温泉の国
注意!
自転車が喋るけど気にしないで!
少し寒くなってきた秋の森をメルがシドに乗り、走っていた。
「ねぇメル!まだつかないの?次の国。」
「わからない。情報がなんにも手に入らなかったからね。」
「やっぱり一個前の国でもう少し情報収集したほうが良かったじゃん!」
「あーあー聞こえなーい。」
「それにしても、少し寒くなってきた。あったかいお湯で洗車してもらいたーい」
「次の国にそんなものあったらいいねー。私はお風呂に入りたーい。」
少し進むと、先に一つの泉とそれを囲む集落のようなのどかなそして小さな国があった。
「わーい国だ!メル、早くチェックイン済ましてあったまろ!」
「賛成!」
「あーあったかいねぇ」
「でもシド、部屋にこもりきりじゃこの国に来た意味がないよ。」
「うーんでも今日だけは良くない?」
「わかったー今日だけねー」
そんな会話をチェックインを済ましてから宿の部屋でしているとき、
「失礼します。旅人様のお部屋でお間違い無いでしょうか。」
「わ、なんか偉そうな人だよ。メルなんかした?」
「…はい。そうですけど、なんのようでしょうか?」
「国に来たばかりで申し訳ないのだが、知恵を貸してほしい。」
「ちえ?」
「なぜ?」
「我々では到底解決できない問題なのです。なので旅人様ならわかるかと…」
「わかりました。貸してあげます、この知恵を。…ちなみにそれはどのような?」
「ありがとうございます!話しながらある場所に向かいます。ついてきてください。」
○
「実はある泉で異常が発生したのです。温度が高かったり、香りがついていたり。」
「それだと作物が育ちませんね。」
「そうなんですよ。それを解決しようと旅人さんのお知恵をお借りしようと思って。」
「ねぇおっちゃん。その泉ってどの泉?」
「この湖です。」
目の前に湖が広がっていた。
「これって最初見た泉じゃん!これはやばいよメル。」
「そうだね。早く解決しないと。」
「どうにかできないでしょうか…?」
「うーん」
もう少し良く見ようと足を進めたとき、
ツルッ
「あ。」
バッシャーン
「あ。メル落ちゃった。早く上がってきな。」
「……ねえ、シド。」
「どうかした?」
「何か…」
「なにかわかったのですか?旅人さん。」
「なんか…めっちゃ気持ちい!」
「えぇ?」
「なんかお風呂みたいで、でもそれよりも気持ちよくて、なんていうんだろう!農業なんてやめてこれで稼いだほうが早いよ!」
「なんですと?!」
「メル!大発見じゃん!」
「すいません。あまりの気持ちよさに取り乱してしまいました。」
「いえいえ!大丈夫ですよ!」
「そういえば仕組みわかりましたよ。地下水脈が原因です。」
「ちかすいみゃく?」
「地下の水が近くの火山の溶岩で…」
「え?これ溶岩なの?」
「…違うよ、近くの水が温められて、水が沸いて出てきてるんだよ。」
「なんだ、溶岩にも負けないスーパーメルになったと思ったのに。」
「…なら、匂いはどのように?」
「おそらく、地下洞窟にある結晶がとけてこの匂いがついたのでしょう。」
「そうなんですか!ありがとうございます!この国はきっと繁盛するぞ!」
「いいなぁメル。入りたい。」
「その結晶の成分、鉄を錆びさせる性質があるけど、いい?」
「前言撤回。」
その後、少したって用事を終えた頃、
「もう工事に取り掛かってるね。」
「思い立ったが吉っていうじゃん?」
「確かに。」
ある森の中に珍しい国があった。
そこには大きくて不思議な泉が一つあった。
暖かくて、旅の疲れを癒やす効果を持つという不思議な泉。
ぜひ一度「森中温泉」に来てみてください。
自転車などの鉄を使った乗り物は入浴禁止です。
温かい泉と書いて、
温泉と呼びます。




