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迷子の国

注意!


自転車が喋るけど気にしないで!

少しデコボコした砂利道をシドにメルが乗って北に走っていた。


「ちょっと!メル!この道やめようよ!タイヤに悪い!」

「うーん引き返してももう無駄だしなぁー」

「こんな道の先に国なんてあるわけないでしょ!」

「いや、この道こそ国がある証拠だよ。」

「データは?」

「私の経験。…ん?あ!看板だよ!このあとすぐに国があるって…」

『私達の国、このあと1000メートル南!』

「なんか逆方向指してない?」

「…」

「…引き返す?」

「…いややめとく。そのうち着くでしょ。」

「つかないに100。」

「つくに100。」


「あ!みて!国だ!やったー勝った!」

「まだ、まだ滅んでる可能性が!お願い、滅んでて!」

「不謹慎。それに門番だっているよ。」

「えー。100円負けた…。」


入国を済ましたメルとシドは国を見渡した。

「右を見ても看板。左を見ても看板。どこを見ても看板。」

「しかも全部どこに何があるかの看板。」

「…とりあえず宿探そうか。シド。」

「あ!あの看板宿屋だって!」


そして日が沈み始めて、チェックイン…本来なら、している時間だが。

シドが文句を言った。

「ねー!いつまで走るの?!」

「わからない。あ!あと300mだって。ほらあの看板。」

「それさっきも言ってなかった!?」

「そうだったっけ」

「別に看板に頼らずに宿屋に行こうよ…」

「うーんどうしよう…」


一人の男性がメルが困っているのを見て近寄ってきた。

「おーい。宿探しているんだって?」

「あ、はい。そうですけど…全くつかなくて」

「宿屋は向こうの道をまーすぐといって…」

「え?反対方向じゃん。」

「…もしかして旅人さん。あの看板に沿って行ってます?」

「そうですね。」

「あの看板。全部間違ってるんだよ。」

シドとメルが口を揃えて言った。

「え?」

「え?」


チェックインしたのは太陽が完全に沈み、あたりが真っ暗になったとき。

疲れ切ったメルはシドを立てかけ(すでに寝ている)、ベッドに潜り込んだ。


「おーい。シド。おきて!」

「え〜?まだ外真っ暗じゃん。」

「この国では太陽が出るのが山とかの関係がうんぬんで遅いらしいよ。いま朝の9:00。」

「なに?!それは大変だ!早起きして昨日できなかったことやんなきゃいけなかったのに!」

「忘れてたことの説明、どうもありがと。でも怒っても仕方がない。とりあえず外出よう。」

「はーい。」


外に出ても暗いもんは暗かった。

「うーん暗いね…」

「ねえメル。買い物とかは日が昇ってからにして気になってたことを試したいんだけど…」

「気になってたこと?」

「それは…」

「それは?」

「指示通りに走ってからのお楽しみ!」

「もったいぶるなぁ」

「はい。そこを400m。その後右。」

「はいはい。」


シドの指示通りに進んでったメルはある丘の前にきた。

「ここ?」

「わかんないけど多分そう。」

「えぇ〜?」

「とりあえず登ってみよ」


メルとシドが登ったとき。

ちょうど大きな山から太陽が顔を出そうとしていたときだった。


太陽が頭から見え始め、あたりが少し明るくなる。

空は深い青から、ピンクとオレンジが混ざったような色のグラデーションに変わる。


冷たい風は、太陽の香りをまとった温かい風へと変わる。


やがて山のてっぺんに太陽が出てきたとき。


その光景は宝石のようだった。

山のてっぺんに大きなダイヤモンドがぽんと置かれたかのような光景だった。

一時の光景だとしても、いつまでも目の奥にこびりつくような。

もしこれが夢だとしても起きてからも自慢になるような。


目を輝かせ声を漏らす一人と一台。

「──すごい。」

「ここで歌でも歌う?メル。」

「いや、ミュージカルでもないんだし。…そういえばなんでここのことを知ってるの?」

「あの看板たちが教えてくれたんだ。あと100m!ってね。」


あと100m先。

次の話かもしれません。

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