表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏の箱庭  作者: 天音凛
第一章・蛍~忘れること無かれ、君との思ひ出~
21/133

転‐2.歓喜なる日

ヒナタ&蛍ターン

 ヒナタの目の前をゆっくり、花弁が視界を覆うように通り抜ける。

 するとそこには、最初から誰も居なかったように、男の姿は消えていた。


 ――え? 居ない!? あれも夢? って、視界がガクガク揺れてる!?


「ヒナタ! しっかりして! ヒナタ!」

「な、何!?」


 蛍が尋常ではない速さで、ヒナタを揺さぶっていた。


「蛍、さん!?」


 ヒナタの声に蛍は揺さぶっていた手を止めた。


「良かった、ヒナタ突然動かなくなったから、心配した」

「ご、ごめんなさい。後ろに男の人が居たような気がして……」


 ヒナタの言葉に蛍は振り返り、後ろの地面を見つめて、少し辺りを観察している。


 私、ぼーっとしちゃってたんだ。

 でも、睡蓮さんによく似ている姿だったなぁ……。

 もしかして、睡蓮さんに会いたくて幻覚を見たとか?


 ヒナタがぼんやりしていると、蛍がヒナタの方に戻って来た。


「どうでした?」


 蛍は少ししてから首を横に振った。


 気のせいだったんだ……って、そんな事より!


「蛍さん! さっきの何ですか!?」

「…………」


 蛍は微笑んでいる。


「壊しちゃいましたけど……」

「うん、多分……封印の一部だね」

「へっ?」

「怒られるね」


 と、言いつつも蛍は嬉しそうに微笑んでいる。


 封印が解けたら駄目なんじゃ……。


「何で笑ってるんですか! 皆で封印を守ってたんじゃないんですか!?」


 それでも、蛍の表情は変わらない。

 それどころか優しげな瞳でヒナタを見つめていた。


「封印はすでに完全じゃなかった……これが、今出来る最善策だよ」

「封印が完全じゃないって……」


 あれ? そういえば、さっきから蛍さんが“人間っぽい”ような?


「蛍さん、何か思い出してるんですか?」

「……ちょっとだけ、ね」


 何か、嘘っぽい……


 ヒナタが疑わしい目で蛍を見ると、蛍はゆっくりヒナタを抱き締めた。


「ヒナタ、僕は今凄く嬉しい……この場所に君と居られる事が……」

「え? えぇっ!?」


 ヒナタは顔を真っ赤にして固まった。


 だ、抱き締められてる!? そんな、力強く……ギュッて――――く、苦しい……


 蛍は赤の次に青くなるヒナタに気付いて、やっと離れる。


「ごめんねヒナタ、大丈夫?」

「大丈夫、ですけど……力加減出来ない所とかは最初と変わりませんね……」

「みたいだね」


 悪びれる事なく蛍は微笑んでいる。


 蛍さん、笑顔が黒い……。


 ヒナタは冷や汗をかきながら辺りを見渡す。


 この場所は、蛍さんの大事な場所なのかな……。

 懐かしそうに見てるし。


 チラリとヒナタが蛍を見ていると、蛍が視線をヒナタに戻して微笑む。


「大丈夫だよ、ヒナタ」

「?」

「必ず、ここから出してあげるから。……“もう一度”約束する」

「もう、一度?」


 蛍の言葉に首をかしげる。

 そんな様子のヒナタに、蛍は微笑んだまま手を差しのべる。

 辺り一面の花畑の中で、蛍の黄金の髪が夕陽に照されて輝いていた。


「帰ろう」

「……はい」


 ヒナタはゆっくり蛍の手をとった。


「因みに」

「はい?」

「僕は17歳だから、ヒナタと同い年だよ。敬語はいらないし、僕のことは蛍って呼んでね」

「……」


 蛍は輝かしい笑顔で言い切った。


 え……私と同い年? そもそも私、年齢言ってない気がするんだけど?


 蛍は青ざめるヒナタの手を握り、笑顔で見つめる。


「よろしくね、ヒナタ」

「……は……う、うん。よろしく……蛍」


 ヒナタの言葉に蛍は嬉しそうに頷き、歩き出す。


 え、え? 何だろう……やっぱり、黒い?


 蛍に引きずられるように歩きながら、ヒナタは屋敷に戻っていった。


そろそろ小話書きますか……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ