ある日の日記・55回
五十五回
十二月二十六日
とうとう君達の計画通りに落とし込まされてしまったねっ。
もうとてもここに居ちゃ~
自分は浮かび上がれないほど落ち込んでしまった。
君達と知り合わなかったら、こんなにまで自分が悪者にされ、人から毛嫌いされるようになることもなかったろうにと思う。
全て君達の思い通りに事が運んで、さぞ満足なことだろうねっ!
こんなにまで自分が真心込めて、君達のことを気遣ってきたというのに
君達はとうとう僕の誠意にノシをつけて、自分をここまで落とし入れてしまった。
もう取り返しがつかないのだ!
君達に人を見極める目があるとしたならば、このような結末になってみて
どちらが真の真心を持った人間か?
偽りの心を持った人間か?
察しがつくはずだと思う。
しかしもう、例え自分の真心を理解してもらえたとしても
今さら自分がここで生き延びていくことなんか出来ないのだよ!
所詮、住む世界が違っていたのさ!
彼については何も謝るつもりはない!
ただ自分の考えというものは間違ってはいないと確信しているが
ここにおいては自分の考えを通す(生かす)ことが出来ず
また、自分が居たのでは、彼等のやり方によって、この大日本●●(株)を発展させていくことに、妨げとなる恐れを感じましたのでねっ!
彼のやり方はこの会社にとって、一番都合の良いものだし
そのやり方で充分、人をまとめ上げ、この会社を発展させていけるものと確信しています。
今さらにしておかしいことですが
僕は彼に敬意と、今後の活躍を期待してやみません。
僕のような、ひねくれ者が居ては、返ってやりにくいのです。
ママさん所においても、丁度まったく同じような現象が起こりました。
あまりにもまとも過ぎる思想、態度なるがゆえに
今の世にして、何処へいっても自分のような考え、やり方というものは通用されないのです。
ママさんにしてみても、しばらくは自分の考え、態度というものから
人間としてあるべき姿、道というものを教えられておとなしくしていた頃もありました。
しかし所詮そのようなやり方は、今のご時世に通用しませんし
店の営業にも、返ってマイナスになっているということを悟られ
もうこの頃は、また以前のような営利に凝り固まった
ママさん自身の姿が首をもたげてきました。
それによって、また店の収益も元のように大繁盛するようになってきたようですし
これで良いのだと思います。
そのママさんの姿を見て、チョッピり寂しくも思いますが
これで良いのだと思います。
これと同じことが彼にも言えるのです。
僕にしてみれば、それほど正しい思想、やり方だとは思いませんが
今のご時世、この会社の発展の為には、彼のやり方も充分価値のあることだし
ただ人間としてあるべき姿、真心というものを除いてみれば
彼のやり方は充分、尊敬されるべきものだと思います。
だからもう僕は今さら何も言いたくないのです。
どちらも相手に打ち勝ち、またどちらも相手に打ち負かされたのです。
彼は今後、益々発展していかれることでしょうし
自分は相も変わらず生きているのか死んでいるのか分からない姿をかもし出すと思います。
所詮、自分の思想、やり方というものは
この世で実現できない架空の理想なのです。
だから僕ももう諦めます。
この世で自分を生かすことを‥…!
最後に一言
昔、ある人に誓い合ったことを実現できず逃げることを
何と言ってお詫びしていいか分かりません。
あまりにも僕のことを買いかぶりすぎておられたのです。
今後‥‥
イヤ!これで自分が生き、立つことが完全に断ち切られたというのではないんだ!
ただこの世界ではダメだということです。
自分に合った世界にいきましたら、きっとまた僕はすこぶる成長し、人の上に立つことも出来るだろうと思います。
これまで述べてきたことは一時的な発作みたいなものてす。
このように言っていましても、まだ僕の今後の方針はハッキリ定まらないのです。
それをハッキリ打ち出す為には、まだ少々時間がいりますので
もうしばらく自分の部屋に閉じ込もって、居候することを許して下さい‥‥!
お願い致します!
ハイ!
この頃は自分がチョッと口を開くだけでも、もめ事が起きて弱っています。
だから今の僕は、負け犬みたいに肩をすぼめ縮こまっているしかないのです。
それは一見オドオドして、負け犬みたいなかっこうに見えていますが
自分は決してオドオドしても縮こまっていても、負け犬みたいに落ち込んでもいないのです!
自分の内面はすこぶる充実しているのです。
そして益々未来に向かって飛躍しようとする情熱が、怒濤のごとく脈打っているのを実感するのです。
だから何も心配することはいらないのです!
今はただこうするしかないのです。
全てのもめ事を沈黙させ、そして新たに自分が生き立つ為に‥




