鬼から赤鬼へ
黒スーツの金髪碧眼のポニーテールの女は必死でとある部屋を目指していた。
女が通った道には血の跡があり女が手負いであることが容易に分かる。
広い部屋にやっとついた。
女はそこでドアを開けて入る。
そこには誰もいない。
女は追われている、いや追われるように仕込んでいたというべきか。
たぶん追ってはあと一分もしないうち女の前に現れるだろう。
だがしかし、その考えは甘かった。
ドアが砕け散る。
見ると二人の男が立っていた。
女は驚く素振りも見せる様子がなく、ただ戦闘準備にはいる。
構えた。
二人の男は女よりもまともに戦えば強いだろう。
そんな事は承知の上だった。
今は扉を助けるための時間を作れればそれでいいと思っている。
二人の男は状況がわかっているのか、いきなり自己紹介を始めた。
「殺す前に名前、教えときますね。クロリー・カステラです」
とクロリーと答えたのは白を基調とした戦闘服のようものを来ており目は赤く、肌は赤土のうな色をしており、体格は引き締まっていた。
もう一人の男も自己紹介を始める。
「名をテサー・イリングと言う。趣味は強敵を倒すことだ」
テサーと答えたのは黒のジャケットを来ており、腕が異常に筋肉で膨れ上がっており全的なバランスがおかしい。
目の色は黒目で髪は白髪。
と名乗り終えるのを聞くと女はいきなりクロリーの方に殴りかかった。
クロリーはそれを交わすと反撃したが女も紙一重で交わす。
交わしたところでテサーから一撃殴られる。
だが、殴られたのだがあまりダメージはなかった。
それが逆に心配になる。
クロリーはやれやれという表情で口を開く。
「こちらが自己紹介したのだからそちらもやるのが普通なのでは?」
「あなた方が勝手にやったことでしょ」
「厳しい、でも甘い」
その言葉を聞くと一気に緊張が走る。
さっきテサーの攻撃を受けたのは右腕だ。
その右腕が動かなかい。
テサーはやっときずいたのかと言うと更に続ける。
「今貴様はなぜ腕が動かないのかと思っているだろう」
「……」
「これが僕の力だ」
確かに右腕は動かなくなったが戦えないわけではない。
これからのことなら察することができるのは一つだけだった。
(テサーの攻撃をくらえば、攻撃をくらったところが動かなくなってしまう……)
そんな事を思っているとクロリーがテサーに意義を唱える。
「おいおい、テサー。かよわい女性にそこまでしなくてもいいじゃないか」
「クロリー、貴様は甘いのだ。女だからと言って手を抜いていては後で痛い目に遭うぞ」
「テサーはほんと固いよねぇー」
女は怒りに襲われた。
今、自分は『かよわい』と言われたのだ。
それは許しがたいことだ。
奥歯を噛みしめた。
「誰がかよわいって?」
クロリーとテサーは口をそろえる。
「君だ」
「貴様だ」
それが更に女の怒りをかう。
女はこの二人が本気で自分のことを『かよわい』と言っているのが分かる。
それが逆に頭に来る。
女は怒りを抑えながら言う。
「そうですか。それではかの『かよわい』私に倒されないように気を付けてくださいね」
そう前置きすると床を蹴る。
右腕は動かないだけだ。その他には何も影響はない。
先に倒すのはテサーと決め、テサーを狙う。
テサーの顔面を捉えた左手で殴ろうといきよいよく拳を発射する。
殴れると確信があった。
それは届かなかった。
殴るよりも早くクロリーが女に手の裏を向ける。
ファイヤーと言うと炎が作られ火炎放射のように炎が出て全身が焼かれる。
全身が焼かれるが、なんとか耐える。
炎は一分ぐらいで消えたが火傷はとても大きいものだった。
クロリーはもう仕分けなさそうに謝る。
「ごめんね、今ので楽にしてあげるつもりだったのに力を弱めすぎた」
「痛っ……」
痛みでクロリーの言葉など聞く余裕がなく、ただもがいていた。
テサーがクロリーに向かい指を指して指摘する。
「貴様の中途半端な優しさが逆にそこの女を苦しめるのだ!」
「テサー君って意外優しい」
「ふざけるな。貴様では拉致があかない、ここは僕が殺そう」
クロリーは何やら落ち込んだようだったが不満げにそれを了承した。
「分かったよ」
テサーは女の前にたつと拳を構える。
「最後に貴様教えてやろう。僕の力は、相手の殴ったところの神経に干渉し、身動きできなくするものだ」
それを聞いた女はもがきながら抵抗するような仕草をする。
だが、それをテサーはあわれるように見る。
「それでは始める」
そう言うと女の左腕、右足、左足、腹といった順番で殴っていく。
テサーの攻撃の威力が全くわからない。
神経に干渉されたことにより痛みという概念が薄れていく。
さっき攻撃を受けたときにあまりダメージを受けなかったのはこれのせいだということに今更ながらに気づく。
「これで痛みなく死ねる」
これがテサーなりの優しさなのだろう。
女は火傷で苦しんでもがいて嘘かのように火傷の痛みが消えていた。
テサーは感度こそ女に殺すために拳を振り上げる。
顔に当たる。
だけどそれは当たることはなかった。
拳は女の顔を確かにとらえていたのに殴ったのはただの床で、床は拳の威力が強すぎて穴が空いていた。
下の階が見える。
だか、下の階を見てみるが女は下にいなかった。
テサーは今まで味わったことのない奇妙な感じに襲われていた。
テサーが動きを止めているとクロリーが叫ぶ。
「テサーは逃げろ!!」
振り向くと小さな拳がテサーの腹にめり込む。
テサーは口から吐血した。
見ると女が立っている。
さっきと違う。
金髪ポニーテールだった女は、髪が赤く変色している髪を縛っていたゴムは切れ腰まで髪がかかっていた。
テサーは驚きなが言う。
「なぜ、動ける?」
「確かに私は神経に干渉されありとあらゆる感覚をなくしました。ならば簡単なくしたのなら新しく作ればいいだけのことです」
「それにその姿は……」
「まぁ、できるだけ楽に殺して差し上げます」
と言うと女は右手に力をいれる。
クロリーは止めようとするが、一歩遅い。
ドパン!
と音をたててテサーの肉は辺りに飛び散る。
テサーはあっさりと死んだ。
クロリーは今の状況を確認するのに時間がかかってしまう。
クロリーは確信したように言う。
「その髪の色、まさか赤鬼」
「そうです、赤鬼ですよ」
女はあっさり肯定する。
クロリーは顔が青ざめる。
「赤鬼は五千年前に滅んだはず……」
「気が変わりました、私も自己紹介します。鬼神 紅春最後の赤鬼です」
そう言うとクロリーから受けた火傷の跡がきれいに消えていく。
クロリーは怯えながら言う。
「なぜ、それだけの……」
クロリーの言葉を紅春が横取りする。
「力がありながら最初から使わなかったか?それは閻魔の部下たちの力が知りたかったからですよ。でももういいです、そこが見えました」
そ言うと紅春はクロリーに襲いかかる。
クロリーは手を向けるとそのまま炎を出そうとするが、紅春は容赦なくその手を吹き飛ばす。
クロリーは叫ぶ暇もなくテサーと同じようにただの肉の塊にされる。
辺りは血が飛び散り、地獄とかしている。
紅春はその部屋を後にするために歩き出す。が、床に膝をつき倒れこむ。
ゲホ!
と咳を一度すると、手で口を抑えながらした。
手には血がこびりついている。
それを見ると紅春苦しそうな顔をすると、
「力を使いすぎましたか……」
と言うと意識を失う。




