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決算日、異世界へ
決算日だった。
俺は経理部員だ。名前は琉架長里。
月初は地獄だ。
月次決算で死ぬほど伝票を捌かなばならない。
だが数字が合わない。関係各所は請求書を申請しない。
後輩は決算中でも平気で定時で帰りやがる。
「なんでこの経費、現金なのに未払なんだよ……」
独り言が増える。
時計を見ると24時。
終電はもうない。
「今日も会社に泊まるのか」
そう思って椅子に倒れ込んだ瞬間。
――光。
視界が白く染まる。
そう思ったつかの間目が急に回りまるで宇宙空間にいるようだ。
「なんかこの感覚覚えてるな。なんだっけか」
「あー、部長に死ぬほど飲まされた後の帰りのタクシーの中で目をつむったときのあの感覚かー」
「……は?」
周りは木と石でできた建物。
見たことのない服の人間。
「おい、こいつ誰だ?」
日本語だった。
だが雰囲気は完全に異世界。
俺は何が起こったか全くわからなかった。
「ここどこだ。夢か。俺もとうとう限界が来たのか。」
違った。
夢ではなかった。
感覚がある。
琉架はかつてアニメで見た現実であることを確かめる方法として自分の手の甲をつねってみた。
痛い。人間はほんとにこんな方法で確かめるのか。
そしてその日。
俺の人生は、帳簿ごとひっくり返る。




