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2.弾丸遊泳

 捻じれた白い気流の明滅、燃えた敵機は雲へ沈んでいく。回転しながら仲間の一機が落ちていく。前方にまた敵機の背後を捉える。発射した追尾ミサイル。その音がコックピット内にまで伝わる。全弾命中。敵機は燃え落ちる。太陽の近く、すぐ真横に貼りついた僚機からこちらへ、ふざけたアイコンタクトを注がれ、通信を起動する。

「サオトワ、任務に集中しろ。さもければ帰還しろ。」

『……イエッサー! ウサウサ隊長! 過去一集中しています!……』

「うむ。それならさっさと行け。」通信を終了。

 何かまたふざけた返事をしていたらしいミヨー・サオトワの口パクと身振り手振りが、コックピットからすぐ横にあった。目が合い、それだけで彼女はやけに嬉しそうな表情を浮かべる。それからサオトワはこちらに大きく手を振ると、急速な下降を始める。サオトワの発進した下方向には、敵のカブトガニ型両翼機十数台が陣を成し、突如として消失した私とサオトワの両機体を探しているようだった。我々は一時的に太陽の光に姿をくらましていたのだ。あの程度の数ならサオトワの奇襲は単独であるべきだろう。私は太陽の近く、コックピットの中でなお息を潜め、窓からサオトワの戦いぶりを覗く。

 十分な高度であったため、横に広がった敵機全てに照準を合わせることには成功したらしい。急降下するサオトワ機から最大数のミサイルが発射される。爽快な命中率。爆発と煙を上げて落ちる大量の敵機。一機のみ撃破し損ねたようだが、サオトワはすかさずその片翼に生き残ったエンジンを機関銃で破壊。

通信を起動。

「サオトワ、よくやった。」

『……イエッサー! ウサウサ隊長、太陽が眩しいです! 早く降りて来てください!……』

「当該作戦区域をクリア。他にも生存した者は応答をくれ。」

 続々と返ってくる応答。10人中7人生還とは大したものだ。本部から通信が入る。

「こちらガーベイジ・ウサウサ。」

『ウサウサ小隊長。任務の遂行を確認しました。帰還してください。』

「イエッサー。」通信終了。それから小隊全体に通信。

「それではウサ小隊、以上を持って作戦終了とする。全機帰還せよ。」

『……イエッサー!……』

 サオトワのやかましい声で他の隊員の声がかき消される。真横を見れば、寄って来たサオトワ機がぴったりとついて並走している。

「……サオトワ、ウザいからやめろ。」

『……ひどーい! 隊長冷たい! ミヨーは何もしてないのに……』

「通信を終了する。」

『……あー! ちょっと待……』

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