友達作りのために
とは言ったものの、万年ぼっちの俺にとっては友達なんて夢のまた夢、というかどうやって話しかければいいんだ……?そうだ!掲示板で仲間を集めれば……いやいや、どうせ
「は? お前と組みたいヤツなんかいねぇだろw」
「最強プレイヤーだからってあんま調子に乗らないでくれよw」
みたいな事を言われるかもしれない。それはなんとしてでも避けたい。
かと言って他に良い手段がある訳では……いや、あるわ。そうゲーム内募集!でも今の時期だときっと人で殺到してるだろうな……。だが、これも避けて通れぬ道と言うやつだ。思い切ってログインしてみてみよう。
……結果は思った通りだった。やはり人で溢れかえっている。そりゃそうだ。10億円だなんて言われたらそりゃもう溢れかえるに決まってる。
ん?あれは……この前話しかけてくれた子だ!
この前レイドの終わり時にあまりにもコミュ障すぎてすぐ逃げてしまったが、あの子なら組んでくれるかもしれない……!
「ァ、あの……」
「あ! この前のヤマさんだ!」
「うわ、ヤマだ! 本物だ!!」
周囲も俺に反応してしまい、非常に修羅場となってしまった。どうしよう、今すぐ逃げたい。
「ちょっとこっち来てください!」
この前の女の子はそう言って腕を掴んで俺を路地裏まで連れてってくれた。
「もう誰もいないね……。ここなら話しやすいですか?」
「あ、ありがとうございます……」
危なく死にかけてた俺を助けてくれた。なんて優しい子なんだろう。
それはそうと、これはもしや、友達を作れるチャンスなのでは……!?いやダメだ、最初になんて声をかければいいかわからない。今日はいい天気ですね?いや、この街はずっと天候固定だしその後会話が続くとは到底思えない!!
「あ、えっと、その……」
「無理して喋らなくていいですよ。私の名前はフォックスって言います。よろしくおねがいします!」
「こ、こちらこそよろしく……」
「あなたもイベントのパーティー組みに来たんですよね? だったらちょうど良かった! 一緒に組みませんか?」
ただ、パーティーを組むに当たって一つ重大な欠点があった。
ユニークスキルツリー【孤高者】
一度もパーティーに参加せず1000時間ソロでプレイし、尚且つ高難易度ボスを討伐することで手に入るこのスキルは、所謂ソロ向けビルドという。
つまりどういう事か。
そう、パーティーを組むと固有スキルがすべて無効となり、めっぽう弱体化してしまうのである。
つまりソロプレイのような圧倒的な火力を出すことはもちろん、俊敏な動きすらも不可能となってしまう。オマケにスキルも半分以上使えないというデバフ付き。ソロ特化だからね。
罪人達の宝探し。それは、パーティーを組まないとそもそもボスにすら挑めないというヤマにとってはとても厄介なもの。
つまり俺にとっては相性が最悪という訳だ。
「でも……」
「?」
「俺、パーティー組んでる間弱くなるんです。」
「へ?」
「詳しくは……」
PT参加時の弱体化。
スキル制限。
そして、今まで誰とも組まなかった理由を全て話した。
火力低下、速度低下、おまけにスキルまで制限……。俺のアイデンティティが全て無くなってしまう。
「あー……そういう事だったんだ……でも私はヤマさんと組みたいです!」
少女は食い下がる様子もなく俺についてこようとする。
確かに俺も組まないと参加出来ないわけだけども、でも弱体化するしなぁ……。
というか、この子ほぼ初対面なのにめちゃくちゃグイグイ来るな……。距離感バグってないか?
「というか写真撮っていいですか!? 後フレンド申請も! あとそれと」
「ぇ」
ほらやっぱりバグってる。
とりあえずパーティーを組んでみたものの、やはり弱い。このパーティーを組んだ時のステータス画面が赤く染まるのを見ると、心臓がいやな音を立てた。まるであの日の──
「ヤマさん?」
「っ……なんでもないよ」
「というか、弱体化なんて凄いですね!」
「へ?」
「最強プレイヤーがパーティー組むと弱体化するって、何だか配信すればウケそうじゃないですか!!」
「ぇ」
配信……?この子はもしかして配信者なのか?でも疲弊している俺にそんな事を聞く気力なんてなかった。勇気も足りてないかも。
「でも今日は話せてよかった!フレンドも申請してくれてありがとうございますっ!それじゃあ私はそろそろ晩御飯なのでこれで!」
【フォックスがログアウトしました。】
そう言い彼女はログアウトした。
かなり急いでる様子だったけど、厳しめの家庭なのかな?
さて……パーティーメンバーも1人集まった。これはかつてないほどの進捗だ。一応応募締切まで2ヶ月はあるが、果たしてそれまでに残り4人を集めることはできるのか……?
応募締切まであと2ヶ月━━




