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第18話「卵セットで情報収集!」

 俺は壁からすり抜けるのをやめて、「人間らしく」ってリアナさんと一緒にドアを使って宿から出ました。

 夜と違って町はすっかり賑やかさを取り戻していて、昨日の怖い思いが悪夢だったんじゃないかって錯覚してしまいそうになる。

 まあ、幽霊になったから初めてみた夢みたいなものだった。

「夜と違って屋台が出てて道案内が不安になったけど、なんとか例の宿まで連れてこられたぜ」

 心の声だけで喜んだ。


 リアナさんが小さく頷いて、宿の外見をじっと見つめた。

「この中ですね?ちょっとは感じ取れる…。 あの残滓はこの宿の火事で亡くなった人のもの?」

 彼女がそう言うと、俺もすぐ意味を察した。

 宿の建物を見た限り、火傷の後も一切ない。


「確かに残滓の記憶で見た宿とは外見が全然合ってないな。建て直したのか?」


「そうかもね。いつからの残滓なのかも分からないですし…。ちょっと下調べをしましょう。」

 リアナさんはそう言って、宿の隣の酒場に入っていった。

 夜は酒場だったのに、朝はモーニングサービス全開で、テーブルにはパンやスープが置かれていた。


 リアナさんはさっき朝食を食べたばっかりなのに、カウンターに座ってメニューを開いた。

 俺は隣にふわふわ浮かんで、彼女の肩越しに覗き込んだ。


 異世界の文字は読めない。

 目がないのに見える、耳がないのに聞こえる。チートというより、幽霊としての基本能力だな。

 メニューは文字しかなくって、値段さえも知らない文字で書かれていた。


「うん!メニューに何を売っているのかさっぱり分からない!」


「分かっても食べられないでしょう?」

 リアナさんがツッコミを入れてくれた。


「たしかにそうだけど、色々想像するのは楽しいな~」

 俺がブツブツと言い返すと、彼女がくすっと笑った。


 夜と変わらない、賑やかで忙しいレストランだったが、座って間もなく、元気のいいウエイトレスさんが声をかけてきた。


「お決まりですか?」


「おすすめがあります?」

 リアナさんが笑顔で聞くと、ウエイトレスさんはすぐに答えた。


「お客さんみたいな旅人さんにはソーセージセットが一番人気ですけど、女性の方には卵セットが人気ですよ~」

 その瞬間、リアナさんの笑顔がちょっとだけドヤ顔に進化した。


「よく私が旅人だってわかりましたね。ここで働くの長いんですか?」


「そうですね。両親のお店なので、子供の頃から働いていますから。町の通連さんやよく見かける顔は大体覚えてますよ。」

 ウエイトレスさんが得意げに胸を張った。

 リアナさんの顔には『ビンゴ!』って文字が浮かんでるのが丸わかりだった。トランプしたら弱そうだ。


「へ~、隣は宿みたいけど、旅人も多いんですか?」

 本題に入ったな、と俺は心の中でガッツポーズをとった。


「隣の宿ね。食事も出るお店だから、そんなにお客さんは来ないんですけど…子供の頃はあのビル、商人のお宅でしたよ。宿になったのは5年くらい前かな。」

 流石にポーカーフェイスが下手なリアナさんはびっくり顔を隠せなかった。


「最近ですね!そんな大きな変化なら何かあったんですか?」


「いや~、時々宿からこっちに食事に来る人が増えたぐらいかな。それも人数は少ないですけど。ああ、でも不思議なことに、ほとんどの人が『部屋で食べるのが不気味だから』ってここに来るんですよね。窓からの光が変なのかしら?……で、どうしますか?」


「あ、ごめんなさい、会話が長引いちゃいましたね。卵セットでお願いします!」

 リアナさんが謝る声で返した。


 ウエイトレスさんが離れると、リアナさんは手を口の前に当てて、小声で俺に話しかけた。


「やっぱり火事があった宿はここじゃなさそう……。火事の後でここに引っ越したのか、それとも何か別の繋がりがありそう」


「残滓が潜んでいた木炭絵の記憶では、最後にあの絵を持ってたのは宿主だったはずだけど...」

 俺がそう言った瞬間、違和感がビビッと来た。

「そういえばよく考えると、記憶の中の宿主と、この隣の宿の前で見た宿主…別人だったな。」


「困るわね。関係者がいないと残滓を祓う手がかりを掴みにくい。」

 リアナさんがため息をついた。


「無暗にあの記憶の宿を探すのは難しそうだし、直接あの危なっかしい木炭絵を調べるしかないかも」

 リアナさんが小さく頷いたところで、ちょうど卵セットが運ばれてきた。


 彼女はフォークを手に取って目玉焼きに突き刺した。


「あーん、して!」

 俺の方に卵が載っているフォークを突き出した。


「え?いや、食べられないでしょう!」


「そうだけど、気になってたでしょう?じっくり見る?」

 卵は確かに美味しそうだけど、俺はリアナさんの可愛い笑顔の方から目が離せなかった。幸い、彼女は俺がどこを見ているのかわからないっぽい。


「もう、いいよ」

 俺の幽霊声でも、照れているのが隠れきれない。

 リアナさんはそれを聞いて、嬉しい顔で二回目の朝食を美味しそうに完食した。


「宿でとった朝食は機嫌が悪い時に食べたから、味が薄かったが、今のが美味しかった!」


 リアナさんは金を置いて、一緒に店を出た。


「やっぱり、あの残滓が危険だから、悠真さんは外で待ってくれる?多分、集中すると宿の中でも外から聞こえるはず。」


「わかった、やってみる。リアナさんも気を付けて!」

 人間には不気味に感じているみたいだが、別に害がありそうにないから、任せることにした。


 リアナさんは宿のドアを叩いてから、中に入った。


「お邪魔します!」

第18話、いかがでしたか?


ストーリーは町編の解決に向かっている!


応援よろしくお願いします!


感想・誤字・変な日本語、なんでもコメントください~!

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