再生の道
――桜が舞散った。春、新しい日々。
「桜の匂い、いいね。」とおばちゃんが声をかけてくれた。私は少し照れながら、軽いお辞儀をした。
何気ない一言でまた心が洗われていく。――再生。
私は笑顔で大きく手を振り、前を向いて走り出した。
――卒業式。まだ、肌寒い。ブルッと身体が少し震えた。
――4月。再出発。
今日から、新しい生活が始まる。人生に心踊らせていた。前とは違う、胸の鼓動を感じる。ドクンっ!ドクンっ!……
髪の毛もすっかり伸びて、セミロングからロングヘアへと大変身していた。綺麗な髪が春の風にゆれる。
大っ嫌いだった、地元から離れられたことが、ただ嬉しかった。色々あったけれど、人との関わり方や距離の取り方を自分なりに学び、少しは成長できたと思う。窓から見える春の景色を見ながら、私は静かに過去の事を振り返っていた。
――入社式。新鮮な香りが漂う。
「初めまして、鶴野 睦葉と申します。これから、よろしくお願い致します。」周りから、歓声を浴びる。少し照れながら、そっと前髪を触れた。
私は国家資格を取得し、卒業して動物病院に勤務することになった。これから、新しい人生が始まる。これからどんな事があっても私ならきっと乗り越えられるだろう。
そう、心に誓った。
――働き始めて半年が経った頃。
あの出来事以来、大きな出来事はなくごく普通の日常が送れてるのが不思議なぐらいだ。「おはようございます。」元気よく挨拶をして、タイムカードをきった。
――27歳の誕生日。
「お誕生日おめでとう。」と職場の人達からの祝い。人にお祝いしてもらうのってこんなにも嬉しいものなんだ。涙が零れ落ちそうになるのを堪えながら
「ありがとうございます。」とスッキリとした表情で言った。
過去の私は生まれてこなきゃ良かった……そう思っていたがら今は生きてて楽しいと思える日々が増えていった。人と関わるのは案外、いいもんだ。楽しいと思える日まで、がむしゃらに生きてみよう。
眩しかった光がホッコリと安らぐ光へと変わっていた。




