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冷酷王太子の過去(sideアレンスティード)

俺、アレンスティード=ディストハイドの昔話をしよう。


王妃である母上が早くに亡くなり、後ろ盾がない王子は邪魔なのか、幼少期は誰にも顧みられずに生きてきた。しかし、8才になった時に父上である陛下が俺の待遇の悪さに気づき、父上の宮の隣の宮に俺を移した。


しかし、父上には新しい王妃がおり、俺は第一王子で次代の王に最も近いとして疎まれていた。

王妃が産んだ2人ともが王女だったのいうのも焦りに拍車がかかっているのだろう、、、しだいに俺は命を狙われるようになった。

はじめは、食事に、飲むと数日動けなくなる麻痺毒が仕込まれていた程度だったが、だんだんと過激になり、しばらくすると刺客が襲ってきたりした。

俺は別に王位に興味などないのに、と命を狙われる人生に疲れ切っているある日のことだ。俺の元に刺客がやってきた。


刺客が投げた暗器が俺の目の前に来た時、

視界から暗器が消えた。

俺の視線の先には、刺客を一瞬で切り捨てた騎士らしき人の後ろ姿が見えた。。。


「えっ?」

俺は間抜けな声を出すことしかできなかった。


騎士らしき人はこっちを振り返ると、

「貴方は馬鹿ですか!!もう少しで死ぬところだったんですよ!!」

初めてだった、、、

俺を守るために剣を振るってくれた人も、俺自身を心配して怒ってくれた人も、、、


ぽろっ

俺の目から涙が出た、、、

するとその騎士はうろたえ、幾分か優しい声で

「私はレイティアと申します。失礼ながら貴方は?」と尋ねてきた。

俺は「アレンスティード=ディストハイドだ。」

と俯いて小さな声で答えた。


するとその騎士は跪き騎士の礼をした。

「申し訳ございません。殿下とは知らず、

ご無礼を致しましたことを謝罪します」と畏まって言われた。


やっぱりこの人も《俺》という人間を見てくれないのか、、、、

「やめてくれ、ひざまづいて欲しくて名前を名乗ったんじゃない。あとで褒美を送る、、、ではな」

とその場から去ろうとすると、その騎士が


「こちらこそ褒美をもらうために貴方を助けたのではありません!!」と反論してきた。


俺は「ならなぜ俺を助けた」と冷たく返す。


するとその騎士は真剣に考え込み、、、、、

「..........そこに刺客がいたから?」と、どこかの登山家のようなことを言った。


「っはは、あはははっ」

俺は初めて心から笑った。





俺はひとしきり笑い終えて、騎士の方を見たら、

騎士も笑みを浮かべていた。

「やっと笑いましたね。アレンスティード殿下は笑ったお顔が1番ですね。」と言った。

なんだか嬉しい気持ちになった。


「ありがとう」と、素直に気持ちを伝えると、騎士は真剣な表情になり、


「やはり、褒美を頂きたく、、、」

と言った。


俺は無表情に戻り、「なんだ」と言った。


すると、騎士は俺の足元に跪き、

「殿下、いえ、アレンスティード様、貴方様に私の剣を捧げさせていただきたいのです。」

《剣を捧げる》というのは騎士が生涯の忠誠を誓う相手を決めた時に使う言葉だ。


「それが褒美でいいのか。」

尋ねると、「もちろんです。」と即答された。



これが《俺》アレンスティードとレイティアの出会いだった。

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