番外編1「幸福な世界のために」
「俺は勝、勝つって書いて勝って読むんだ!」
俺と神奈は出会った。
同じ学校同じクラス。
俺たちは前世の記憶を覚えていた。
それだけじゃない。
奇跡的に名前も一緒だったのだ。
苗字は違うが。
「ねえ、勝。明日クリスマスイブだよね!」
「ちょっと待って、怪我が」
「もう! 喧嘩ばっかりするからでしょ!」
俺と彼女は付き合っていた。
俺は相変わらず悪を成敗していた。
身近な悪。
小さい頃から毎日体を鍛えていた。
そのおかげか喧嘩が強くなり。
多数の不良共とも渡り合えるほどだった。
もちろん学校での俺の扱いも不良だった。
親からは呆れられた。
それでも良かった。
俺の側には神奈がいる。
それだけで俺は幸せだった。
「いてて……」
安江クリニック。
俺はそこの病院に入った。
今回の喧嘩はきつかった。
骨折とかしてないか。見てもらいたい。
「次の方どうぞ」
ふと担当医の名前を見る。
田中康夫。
ありふれた名前だ。
だが俺はどこか期待してたのかもしれない。
「今日はどうされました?」
「その前に質問していいですか?」
「はい?」
「俺。勝って言うんですけど前世で会いませんでした?」
「へ?」
担当医から疑問符が返ってきた。
やはり、違うか。
康夫という名前はありふれているし。
それに康夫が前世の記憶をもっているとは限らない。
仕方がないか。
そう思った瞬間。
「おおっ貴方でしたか!?」
担当医の康夫は感嘆な声を発した。
「覚えてますよ。救世主様!」
その呼び方はやめてもらいたい。
俺と康夫の話は弾んだ。
望み通り医者になっただの。
神奈はどうしたかだの。
いろいろだ。
「それではお大事に」
康夫と携帯番号を交換した。
「今日康夫に出会ったよ」
「そう」
「何だ? あまり嬉しくなさそうだな」
「あまりにも奇跡すぎて驚いて言葉が出ないのよ」
「そうか」
「私と貴方が出会ったのも奇跡だった」
「だな」
「神様に感謝しないとね!」
そうだな。
今の俺の毎日は充実している。
もちろん完全に幸福なわけではない。
不幸なこともたくさんあった。
でも神には感謝している。
俺に幸福な世界を与えてくれた。
俺の将来の夢は世界中の貧困、飢餓、戦争を無くすこと。
曖昧な夢だが。
そういった仕事に携えればと思っている。
これで終わりじゃない。
まだ世界は幸福じゃない。
俺も世界に貢献しようと思う。
幸福な世界のために。




