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隣のキミと過ごす、本当の恋人までの一年間。  作者: 四乃森ゆいな
第二章
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第15話「幼馴染との、いつも通りだった今朝のこと①」

「おはよう、晴斗! それに優衣ちゃんも!」


「おっはよーございまーす!」


「……おはよ」


 今朝のいつもの時間。

 登校時刻の5分前──私は最近一緒に登校することが増えたために、こうして幼馴染の晴斗のことを迎えに行くことが日課になっていた。


 そしてあわよくば、この間のように一緒にご飯を……なんてね? ま、まぁあれは、優衣ちゃんが日直で早く出ちゃってたから出来たシチュエーションだけど。

 晴斗の妹である優衣ちゃんは「どうぞどうぞ~」と私を軽く家の中へと招く。

 ……いつも思うけど、優衣ちゃんってどうしてこんなにも私に協力的なのだろうか。


 本人曰く「焦れったいから」という理由かららしいけど。……でも、本当にそれだけなのだろうかと時々思う。何より、晴斗の妹さんだから──。


「……何勝手に入れてんだよ」


「無条件でもないでしょ? 晴兄だって、本当は嬉しいくせに~」


「はぁ……。わかった、わかったから。……渚、少し待っててくれ。片づけしてくる」


「……あっ、うん。わかった」


 そう言って晴斗は、ため息を吐きながらリビングへと戻って行った。

 多分、朝ご飯で使った食器やら何やらを片づけてた最中だったのかもしれない。


「──それで。兄とはどこまでいったんですか~?」


「ふぇっ!? な、何いきなり……!!」


「あれ? もしかして、何も進展してない感じですか? 嘘だー! この間とか、絶好のチャンスだったじゃないですかっ!」


「この間……?」


「私が日直で早めに出た日ですよ! 私という家族の目もない、まさしく2人っきりという絶好の機会。ラブコメにしても少女漫画にしても、これ以上無き最高のシチュエーションじゃないですかっ!!」 


「そ、そんなことを言われてもぉ……」


 図星を突かれた私は怯んで動けなくなってしまった。

 ……確かにあの日、優衣ちゃんは朝からいなくて登校も2人っきりだった。……だったけども、そんな雰囲気じゃなかったんだよね。お互いに。


 というのも、晴斗からの提案で『幼馴染では出来ないこと』をしようとしたのはいいものの、互いに地雷を踏んでしまったような感覚で、晴斗の腕にしがみつくしかなかった。恥ずかしさが何よりも勝っていて……同時に、晴斗が離れることが嫌で、結局私のわがままに付き合ってもらうような形になってしまったのだ。


 幼馴染だった頃と変化がない──まさに“幼馴染の延長戦”でしかないと感じた私達だったが……過去の失態の通り、見事なまでに木っ端微塵。

 恥ずかしがって、墓穴を掘って……そんな中で『何か』をする余裕なんてもってのほかだった。


「はぁああ~……。あのですね、渚さん。いくら鈍間のろまな晴兄でも、渚さんに告白をした時点で好意を抱いてるのは確信してるんですから、もっとズカズカいっていいと思いますよ」


「……ズカズカ?」


「そうです! というより、寧ろそれぐらいの刺激がないと、あの根暗な兄が自分から何かするわけないんですから!」


 ……そうは言うけどね、優衣ちゃん。

 あの水族館デートのとき──晴斗は自分の意思と勇気で「好きだ」と私に返事をしてくれたんだよ。つまり、それぐらいの度胸はついたってことなんだよ……少しはオブラートに包んであげてね。


 そんな討論を繰り広げている中、鞄を肩に掛けた状態で晴斗がリビングから出てきた。


「おい妹。誰が鈍間で鈍感だって?」


「ありゃ。なーんだ、聞こえてたんだ」


「聞こえてきたんだよ。せめて外で話せよ、玄関じゃまる聞こえなんだってーの」


「あはは、ごめんごめん!」


 優衣ちゃんはわざとらしく頭を突きながら謝罪する。

 こう見ると、性格も内面も違うのに、れっきとした兄妹なのだということがよくわかる。


「ったく……。ほら、お前もさっさと支度してこい。置いてくぞ」


「あー! ちょ、ズルい!」


 そう言うと、優衣ちゃんは慌てて2階へと階段を駆け上がっていく。


「……悪い。何か余計な悪知恵とか吹き込まれなかったか?」


「妹の存在を何だと思ってるのよ……」


「ホラ吹き上手な奴」


「ダメだこの兄妹……」


 何の躊躇いも無しに言った晴斗の台詞に、この兄妹らしき『変格』を感じてならない。


 幼馴染は似ても似つかない人になるのが最終的な経路だけれど、“きょうだい”という関係はよく似るものになるのかな。遺伝子とかの関係もあるだろうけど、性格や口回しはどこかしらが自然と似てしまうのかもしれない。

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