↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/43

21

 【 異変 】





 館に来て、3日目を数える朝が来た。だがそれは、平穏なものでは無かった。前日のことを引きずってではない。この朝自体が、異常と言えるものだった。




 ドンドンッ!



 

 激しいドアのノック音で、マブチは飛び起きる。この起き方をするのは、館に来てからだけである。マブチは現在の状況を理解する事が出来ないまま、少し不用心に扉を開ける。


 「今すぐ起きて! 」


 扉の前に立っていたのはユリカだった。その表情は焦りの色をしており、どこか冷静ではない様子だった。


 「何かあったんですか……? 」


 マブチはユリカにそう尋ねたものの、廊下から漂ってくる匂いで彼女の言いたいことを先に察する。


 「まさか、火事ですか!? 」


 「まだそうなっては無いわ! でもこのまま放置すると、この館ごと無くなるわよ! 」


 そのマブチの最悪の予想はほとんど当たっていたようで、ユリカはマブチにそれ以上は伝えずに階段の方へと向かって駆け出した。階段の方には既に不安げな表情を浮かべたキョーコとアサヒの姿が見えた。マブチは昨日までの彼らとの軋轢を一度無視して、2階へと急ぐ。






 ◇






 「うっ……」


 2階に上がってすぐに、マブチは自分の口元を反射的に抑えた。物が焦げているような匂いと、2階の廊下に薄く漂っている廊下の様子から、非常事態が起こっていることは最早明らかだった。


 「こっちよ! 」


 ユリカは自分の持ち物と思われるハンカチを口に当てて、問題が起こっている場所であると思われる、ボ(・)イ(・)ラ(・)ー(・)室(・)へと向かった。この館の中で常に稼働しているのは、キッチンにある冷蔵庫と風呂場に隣接したボイラー室だけだ。どちらの方が火事になり得る可能性が高いかは明白だった。それを見てマブチは、キョーコとアサヒの方を見る。


 「キョーコさんはユリカさんに、僕たちが水を持ってくることを伝えて! アサヒ君は僕と一緒に洗面所に行くよ! 」


マブチは自分が冷静ではないことを理解していたが、最低限の指示だけ伝えて洗面所へと向かう。そこに行けば恐らく、バケツなどの用品がある可能性が高いと判断したからだ。


 洗面所の扉を開けて中に入る。いくつかの流し台があり、その下に物をしまうようなスペースがある。マブチはそこを開き、中に入っているものを確認する。


 「あった」


 学生だった頃に何度も見た青色のプラスチック製バケツがそこには入っており、マブチはそれを置いてある限り取り出す。そのタイミングでアサヒが洗面所へと入り、2人で協力してその中に水を入れる。


 1分程で水の入ったバケツが、マブチとアサヒの両手に持てる分だけ準備できた。マブチ達は急いでそれを持ってボイラー室へと急ぐ。マブチとキョーコが2階を捜索した時には、ボイラー室は東西に真っ直ぐ伸びる廊下のどちら側からでも入れることを確認していた。


 バタンッ!


 マブチは洗面所のある北側の扉からバケツを持ってボイラー室の中に入ると、そこはまるでサウナのように熱気が充満していた。長い間はここに居られないということが、直感的に理解できた。


 「真ん中の計器よ! そこから熱が出てる!」


 その時、ボイラー室の反対側の扉の方に居たユリカが、マブチを視認してそう伝えた。ボイラー室の中央には動力を調整するための計器が中央に設置されており、確かにその辺りが蜃気楼を生み出しているのか、空気をゆがめていた。


 「おらぁっ! 」


 ユリカの声に反応し、アサヒは手に持っていたバケツの中の水を計器に向かって浴びせる。それに続くようにしてマブチも、中央の計器を水で濡らす。計器からは熱気に反応したのか大量の水蒸気のようなものが発生し、ボイラー室の中に充満する。


 「中は危ない! 外に出るんだ! 」


 マブチは反対側にも聞こえるような大声でそう言った。自分自身もすぐに、ボイラー室の扉を開けたままその外に飛び出た。






 ◇






 そこから5分程経過し、廊下に充満していた焦げ付いた匂いと煙のようなものは見られなくなった。マブチは慎重にボイラー室の中に入り、安全を確認する。


 「全く……」


 今回の異常の原因と思われるボイラー室の調整計器周辺は熱の影響で変形してしまっており、厳重に重ねられていた金属の枠のようなものが壊れている。


 「……ん? 」


 マブチはその計器の保管された場所に、光る何かを見つけた。慎重にそれを取り上げてみると、どうやら鍵の形をしている。それを見て、マブチは今まで引っかかっていた館の構造が頭をよぎった。


 「これが、開かない部屋の鍵なのか? 」


 マブチがまじまじと鍵を見つめていると、反対側の扉が開き、恐る恐るといった様子でユリカが顔を出した。


 「あなた、それって……」


 「ええ、恐らく開かなかった部屋の鍵でしょうね。それなら、ちょうどいい」


 マブチはそれを握りしめてポケットに突っ込んだ。


 「試してみましょう。きっと、『秘密』に関わるものがある」


 マブチのその言葉に、ユリカは緊張を露にする。それは、マブチの言っていることが間違いだと疑う余地がなかったからである。ここまで厳重に隠されているものが、『秘密』に関係ないものだとは到底考えられなかったからだ。


 「分かったわ」


 ユリカは覚悟を決め、マブチの指示に従った。その先に待っていることを、予想できたうえでのことだった。






 ◇






 マブチはアサヒを、ユリカはキョーコを連れ、4人は開かずの部屋を鍵を用いて開けることが出来るかどうかを確かめた。初めにアサヒの部屋の真上にある方へと向かったが、そもそも鍵穴に対して鍵が合わなかった。見てすぐに、形が違うと分かるのである。


 ボイラー室で手に入った鍵は、2つの開かない部屋のうち、もう片方の扉を開けるものだった。洗面所の右隣、キョーコの部屋の真上にあたるその部屋は、鍵穴を回すことでガチャリという音を立てて開いた。


 4人が少し緊張をはらみながらその部屋へと入ると、そこにはただ一つ、年代を感じさせる渋茶色の机が置かれているのみだった。それ以外は何もない。そもそも、照明すらついていない暗い部屋だった。廊下から差し込むわずかな光を頼りに、4人はその机へと近づく。





 その机には、鍵付きの引き出しが、左右の上下についていた。引き出しにはドアノブの時と同じように鍵穴がついており、それを使えば開きそうであった。


 「ここに、『秘密』を取り戻す手がかりがあるのかもね」


 「ほ、本当に開けるんですか……? 」


 「どの道、開けるしかねぇだろ」


 「……決まりね。でも、どこを空けるつもり?」


 4人はそれぞれの思惑を基に、そう言った。そしてマブチはしばらく考えた後に、古びた金属の鍵を机の引き出しへと差し込んだ。






 ◇ ◇ ◇






 【 アイテム⑫ ボイラー室で見つけた鍵 】 を入手しました。







 ※以下の選択肢には「条件」がございます。注意してお進みください。




・【 アイテム⑤ 】 を既に入手しており、直前の2日目の探索で「キッチン」を選び 【 アイテム⑥ 】 を入手している場合。


→ 目次から「22」へお進みください。





・【 アイテム④ 】 を既に入手しており、直前の2日目の探索で「洗面所」を選び 【 アイテム⑦ 】 を入手している場合。


→ 目次から「26」へお進みください。





・【 アイテム② 】 を既に入手しており、直前の2日目の探索で「娯楽室」を選び 【 アイテム⑧ 】 を入手している場合。



→ 目次から「30」へお進みください。





・【 アイテム③ 】 を既に入手しており、直前の2日目の探索で「書斎」を選び【 アイテム⑨ 】を入手している場合。


→ 目次から「34」へお進みください。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。