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一滴の波紋【原文】1巻の2  作者: 藤田 ユキト
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ある日の日記・54回


五十四回



十二月二十五日


 もうこの会社のこと、この会社の人間を分析し、批難することはやめよう。

 いくらやってもきりのないことだし・・・

ねっ!


「よそ者みたいだ!」


 と言いたけりゃ~、勝手に言ってくれ!


 俺はそのような枠内にはめ込まれたくない。

このワクから飛び出して、自分の求めている生き方をしていきたい。


 これからもここの会社の人達と、あまりかかわり合わないだろう。

 それはそれで興味がないので仕方のないことだから‥


 来年は少し活動力を備える為に、外に飛び出して、学会活動やサークル活動を試みようと思っている。

 この部屋に閉じこもっていることから脱して、外に飛び出そうと思っている。


 だから今までのように君達とひっきりなしに語り合う時間もなくなるだろうし

この日記もあまり執拗(しつよう)に書かなくなる。


 とにかく来年は思い切って外に飛び出そうと思っている。



 とにかく元気が出ないのだ!

意欲が湧かないのだ!

全ての欲と喜びがないゆえに!


 とてもとても君達の愛の支えがあったとしても、この沈みきった心を浮かばせることは出来ないのだ!


 それに今は、人を信じることが出来ない。 君達も、他の全ての女性(お袋を除いて)の心も信じることが出来ない!


 またこのひねくれた、歪みきった心を正す為に、宗教の道に帰依することしかないかもしれない!

 今まで意地を張って、その救いにすがることをよしとしなかった。


 しかしここまで落ち込んでしまったら、

後、それにすがることしか自分が立ち直る道はないのでは?と思う。

今のところはねっ!


 しかし僕も気まぐれだから、もしそれ以外でこの沈みきった心を浮かばせることが出来るものでもあったら

たちまちそのようなことなんか忘れてしまうかもしれない。


 とにかく浮かばせることが出来さえすれば良いのだ!

その良い方法でもあったら教えてくれないだろうか!?



 今日は別に身体の調子は悪くなかったのだ!

 会社に出ようと思えば出れたのだ!


 しかし‥‥本当に‥‥


 今の俺は、会社に入ったらとたんに気持ちが苛立ってどうしようもないのだ!


 一部の人達を除いて、人の顔を見たくないのだ!

見ればまた不必要に反抗したくなるのでねっ。

だから今日はお休み。

実に贅沢な休日を過ごすことが出来ました!

 一日休んでいると、少しは気持ちも落ち着いて、さほど会社に出ても苛立たないだろうと思うから

ひとまず明日は出てみようかと思う。

甘えているのかもしれない‥‥


 しかし、とてもとても

今の自分には(みにく)く見えて仕方がないのだ!

人間という生き物が‥‥

その心が‥‥


 あぁ~、どうして僕にいい加減な心を与えて下さらなかったのか?

そしたらまた少しはいい加減に済ませて、こんなに腹を立てることもないだろうにと思うのだ。


 とにかく自分は真面目過ぎるのだ!堅過ぎるのだ!

君達や他の人にはどう映るかは知れませんがねっ!


 田舎へ帰ることも一応考えてみました。

今の自分にとって田舎へ帰ることが一番楽な道なんです。


 何せ、これほどの愛情を内に備えているというのに、あまりにも周囲の人達の心が醜く思えて、それを現すことが出来ないでいるのです。


 もし‥‥もし、自分が愛情を注ぎたいと思えるような人々の中にでも入ることが出来たなら

その愛情を現した時、きっとこの地上で最大の愛情だということを認めてもらえるものと思うのですが‥‥

(これはチョッときざっぽ過ぎましたねっ、失礼しました)


 とにかく今は欲求不満なのです。

何も愛情に飢えているというんじゃないんです。

愛情を現せないことで、欲求不満になっているのです。

どなたか私に愛情を注がせて下さるお人は居られないものでしょうか‥‥


ネェ‥‥!


 いよいよ川口の人達からも嫌われてしまったみたいだ!

今日行ったら、もう完全にダメになってしまうだろう


「もうあんな子、来なくていいわ!」


てねっ!


 それならそれで良いんだ!

そうなったら最後の決別をしてくるだけさっ!

そしてこの東京の空から姿を消すだけさ!

行き止まりのドッチラケさ!



 いつもいつも言うように、隠しカメラも隠しマイクも見当たらない。

それなのにどうしても君達が来て囁いている声が聞こえてきてどうしようもないのだ!

本当に気が狂ってしまったんだろうねっ!


 この気違いを直す為には、とにかくこの部屋を出なければならないんだ!

君達の声が聞こえない所に行くしかないんだ!

実に淋しいことだけどねっ!



 家族的雰囲気のある職場…か!?

俺も一昔前にはそのような理想を夢見ていた頃もあった。


 しかし所詮人間というものは自分本意な生き物さ!

たとえ仮にそのような雰囲気を作れたとしても

所詮、一人一人バラバラになって自分が得することしか考えていないのさ。


 そのような事実を知って、俺はもうバカバカしくなり、そのような雰囲気に染まらないようにしているのさ!

 人間なんて所詮自分本意で、自分が得することしか考えていないんだから…ねっ!


 俺は自分本意な気持ちなどまったくない!自分が得しようなどとはまったく思わない。

 だからそのような雰囲気に染まる必要もないのさ!


 しかしそのような職場においては、それが必要なことも認めてはいますがねっ!


実に難しいですねっ!

「奴の考えは邪道だ!」


 と、言う人も居ることだろう。


 しかしこのように人の世が混迷し、狂っている中で

何が真実で、何が偽りのものか?

分からないのだ!


 彼等のまともらしい考えが本当は逆さまなのかもしれないんだ!

 そのようなご時世なればこそ、自分のように真実を追い求めようとする者がいなければならないし

彼等も自分の声を素直に受けなければならないのだ!


 それでも自分の考えが邪道だと言い張るとしたら

その者は自分から(あざけ)り笑われているということを肝に命じておかなければならないだろう。


 しかしその者も、自分のことを嘲り笑っていることも確かなのだが‥‥


 しょせん、結ばれない平行線さ!

生まれ落ちたご時世が悪かったのだ!


「あんなにバカ真面目人間が、今の世の中に居るってことがおかしいのよ!」


 ‥‥ということです。

ハイ!



「彼の方がまさっているよ。だから奴のことは好きなようにやらせているのさ!」


 それならけっこう!ケダラケ、ネコ、ハイダラケ!


 しょせん要領の良い奴にはかなわないんだから!


 俺がデッケェ(つら)(でかいかお)をしている?

バカにするなっ!奴等の方がデカイ態度をしているから

俺は反発しているだけなんだ!


 俺はごく普通に、控え目にしているんだよっ!





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