死体の海岸
この話は仮想である。
その事を現実と捉えること無く知ってもらいたい。
何故なら、この話は想像の中の話である。
◇◇◇
僕が気づいたのは。
潮風の聞こえる海岸であった。
それはよく想像していた様な綺麗な海ではなく‥‥‥
‥‥‥戦後の死体と血の匂いがした。潮風に混ざりながら。
何が起こったかわからない。
あぁ‥‥‥ここはどこだ?死んだのか。
血の匂いは鼻を霞む。
此処にも死体が。彼処にも死体が倒れていた。海に浮かび海岸線に浮かび浮揚しているものも。
まるで潮風が除化しているかの様に。
争いでも合ったのだろうか?
死体の数は百にも満たないが、開けた砂浜を周り込む程の数はすぐ分かる。男性が多いが女性も見受ける。
‥‥‥時間が経っているからなのか、これが人間の性なのか異臭が凄い。砂浜全体に浮揚している様に死の匂いが。
「くっ!ここは。。地獄か。。せめてこの匂いは要らない。失くせよ!それくらいいいじゃんか!神様」
‥‥‥(良かろう―――)
どこかで音が聞こえる。
耳や近場でなく、頭に中だ。脳髄に聞こえる。
―――次の瞬間・・・ 悪臭は消えた―――
ここは地獄だったのか。しかし神様はいた。
匂いが収まると混乱している脳皮が活動しだす。
ふと両手を見て。
手が当たり前に着いて要ることに安堵する。
(良かった。指も動く。。。あれ?)
左手首に垂れ流れる傷が?
あれ?痛くないけど。。。?これヤバいよね?‥怪我したのかな?
現実感は無いが結構深くドクドクと血が溢れていた。濯ぐ様に血を口に含み。僕は低血圧の様にふらふらふふらと歩む。
「ジャリッ!」と音のする砂浜をただひたすらに。
季節は初夏かそれ位の時期だ。服は簡易な粗い布地。もちろん暑いが、喉は潤っている。僕の血で。意外と旨い。サラッとしてないけど、匂いがないから普通に粗いトマトジュースみたいだ。
この時僕は分かっていなかった。
ここは既に地獄だった、と―――
◇◇◇
海岸を歩く事で分かってきた。
ここは、、どこの島だろうか?
いや、海の向かいに島が見えるからこちらが本土か。
死体を見るのは好きではないが、現実を見る。情報が少しでも欲しい。髪は黒く、比較的中年が多い。着ているものはみそぼらしい。
というか。編んだ布に紐を巻きつけているだけだ。
死んだ原因は。喧嘩の様な打撃痕か。
そこらにある流木を見れば血も着いている。中には切られている者もいるが、武器は見当たらない。
既に争いから幾分と時間が立っているのだろうか。
周囲に動く気配は無く、ただ波の音がザザーっと繰り返しられ、波の泡が比例し光に反射している。
‥古い時代なのかな?
多くが素足でありリアルに死体であった。確認する程でもなく、それ以上以下でもない。匂いはしないが、、皆肌が青黒く。動く気配がない。砂は所々血を吸って赤黒く。飛び散っていた。
(気持ち悪いな。。誰か生きていないのか)
音は自然の音だけが鳴り響く。
「ジャリっ」と沈む足元を見ながら草木のあるほうではなく、海岸沿いを歩く。暑い。汗が滴る。血が垂れる。。痛くはないし匂いは消えていた。
(あれ?潮の匂いも消えて。。?)
冷静に思えばかなりおかしい事に気付くが、気付かなかった。どこか夢見心地で、血が流れ過ぎたかもしれない。頭がボウボウとしていた。
ここはどこなんだろう。。
ああ鳥も居るし鳴き声も聞こえる。
あれ?僕はいつからここにいるんだろうか?そんな事が何度も頭の中でぐるぐるする。常に疑問が先に出て答えは無い。
ふと後ろを振り向く。
そんな時間は立ってないと思うが。
二km程海岸を歩いたらしい。足音は遠く残り。見えない範囲まで伸びていた。ああ‥疲れてるな。考えも纏まらない。
不意に力が抜けた。
どこに行こうと。
腰を下ろして両手を上げて。
うぉー疲れたぁーと倒れる。
意外だった。想像していたジャリっと言う感触でなく。
『グニュ』
ふぁ!っと手元の変な感触を嫌い飛のく。
まるで蛸か海月を踏んだ感触だ!
‥‥‥そこには一人。
柔らかい肌の女の子が倒れていた。
―――生きている。
そう感じたのは。
僅かだが呼吸音が聞こえた。波の音が後に被さるが、すぅ〜すぅ〜と。確かに耳元へと聞こえた。
髪は濡れ砂まみれ。しゃがんで少し首に手を当てる。
トクン‥‥トクン‥
あぁ。。。
良かった。この世界で生きてる人を見て。
朦朧としながら優しい鼓動を聞いて。
安心したのか、その場で倒れる。
日は少し傾き頭がいきなり重くなり・・・目蓋が一気に降りて来た。黒くなると不思議なくらいぐるぐる回る。
一瞬で僕は眠りについた。疲れていた。
◇◇◇
実は僕が歩き辛かったのは。
血を流していたからでは無く。足元が砂浜だから進んでいない訳でも無かった。身体が六歳であったのは後々気付く事になる。
僕はいわゆる―――転生していた。




