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ふつうのディストピア〜転生先は、俺にとっては楽園〜  作者: 藤花


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1.俺はズボラ人間

俺は佐藤忍。34歳の、どこにでもいるサラリーマンだ。

…まあ、少しだけ?ほんの少しだけ、面倒臭がりで、オタクなところがあるかもしれない。


まず、朝起きるのが苦手だ。

金曜日の夜はつい動画サイトを見すぎて、起きたら午後になっているなんてこともある。

貴重な土日の4分の1を無駄にしてしまったけれど、致し方なし。

部屋もちょっと汚いかもしれない。もう少し給料が良かったら、ロボット掃除機を買うつもりだ。

洗濯は大体週に1回、気がついたときに。気がつけば洗濯機の中で山盛りに溜まっているので、一旦回しておく。干さなければいけないけれど時々洗濯機を回していたことを忘れて、すっかり部屋干しの臭いが染み付いてしまった。


特に目的もなく、スマホのゲームで遊んでいたら夜になってしまった。

どこかに出かけるのも面倒、人付き合いも嫌いというわけではないけれど、面倒くささが勝ってしまう。

結局今週末もだらだらと自宅でゲームや動画を見て過ごすだけになりそうだ。

こんな生活なので、当然彼女なんているわけがない。

学生時代に同じようなオタクの友人はいたけれど、連絡も取らないので今何をしているのかわからない。

SNSを見ると、フォロワーが結婚報告を上げていた。

少し前にやっていたネットゲームで一緒に馬鹿騒ぎをしていた仲間の一人だ。

友人たちが着実にライフステージを上っていくのを見ると、今の自分の体たらくが嫌になる。

…けれど、今の生活を変えるか?と言われたら、答えはNOだ。


「はあ」

SNSを閉じて、溜息をつく。

さっきのフォロワーの報告のせいじゃない。あっという間に週末が終わったら、また怒涛の仕事生活に戻らなければならないことへの憂鬱だ。

きっと俺はスケジュールの管理とか、タスクの管理とか、そういった類のものが苦手なんだろう。同僚たちが要領良く終わらせて帰る中、毎日残業続きだ。

新卒で入って今もまだ働いているけれど、当初は自由な社風とやらに憧れて、張り切っていたものだ。

けれど、入社してから自分が「自由に生きろ」と言われると逆に困る人間だと気づいてしまった。

どうして転職しないのかって?そりゃ、将来のことを考えるのすら面倒だからだよ。


クッションの上に寝転がったら、唐突に睡魔が襲ってきた。

(誰かが俺の生活から人生まで、全部まとめて決めてくれたらいいのに)

瞼の裏で、俺はそんなことを考えていた。



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