでは見にくいので俺のパソコンに転送してもらって確認する。 紅葉は勿論定位置の膝上。 邪魔度は下がったけどパソコンの操作的にはより邪魔。
えーと何々? 『周年企画(極秘)』ねぇ……
「……雑誌の人気所を集めたサイン会と豪華プレゼントキャンペーン。 他、作家陣による特別企画も企画中ねぇ」
「……サイン会はちょっとやってみたい」
まぁ君は度々やってるけどさぁ。 元から顔出ししてるからそこまで気にしなくてもいいけど。
「俺一切顔出ししてないんだけどサイン会どうすんの?」
「……多分、そういう意味でも念押しされてる」
まぁ断った実績あるしね。 それでも来たって事は上層部的にどうしても開催したいってことなんだろう。
「……これで読者の皆にも報告できる」
「『お疲れ様です伊吹童子です。 この度はご遠慮ぐえっ』」
お断りのメール打とうとしたら紅葉に首締められた。 判断が早い。 特に迷いなく急所を狙う判断が。 前職暗殺者かヒットマンですか?
「紅葉、次結婚報告したら本当に離婚するからな」
「……こっちこそ、次不穏な動き見せたら孕むまで絞って既成事実作る」
クソみたいな応酬だ。 てかこれだと本当に既婚になってしまう。
「……奏士のご尊顔初お披露目」
「んな盛大な」
「……イケメン全国初公────イケメン?」
「今なんで考えた?」
素直に認めとけよ主に俺がいい顔するから。 主にってか俺だけだろ。
「……『イケメン 容姿が美しい男性を指す言葉。 また、言動等がかっこいい人を指す』」
紅葉がスマホで言葉の意味を調べている。 今の読み上げホ°ケモン図鑑みたいだったな。
「……奏士当てはまってない」
「バリバリ当てはまってるよ?」
まず当然として顔がいいじゃん? で言う事成すこと全てがカッコイイし女性のアレコレに理解あるし配慮完璧だし。 そこいらのホストよりはイケメンだと思うよ?
「……常日頃から外道の様な発言と畜生に近い行動を取るフツメン」
「お前のその盲目にならない所嫌いじゃないけど嫌い」
ウチの娘はお熱になっても客観的に見れる素敵な子。 普通こういう時って仮にも彼氏なんだから褒めちぎらない? 滅茶苦茶冷静かつ的確な分析で貶されたんだけど。
「……よく考えたら奏士をカッコイイと思ったことは無い」
「なら君は僕の何処に惚れたんだい?」
「……愛は理屈じゃない」
ヤダ素敵~なお返事どうもありがとう逃げやがったな。
「……私は奏士がカッコ悪くても愛せる」
「素直に受け止められねぇよ」
俺が言うのもなんだけど紅葉ちゃんはそろそろお世辞を覚えた方がいい。 ダーリン泣きそう。
「……流石に私もフォローしきれないからここまで来ると奏士に問題がある」
「むしろ俺にしか問題無いよね」
急に冷静になるけど、俺のイケメンムーヴは生まれてこの方マイシスターにしか発揮されてないので今後は難しいですね。
ちなみにイケメンを発揮すると付属で気持ち悪い俺も着いてきます。 ちょっと愛がデカイだけでシスコンは気持ち悪くなんかない!
「……夜の奏士はちょっとかっこいい」
「もうちょい公共の場で使えるの無い?」
「……逆にある?」
ちょっとキレ気味に返された。 そこに無ければ無いですね。 急募です。
「……でも、奏士は子どもに優しい」
「子どもは嫌いなんだが?」
「……奏士が嫌いなのはガキ。 お兄ちゃん気質で庇護欲の強い奏士は寧ろ子どもが大好き」
「まぁ可愛いとは思うよね。 国の宝だし」
子どもが泣いて笑う国は良い国と呼ぶ様に、子どもは大事にするべきだと思う。 ので僕もクソガキじゃなければ割と好き。 子どもは大人と違って汚染されてないからね。 無垢なので可愛い。
「……奏士はイクメンパパを目指すべき」
「必死に逸らした話題が元に」
巡り巡って子どもと結婚の話に戻ってきた。 最悪や。 こうなったら本当に埋めるしかないのか。
「……奏士は子どもの名前考えてある?」
「まだだろ。 お前が早すぎんの」
「……私達はオタクだからお互いに気を付けないと痛い名前になりそうで怖い」
僕もそう思う。 もうどんな名前も「あーこの名前あのキャラと同じになってる」とか「これだと響きは良いけど感じがなぁ」とか色々考えた結果痛く感じてきちゃって最終的に「結衣」とかになりそう。 逆張りなので人気ランキングに載ってないのにしたいよね。
「……ちなみに天音さんはもう出産を見据えて服と玩具を用意してる」
「まだ妊娠すらしてないのに?」
用意したところで性別分からんだろ。 金と時間の無駄になるぞ。
まぁあの人の場合、そういうの引っ括めて子どもが楽しみで仕方ないんだろうけど。 いい母親になりそうだけど愛が深いのがなぁ。 息子ならグレそう。
「……私の子どもと同じ学園に通わせて子供同士を結婚させたいから女の子を産みたいって言ってた」
「異次元のトーナメント参加しようとしてね?」
紅葉の姉になりたいあまり狂気に走ろうとしてるんだけど。 本格的に縁を切りたい。 縁切り神社行こうかな。
「……流石に冗談」
「本当に冗談か?」
特に結婚の部分。 あの人ならやりかねないぞ。 頭おかしいし。 やっぱり紅葉の姉を名乗るだけはある。
「……天音さんの期待に答えるためにも私たちも頑張る」
「馬乗りになってる所悪いけど、君のせいで僕今勃たない状態でして」
「……忘れてた」
原因は当然『1週間分の元気を前借り!』というキャッチコピーでお馴染み怪しい薬。 頑張りすぎた結果、3週間分くらい前借りしたのでマジで頭おかしい。 奏士の奏士は眠りについてる。
「……あと私生理中だった」
「それすら忘れる?」
あんなにも悔しそうな顔してたのに? 生理を嫌がる女性は多いけど別ベクトルで嫌がる人は初めて見た。 世の妊活女性はあんな感じなのかしら。
「……仕方ないからスキンシップで済ませる」
「そうしとけ」
そう言うと紅葉は再び初期位置に戻ってスリスリ。 あっつぅ……
「……何も言わなくても撫でてくれる所に成長を感じる」
「お陰様で」
「……愛しさで奏士を産んだ気までしてきた」
「俺をマザーファッカーにするな」
「……奏士は私が育てた」
「どっちかってーと俺ね? 俺が君を育てたんだからね?」
どれだけお世話してると思ってんの。 そしてどれだけお前の食事にピーマン混ぜたと思ってんの。 お子さんお幾つ? 確か成人済みです。
「……ちょっとお昼寝する」
「人の上で寝るな」
「……お散歩の時間になったら起こして」
都合の悪いことは以下略。 直ぐに寝息が聞こえてきた。 なんていい寝付き! 気絶と見間違う寝付き!
やりたいだけやって疲れたら寝てしまうウチの子に子育てなんてできるのか心配です。 もしかして俺がお世話する対象が増えるだけなんじゃ。
大丈夫かなーここまで来たら流石に覚悟くらいは決めてるってかこうなった時点で既に決めては居たけど、考えれば考えるほど心配事が増えていく。 子育て雑誌にも妻の育て方は載ってないんだよなぁ。 猫のンギモチィィィィッの方が載ってた。
「……♪」
まいっか。 世間では妊娠中にお互い準備して産まれるまでに覚悟を決めるなんて話もあるし。 まだお互い学生なんだし、ゆったり決めていこう。
……そうだよなぁまだ学生なんだよな。 する時は避妊しなきゃだよな。 どうしよう。
……………………ドムコン、紅葉に捨てられたし買っとくか。 いや紅葉の体力と頻度考えたらカートンの方が良さそう。
…………俺が父親になれんのかねぇ。 アレだぞ? 俺の家まぁまぁヤバいぞ? 俺という人間性抜きにしてもまぁまぁヤバいぞ? そんなやつがマトモな父親になれんのか?
まぁ、自分の親反面教師にすればいいか。 とりあえず悠ちゃんパパ参考に親とじいちゃん反面教師にしよ。
あんなジジイと兄弟たちに囲まれて悠ちゃんパパという真っ当な人間が出来上がったのが不思議でならない。 あの人だけ養子なんじゃね? 家系図のトーナメントで言うシード枠。 まず『家系図のトーナメント』ってワード何?
はいどーもみなさんこんにちは
トリコで1番好きな食材はベーコンの葉とドドリアンボムな作者です。 あとベジタブルスカイ編で登場したきゅうり。
世間ではシルバーウィーク?とやらがあったらしいのですが、皆さん何かありましたか? 私は丁度仕事だったので1番の思い出は仕事終わりに自宅で玩具を分解修理したことです。 その甲斐あって認識不良のヴァルバラッシャーが直りました。
ではこの辺で。 気が付けば今年も3ヶ月なんだなぁと。




