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盲目貴族は小説を書きたい。  作者: Yな奴
マリア魔法学院

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12/12

小説を書いていたい。

 「それを言うのは、この私ですッ」


 ジャンヌの言葉と共に無数の魔法陣が展開される。

 音からして僕と同じように氷柱を飛ばすつもりなんだろう。

 外から聞いていた僕にだけ、ジャンヌのしようとしていた事がわかった。


「真正面から魔法陣を展開してどうする気ですか?」


 シルヴィは魔法陣を見ているだけだった。

 ただ見ているだけでジャンヌの魔法陣を全て破壊した。


「そうすると思ってましたよ。」


 魔法陣を全て破壊されても尚、ジャンヌは余裕そうな表情のまま立っている。

 シルヴィがジャンヌの方へと歩いて行こうとした直後、背後から氷柱が飛んできた。


「おっと。」


 当たる寸前でシルヴィは魔法陣を展開し、氷柱を弾いた。

 シルヴィが振り返ると背後にはジャンヌの魔法陣が展開されている。

 それを見たと同時に魔法陣は粉々に砕け散った。


「なるほど、遠距離で魔法陣を展開した訳ですか。」


「流石は首席。」


「以前の貴方では出来なかった事をするとは。」


「少し見くびっていましたよ。」


 上から目線の態度でシルヴィは言っている。

 まるで師弟の会話のようだ。


「シルヴィ、貴方の傲慢な態度も今日で終わりです。」


 一瞬で距離を潰す、既に剣の間合いまで近付いた。

 そのまま剣をシルヴィへと振り下ろす。

 ジャンヌの剣を防ぐようにシルヴィも剣を抜き、片手で軽く止めた。


「私の剣術は以前とは別物ですよ…」


 激しい打ち合いの最中でジャンヌが口を開く。


「すいませんね、ジャンヌ。」


「以前の剣術が酷すぎたので私は覚えてません。」


 いとも簡単にジャンヌの剣を弾く。

 シルヴィが近距離で魔法陣を放った。


―――ガツンッ


 鉄板のように魔法陣がジャンヌの顔に直撃した。

 

「ははっ、つまらない小細工ですね!」


 顔を真っ赤にしながらも啖呵を切ってみせたジャンヌだが、次の光景を見て息を呑む。

 既に無数の魔法陣が眼前までに接近してきていた。


「小細工という暇があるのなら次に備えてみたらどうです?」


 シルヴィの言葉でハッと我に返ったジャンヌ。

 急いで地面に魔法陣を展開して、飛んできている魔法陣を全て凍らせようとする。


「実に愚かですね。」


「焦るなと教えた筈ですよ、ジャンヌ。」


 シルヴィが言ったと同時、ジャンヌの展開していた魔法陣が一瞬で砕けた。

 それにより、ジャンヌは魔法陣から身を守る術を失ってしまう。


「な、しまっ…」


 魔法陣が一斉にジャンヌに直撃する。

 それと同時に凄まじい冷気が周囲に流れ込んだ。


「なるほど、身代わりですか。」


 魔法陣が通り過ぎた所にはジャンヌの氷像ができていた。


「チェックメイトですよ、シルヴィ!」


 シルヴィの背後からジャンヌが接近してきていた。

 魔法陣を手首に展開して叫ぶ。


「ニヴルヘイム!」


 言葉と同時にシルヴィの身体にジャンヌの手が触れた。


「な、そんな…これは神聖魔法ですよ!」


「こんな事、あり得る筈が…」


 シルヴィに触れた瞬間、ジャンヌの手首に展開していた魔法陣がいとも容易く砕け散った。


「それが魔法であるなら、神聖魔法であろうと」


「私の目の前では無力ですよ。」


 そう言いながらシルヴィは魔法陣の剣をジャンヌの首元へ向けて言う。


「さぁ、今回もチェックメイトですね。」


「くっ……」


 苦虫を噛み潰したような声をあげながら、ジャンヌは自分の敗北を認めた。

 それと同時にジャンヌのアイスフィールドは溶け落ちた。


「キャシー、私達の戦いは聞こえてましたよね。」


「き、聞こえてました。」


「それなら、今回の戦いを活かす為に後で特訓稽古をしましょう。」


「嫌です、小説書きたいです…」


「何を寝言をほざいているのですか?」


「貴方に拒否権はありませんよ。」


 満面の笑みでいうシルヴィを見て僕は思った。

 やっぱり僕は何をやっても劣ってる。

 どうせならシルヴィを越えてみたいと思っていた。

 僕の悪い癖だ。

 変な思い上がりのせいで簡単に絶望する。

 小説しか無いんだ、それ以外で劣っている僕には。

 その為にも僕はシルヴィから視力を得る方法を知らなければいけない。

 


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