図書館騒動(名前倒れ)
さて、ここはザイラ王立学園の図書館。
夏休みが明け、北西部特有の涼しく心地よい風と幾分か夏成分が和らいだ日差し差し込む閲覧室。
本来であれば、ページをめくる音か、自主学習時に友人にひそひそ声で相談する声ぐらいしかしないのですが。
今はなかなかに騒がしい状態です
どうも。涼子と言います。
あー。神子の配偶者と言って納得しといてください。
あの子元々は戸籍上も生物学的にも男性で名前も神介でしたから。能力が上がり自分の性別を自由に変えられるようになって、高い能力値でも安定して術式行使できる女性体に長く居たら男性体に代わる方法を忘れた間抜けです。
話を戻して、今私の視線の先には神子曰く画面越しに文章で見ているにはおもしろい…というかだめだね何してもこう、ここら辺(横隔膜のあたり)がもやっとする。あれをにやにやして見られるのはよほどの野次馬根性の持ち主だよ。らしい。
何が居るかというと、まあ、端から見たらかわいいのと思うのでしょうけども、真っ赤なたらこ唇に、リスのような大きな目をしたまあ、金髪の背の小さな女子と、それを取り囲む男ども。
確か、同学年が王家の跡取りとして内定している第二王子と、王家管轄地域宰相の長男で嫡子。王立銀行頭取の息子で次の頭取。一つ下の学年で王立騎士団長の息子(こいつは跡取りでは無い。次の騎士団長は資格、能力、見た目すべて十分で、今度ラウサ大に短期編入で通うことになるこいつの姉。)
それから、王立魔法院長の双子の息子(これまた跡取りでは無い。跡取りはこれまた騎士団長の息子と同じく、資格能力美貌に優れた、姉に当たる双子のうちの姉の方。)
神子が見たら、また「こりゃ、まああ、テンプレ通りの布陣だあね。」とでもいうんだろうね。
「おい、その本寄越せ。―が読みたがってる。」
すっごいかみそうな名前だ。書いといて自分の舌をかむのがいやだから、書かない。
因みに言われたのは、確か領地がザイラスに近くて、この領域内では比較的ザイラス側に近い知識を持っているために今度の交換留学一期生に選ばれた伯爵の仲良し姉弟だったかな。
「うるさい。ここは本を読むか勉強するための場所だ。そんな騒がしくされてはこの学園に書籍閲覧の場が無くなる。」
彼らは、良く、生まれてくる性別と、見た目が逆だと言われる。
勇ましい姉と女々しい弟の組み合わせは、結構人気だった。
「これ、神子が居たらつまみ出すだろうなあ。」
『神子さんは今どちらに?』
上公と呼ばれる。3つの公爵家から大いにかわいがられている、キティ男爵家の長女で、私たちから見たら、どう見ても彼女がヒロインにならないとおかしいといえるほどかわいいチェシャが問いかけてくる。
通信魔法で。
「来月公開のCLLOS-CoilOSカーネル最終チェック。今回は、ポリメラーゼユニットの強化なんだって。」
『この通信魔法は便利ですよね。ラウサの大学図書館でも普通にこう言って会話できますし。』
「それも魔法じゃ無くて科学技術。左中指のラウサ大学図書館貸し出し許可証が組み込んである指輪外してみて。」
指定した指輪には我らが開発ばかこと神子の部下達が開発したまー簡単に言っちゃうと指輪に偽装した携帯電話です。ただしマイクは、発言者の耳が拾った発言者の声を脳が変換認識した物をそのまま、神経を通して読み取っているというなかなかに高性能。
受話も、神経を通して、脳の聴覚領域に直接書き込んでいるのでまあ、彼女は王家管轄地域側だから科学に対して知識の蓄積も少ないし魔法に感じても仕方ないか。
馬鹿6人組が、学園長室に呼び出されて、図書館の主にものすごいでっかい雷を落とされた上にそれぞれの両親からも、次騒ぎ起こしたら卒業まで実家から出さないという内容の手紙を受け取った。
それでも懲りないのがすごい。
男どもは生徒会を組織していたのだけど、その名に権力があると勘違いして、いろいろ好き勝手やった結果、神子が委員長に(学園長からのご指名で)なっている、学園監査委員会の抜き打ち監査ですっぱ抜かれて王宮に呼び出された上で上の処分が決定。
神子じゃ無いけど、あれはリアルで見たら殴りたくなるね。あれをドラマ化しようとする連邦のテレビ局の気が知れないよ。




