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鬼助け

 音がする。

 俺は眠たい目を擦りながら目を開けるとビービーと警告音のようなものがなっていて何やらただ事ではないような感じだ。

 俺は部屋から出ると廊下は赤く光っていて、すぐに緊急事態だということを感じると俺は下のロビーのような所に行き女を探すことにすると、後ろの方から声がし振り向くと、黒のスーツをきたあの女が立っている。

 俺はなぜこの女がここいるのかではなく、女のあちこちがぼろぼろであることに驚いた。

 俺が声をかける前に女が口を開く。


「敵が侵入してきました」


「敵って……!?」


「はい、敵です。敵の狙いはあの少女だと思われます。なのであなたは少女と若を助けに行って下さい」


「あんたはどうする?」


「私はもちろん侵入者を倒しに行きます。それとこれを渡しときます」


 と言うと女はポケットから青色のカードを取り出し俺に渡すと説明をした。


「これはあの少女と若のいる部屋に行くための物です。これを持っているだけで今二人がいる部屋に行くことが出来ます」


「分かったよ、少女と扉のことは任せてくれよ」


「ありがとうございます」


 と言うと女はそのまま俺の視界から消えてしまい、今ここに存在していたのか疑いたくなるが女から渡された青のカードを見るとちゃんと存在していたことが確認できる。


***


 俺はエレベーターまで急いで行きボタンを押してドアを開けると、急いで乗り込みあの部屋に行くためにドアを閉めたのはいいが、女は『持っているだけ』で行けると言っていたが部屋に行く様子が一向にないために不安になっていたがその不安は解消された。

 いきなりエレベーターが動き始め下へ進む。

 部屋に着くと少女と扉が治療中で目を覚ます様子がなく、ただ治療中の機械がチカチカと赤く点滅しているだけだった。


 俺は女に二人を助けろと命じられたが具体的には今この状況でいったい何が出来るのか正直わからない。

 俺は二人の治療が終わるのが待つことしか出来ない、そんな状況に奥歯をギリギリと噛み締めて自分のいたらなさを再確認する。


 ドドガガガギギギババ!

 と上の階から物凄い音がした。

 俺は上の方を見た。

 それは女が言っていた侵入者だということは分かりきっていた。


「くそ、なんだよ」


 と独り言が思わず口から漏れてしまったが俺はそれに気づいていない。

 ここにきて約10分立っていた。

 その間、俺がしたこといや出来たことはただ二人を見守ることだけ。それすらも出来ていたのかは怪しい。


 女から渡された青のカードを握りしめて、改めて二人を見るが変化は何もない。

 一瞬まばたきをしてしまった。

 目を開いた瞬間、一人のローブを被った覆面が治療中の機械の前に立っていたのが分かる。

 俺はその状況に頭が追い付かなくただ口を開けて絶句し言葉も出せない。

 すると、


「ほーう、ほーう。これが例の少女か、あとついでに扉殿もおるなんて」


 この言葉は俺に対して向けられたものではない。

 ただの独り言だ。

 つまり、何が言いたいかというとこの覆面は俺のことをこれぽっちも気にしてない。

 治療中の機械に手で触れると何か楽しげに言う。


「ほーう、ほーう。悪いがこの少女を渡してもらうが言いかな?」


「はい、どうぞ」

 その言葉を聞いたとたん覆面は嬉しそうに俺の方を見ると、何かを言う前に俺がさっきの続きを言う。


「なんていうわけねぇーだろ!」


 覆面の動きは一瞬止まるがすぐに思考を整理し言葉にした。


「ほーう、ほーう。別に構わないよ、じゃあ貰うね」


 と言うと機械をローブの中に隠していた小刀で切ると黄緑色の液体が床に流れ出るが覆面はお構いなしに無理矢理少女を床に出すと髪をつかみそのまま上に持ち上げるが、少女は意識を戻す様子はなくただ目を閉じていた。

 俺はその光景を見た瞬間頭に血がのぼり感情が制御出来ない。

 覆面に殴りかかるがあっさりと交わされてしまう。

 俺は奥歯を噛み締めながら叫んだ。


「そのきたねぇー手を離せよ」


「ほーう、ほーう。すまんのうそう言うわけにもいかんのだ、心が痛むのだか……」


「嘘つけよ!お前の面はそんな事微塵も思ってねぇーだろ」


「ばれたか?」


 俺は覆面の表情(かお)がもちろん見えないのだが、なんというか雰囲気で分かった。

 今度こそ覆面の顔に一発喰らわせてやろうとしていたがどうも簡単にはいかない。

 床を蹴り殴りかかるが簡単に交わされてしまう。

 何度も殴りかかるがその都度交わされる。

 俺の攻撃を交わしながら覆面はダルそうに口を開く。


「ほーう、ほーう。ただの人間が、ワシに敵うわけなかろうに。それも分からないとは愚かとしか言いようがないのうー」


「クッッ……」


 確かに俺の力は覆面には及ばない。だからといって少女がただ連れていかれるような所をただ指をくわえて見ていることは出来ない。


 拳を握りしめた。

 俺は弱い、覆面が行った通り愚かなのかもしれない。でも、愚かで何が悪い?

 弱いからこそ人間は弱いなりにも足掻こうとするのではないだろうか。


 床を力いっぱい蹴り、覆面の顔面に拳が届く一歩手前で俺は拳を止めていた。俺自身もなぜ止めたのか一瞬分からなかったが、腹部に違和感を感じみてみると腹部から赤いものが流れ出ていた。その量は決して少なくはなかった。

 俺の腹部には両刃の剣が刺さっており、そのまま床に膝をつくと覆面は俺を見下すように見下ろしていた。


「ほーう、ほーう。これでなかったかな?どんなに早くワシよりも攻撃を仕掛けてもワシの攻撃の方が早いということが」


 俺の腹に刺さった剣を覆面は容赦なく抜くとそのまま血を振り落としローブの中に隠した。

 俺の腹から無理矢理剣が取られたことでさらに傷口が広がり床が俺の血でいっぱいになるのが分かる。

 血の失いすぎで思考がはっきりしない。


 覆面は少女を肩にのせ俺に背を向けて言う。


「ほーう、ほーう。主には誰も救うことは出来ない。なぜなら弱者だから」


 そのまま歩き出す、俺は声をあげようとするが声はあまり出なかった。


「待てよぉ!」


「ほーう、ほーう。すまんが声が小さすぎて聞き取れないのう」


 覆面はそういい残すとゆっくりと歩き出す。

 俺の腹の傷はまだ治るのに時間がかかりそうで立ち上がることも出来ない。

 それでも声をふりしぼる。


「待ってて言ってるんだよぉー!」


「ほーう、ほーう。時は有限、お主にかまってあげる時間は一秒たりともあらせんよ」


 覆面はそう適当に答えると地上に上がるためにエレベーターを乗り込もうとしている。

 俺にはそれを止めるすべはない。

 女と確かに約束したのだ。少女を助けると。

 だけど俺は……。


「クッソー……」


 言葉に表すことのできない今の自分のこの悔しさを。

 無能な自分に失望する。

 気がつくとだらしなくも眼には涙が溜まっていた。


 ドッギャン!


 音が部屋に鳴り響く。

 それは扉を治療中の機械からだった。

 音が鳴るのと同時に機械はひび割れて中から手が出てきてそのまま人、いや扉がダルそうに出てくると頭をかくと面倒くさそうに言う。


「なんだよ?うるせぇなぁー、静かにしろよ」


 この扉の発言が良くも悪くもこの場の雰囲気を変える。

 扉の声を聞くと覆面は足を止め制止するとそのまま後ろを振り向き扉を凝視した。

 扉は覆面が少女を肩に乗せているのを確認すると目付きが変わる。


「その女はまだ治療が終わってないようだな?」


「ほーう、ほーう。これぐらいなら大丈夫でしょ、扉殿」


「それはお前が決めることじゃねえよな」


 そう言うと扉は誰よりも早く動く。

 床を軽く蹴ると床はえぐられており、そこにはもうすでに扉はいなく覆面の目の前に立っていた。

 覆面は一瞬反応が遅れる。それが仇となり、扉は覆面が少女を持っている手を手刀で切断すると少女が床に落ちる前にキャッチし、覆面から距離をとる。

 距離をとると俺のところまできて少女を優しく床に置くと覆面を見ながら言う。


「しっかりそいつを守れよ」


「ああ」


 覆面は切断された所を手で押さえつけた。


「ほーう、ほーう。扉殿やってくれましたなぁ」


 と言うと互いに睨み付けあいながら命と命の奪い合いが始まろうとしていた。




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