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【 館からの退出 】
「私たちはもう、死んでいるのでしょう」
そう言ったのは、ユリカだった。彼女は現状を受け入れた顔で、そうカゲに伝えた。
「この館はまやかし。存在しない記憶の集合体にございます。皆様は既に、あの世にはおられません」
「ふふっ、こっちがあの世ってわけね。なんだかそんな気はしたわ」
ユリカは笑って言うが、その心は笑っていないのだろう。死んでいるという事実はそれ程受け入れがたいものだったからだ。
「最後に一ついいかしら」
「何でございましょう」
「あなたの名前、『京日の川』から来てるのね」
「さあ、どうでしょうか」
そう言ってカゲは笑った。その時、マブチ達の居る空間が揺れ始める。この空間に来た時の比にならない程の揺れである。
「何だよ、この揺れ……! 」
「きゃあああっ! 」
アサヒは目の前の出来事に呆然とし、キョーコは叫ぶことしかできなかった。しかし、マブチとユリカはその事態の意味を理解していた。
「館の『秘密』が、取り戻されたからですかね」
「そうみたいね。『秘密』を思い出せばこの館から出られる。それはこの館自体も例外じゃないってことでしょうね」
「それで崩壊ですか。ははっ、何回殺されるんですかね」
「恨みの分だけじゃないかしら」
「なんだか最後まで、こんな雰囲気でしたね」
「あなたの『秘密』が明らかになった時以外はね」
「それはユリカさんもそうでしょう」
2人は館が崩壊する最後まで、そんな冗談を言い合った。床が崩れ、4人は空中に放り出される。今度は気のせいなどではない。館の下には、やはり川がある。
「それで『落ち川』か」
その言葉を最後に、マブチの意識は消えた。もうそれ以上、音が聞こえることは無かった。
「またね、お兄ちゃん」
◇ ◇ ◇
【 TRUEEND. 白詰の館 】
おめでとうございます。本作の本当のエンディングへと到着されました。館の謎は気に入っていただけたでしょうか。最後にエピローグがございますので、そちらも読んでいただけると幸いです。




