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隣のキミと過ごす、本当の恋人までの一年間。  作者: 四乃森ゆいな
第二章
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第14話「幼馴染の様子が、いつもと違う……?」

 古今東西──『幼馴染』という存在は、似ても似つかない者同士が当たり前らしい。それこそ、性格であったり特技であったり。


 人にはそれぞれ個性がある。同じ人間はいないとまで言われているほどだ。その仮説は正しくも遠い仮説であることに間違いはないと考えられる。


 多種多様な性格、特技、不得意を併せ持った『人間』は幼馴染という固定概念だけに留まらず、友達や親友ましてや恋人なんかにもあり得る。しかしその中で、幼馴染はお互い、別の性格になることが多いとのこと。


 多くの場合では、別々の人間であるがためにその性格が自分には当てはまらずに切り捨て、別の性格へと変わるのだという。詳しい理論は知らないけれど。


 ともあれ、私と晴斗がまさにそれ。


 常に明るく振る舞うことが得意な私と、常に他人から一線を引く根暗な晴斗。

 全く似つかない幼馴染へと成長してしまった私達だが、おそらくその理由は……晴斗への荷が重すぎた影響なのだと今では思う。過去のことのため、タイムマシンでもない限り、その過去は修復もせず最善にも成りやしない。


 そのため、藤崎君や佐倉さんのように、まったく同じような性格を持ったまま育つことは稀なことらしい。希少というには言い過ぎだが、互いが似ていて、似つかない部分が少ない幼馴染というのは、恋愛小説の中でもかなり少ない頻度だと思う。


 ……まぁそんなことを述べても、あくまでこれは創作上での“当たり前”。

 現実にも果たしてそんな理論が通用するかは謎でしかない。


 それに、幼馴染という存在そのものが『架空』の生き物であると思われているのだから、まずそこの認知を優先すべきかもしれないけど。




 ──さて、では話を戻そう。


 知らないところを埋め尽くすような関係として育ってきた私達だったが、私は未だに謎に思う点が幾つも存在している。


 その1つに、晴斗の表情の読みにくさが含まれる。

 これに関してだけで言えば、似ても似つかない部分──私には無い晴斗の特技だろう。


 人は感情が表に出やすい生き物らしい。

 多くの人間は、どんなに小さく些細な嘘でも、世の中を渡れば平然と吐く人間がいるものだ。


 しかしそんなド畜生な奴らばかりではない。中には、嘘を隠し通すのが苦手で、図星を突かれた場合──思わず表情が鈍くなってしまいすぐにボロを出す人間がいる。その人達は大抵、隠し事が苦手な人間だ。……実際、私もその中の1人です。はい。


 ただし、晴斗の場合は違う。

 隠し事が苦手ですぐに晴斗に見破られるという事例を持つ私とは違い、晴斗は何か隠していたとしても、感情が表に出ないのだ。……希少価値高すぎない?


 なんて冗談は置いておいて……。

 とにかく、彼に隠し事をされた数週間前──彼が何かを隠しているのは明確だった。まぁ幼馴染だし、それぐらいなら。

 けれど肝心なのは──その中身だよ、中身!!


 ……そう。要は、彼は隠し事が上手いのではなく、隠し事の『内容』を隠すことが得意なのだ。つまり、肝心な内容を中々表情に出さないこと。自分に図星を突かせないことが得意なのである。


 とは言っても、素人目では彼が隠し事や嘘をしていることにすらも気づけない。

 現に私が初めて隠し事に気づけたのは、そんなに昔の話じゃないし。



 ──では、何故いきなりこんな話をしたのかについてだけれど、もう察した人も多いのではないだろうか?



 先程も言った通り、晴斗は隠し事をすることが得意なのである。

 それは素人目では見破れず、幼馴染である私にも簡単にその素性を明かさない。

 そう。晴斗がまた、私に隠し事をしているようなのだ。


「──ここの知識は受験にも響く重要なポイントなので、一般受験する人はメモするようにすること。それじゃあ、ここの詳しい説明をすると──」


 と、そんな歴史担当の先生の話を聞き、一斉にメモを取り始める中──私の真隣で静かに授業を受ける晴斗は、机に頬杖をついた状態で授業内容のメモも取らずに、窓の外へと視線を誘導しているようだった。

 まるで──私との視線を合わせないようにするために。


 単なる自意識過剰かもしれないが、長年彼の隣を歩んできた私には不思議とわかってしまう。晴斗が、私を避け始めていることに──。


 そもそもの話、どうして私がこう思ったのか……話は今朝の登校前まで遡る。

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