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黄昏の箱庭  作者: 天音凛
第一章・蛍~忘れること無かれ、君との思ひ出~
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承‐2.落ち人

本日三話目です!

書けるだけ書いている今日この頃(笑)


 考え事をしながら歩いて行くと、突然木々の音が聞こえなくなった。


 この感じ……封印の祠に椿さんと荻さんが来た時と同じだ。

 でも、完全に景色から色は消えてない。

 所々に鮮やかさを残し、まばらに色が変化していく。

 ノイズ……? みたいな音がわずかに聞こえた。

 あれは――――。


 先導していた蛍はピタリと止まる。

 蛍の視線の先には、昴・朔・煌の三人が戦闘体制をとり、何かを囲んでいた。

 ノイズはその中心から聞こえてくる。

 “ザ……――ザザッ――サザッ……”と耳につく音であった。


「……来たか。蛍、いつも通りそこから動くなよ。もし、攻撃がそっちにいったらこの場を離れてもかまわない」


 昴はチラリと二人を見て静かな声で言い、了承するかのように蛍は頷く。

 ヒナタと蛍は少し遠くから三人の様子を伺っていた。


「私達、ここにいると迷惑がかかるんじゃ……」


 ヒナタは戦えない蛍と自分が、何故呼ばれたか疑問に思った。

 その回答を、以外にも蛍が首をかしげながらポツリと答えた。


「目が届く所にいろって言われる」

「……そうだったんですか」


 昴さんは昴さんなりに、蛍さんをちゃんと仲間だと思っているんだね。

 自分達が居ない間に何かあると大変だし。


 ヒナタがその後も何気ない会話を続けようとした時である。

 “ガガッ……ザ……ガッ”と、先程より酷い音が響き渡った。

 それと同時に三人がその場から飛び退く。

 囲んでいたものがチラリと見えるが、黒い霧が発生しており、その全ては分からなかった。

 地面に着地した昴がこちらに視線を向ける。


「おい、よく見ておけ」


 昴が険しい表情でヒナタに言った。

 その声にヒナタはノイズの中心に目を向ける。

 黒い霧の中に人のシルエットが見えた。


「今回お前を来させたのは、堕ちたらどうなるか見せる為だ」

「堕ちたら……?」


 ドクドクと心臓の鼓動がうるさくなってくる。

 堕ちたら……消滅――――。

 記憶に新しいその言葉。


 視界に映る黒い霧が少しずつ拡散し、そこから助けを求めるように伸びる腕。


 “ザ……ガガッ――”この音は――――。


(ザザ……カ、エリタイ――タス……ケテ……)

「嘘……」


 音じゃない、声が聞こえる――――。


 ふらつくヒナタの身体を蛍がそっと後ろから支える。

 青ざめた表情で見上げれば、蛍はいつもの薄い微笑みをうかべた。


「声……聞こえる。でも、もう終わり」

「蛍……さん?」


 蛍の視線の動きにつられるように、ヒナタもゆっくり戻す。

 突如ノイズが“ブツッ”と音をたてて聞こえなくなり、霧の中に伸びていた腕がゆっくり下がっていく。


「サヨウナラ」


 いつしか聞いた蛍の別れの言葉。


――――その瞬間、景色は完全に色を失った。

 黒い霧が完全に消え去り、現れたモノに緊張が走る。


「あっ……あれは……っ」


 あまりの事にヒナタの身体の震えが止まらなる。

 視界に映る、人だったものはバキバキと激しい音をたてて変形していく。

 いつしか表面がボコボコした丸い塊になり、ピタリと動きを止めた。


 それと同時に三人が構え直す。


「――――――――来るぞ!」


 昴の声が響く中、堕ち人の身体が弾けるように伸び、一人一人に襲いかかってきた。


 煌は炎を纏った拳で弾き返し、朔は飛び退いた後にナイフで地面に縫い付ける。

 昴の刀が素早く振るわれ、一部を切り離す。

 しかし、その全てが効果無く終わっていた。

 攻撃を受けた部分はドロドロと中心に戻り、また一つになっているからだ。


 あれが、堕ち人……。

 身体の震えが止まらない。

 歯がガチガチと鳴る。


 自分の世界ではあり得ない現象に、ヒナタは完全に動けなくなってしまった。

 三人の様子を見ていた蛍は、ヒナタと視線を合わせるように少し屈む。


「……ヒナタ、離れよう。ここ、危ない」


 蛍がヒナタを支えて、移動しようとした時である。

 堕ち人の表面に顔らしきものが浮かび上がった。

 その顔の視線はしっかりとヒナタの姿をとらえ、ニイッと笑ったように形を変える。


「蛍っ! そいつを連れて離れろ!!」

「アアァ……アガガッ! ガアアアアアアッ!」


 昴の叫びと堕ち人の動きは同時であった。

 気付けば鋭く尖る触手のようなものが、ヒナタの目の前に迫っていた。

 その一瞬が永遠にも感じる中で、ヒナタには聞こえてしまった。


 (クルシイ、イタイ――――タスケテ)


 目の前に迫る触手からは、微かに助けを求める声がする。

 ヒナタはその声に自然と手を伸ばした。


 昴達の声が聞こえる中……灰色の世界は赤く染まる――――――。



そろそろ、蛍視点書きたいな……

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