秋のお菓子
初出 : 2015/11/10 pixiv
「帰った。」
その言葉と共に、脇差がよく集まる大部屋の戸が開かれる。
「お帰りなさい、骨喰君、鯰尾君。
それで、彼が…」
「ただいま戻りました!
みんなの想像通り、物吉貞宗です!」
「みなさんはじめまして。ボクは物吉貞宗といいます!」
お辞儀をする彼にいらっしゃい、ようこそ、といった声がかけられる。
「じゃあ、簡単な歓迎会ということでお茶にしようか。」
そう言って堀川が取り出した物に目を輝かせる者と疑わしげな表情を浮かべる者に別れた。
「鬼まんじゅう!主が用意しとくって言ってたのこれか!」
「秋らしくて、いいですね。」
「兄弟、おにまんじゅう、ってなんだ?」
少し透き通った薄黄色に覆われたゴツゴツとした物が卓袱台の中央に盛られていた。
「?鬼まんじゅうは鬼まんじゅうだよ、骨喰。
ね?物吉?」
「ええ、秋と言えばこれですよね。」
「鯰尾、それに…「物吉でいいですよ」じゃあ、物吉君。
これ、尾張、三河の辺りでしか食べられてないんだよ。」
主さんが言ってた。実際僕も知らなかったよ。
その言葉に固まる2人をよそに、さつまいもに、団子粉をまぶして蒸かしたお菓子なんだってと残る3人に説明する。
「へー。意外と単純な菓子なんだなー」
「思ったより固くないね…。さつまいものことだよ?」
「甘過ぎなくて、おいしいな。」
「!そうでしょ、骨喰。俺もいただきます!」
「では、ボクも。やっぱりおいしいですね。」
* * * * * * *
「ところで、なんで鬼まんじゅうと言うのか知ってるかい?」
「たしか…見た目がゴツゴツしてて、鬼の金棒を連想するから、だったと思います。」




