鬼の脱出劇
二人とともに俺はとあるところまできていた。
そこには大きな赤いもんがあり、それは俺が地獄に落とされたときに通った門に似ている。
だが、違うのは大きさだ。
そこにある門はとにかくでかいのだ。
東京タワーぐらいあるのではないだろうか。
俺はただ絶句しながら門を見ているのだが扉と紅春はいたって普通の表情だった。
そして、何より問題なのは門を死守している兵達、鬼の軍団だ。
こちらに勝ち目があるようには見えない。
しかもこちらには意識不明の少女が一人いる。
俺が抱いているのだが少女を抱きながら門を突破できるとは思えない。
そう思っていると扉が懐から赤のカードを出してきた。
この赤のカードは見覚えがない。
それを察したのか、扉は補足説明を始める。
「前の戦いで倒した覆面の血から作り出したこのカードは、切ることでその姿を消すことが出来るもんなんだけど、少し痛いが我慢してくれ」
そう、一方的に言うと赤のカードは青のカード同様に剣に変わり、その刃を俺に向け一瞬の躊躇いもなく切りつけた。
「いたぁー」
と叫ぶと、俺と少女の姿がその場から見えなくなった。
次に扉自身も姿を消すために自身を切る。
涼しげな表情だったのが少し腹ただしい。
扉は紅春だけ姿消さずにいた。
それが俺に疑問、いや嫌な予感へとつながる。
「何で紅春には姿を消してあげないんだ?」
「紅春には門の近くで敵をひきつけてもらう。その間に俺たちは門を壊し地獄から出るっていう作戦だ」
「そんな事したら紅春はどうなる!?」
仲間を大切にしない扉の態度に俺は腹を立てて声をあげる。
それでも扉は物怖じひとつせずに俺に対して鋭い目付きになり、声色を低くし言う。
「どうもならないさ。紅春はそんなにやわじゃない、それに誰かが敵をひきつけなければ門を壊すのはむずかしいだろ?」
「でも……」
「物事をよく考えろ」
「……」
この方法しか出来ないことに怒りを覚える。
紅春が強い弱いの問題ではない。
紅春は確かに強いのかもしれないが、だからと言って一番危険な囮に使っていいことにはならないのだ。
がしかし、現実は紅春を囮にしなければならない。
奥歯を噛み締める。
今の自分は何もできないただの弱小の魂だ。
「ありがとうございます」
と紅春は不意に俺に声をかけてきた。
俺は振り向くと、紅春の顔を見ることができず真下を向いて言葉を返す。
「ありがとうってなんだよ、俺は何も出来てないだろ……」
「いいえ」
と一度首を振るとそれを否定し続ける。
「私のためにそこまで思ってくれるだけで充分です」
「めでたいやつ」
俺が返すことができたのはそれだけだった。
普通はもっと違うことを返すはずなのだが今の俺には皮肉しか出てこない。
自分でもどうしようのない奴だとはっきりと認識している。
物陰から鬼達の行動を見ていた扉が口を開いた。
「そろそろやるぞ」
というのも鬼達の警備が薄くなる時間帯があるそれは、警備交代の時。
その時になると一旦警備の半分が門から出ていくのだが、それが扉が言うには唯一のチャンスらしい。
どんどん鬼達は地獄から帰っていく。
それを見ていると鬼達が自宅に帰っているのかとそんなことを考えてしまう。
もしそうなら、人間と鬼の違いなんてあまりないのかもしれない。
「紅春、それじゃ頼む!」
「はい!」
そういうと紅春は地面を全力で踏みしめ敵がいるところまでいき、いきなり赤鬼になると空中で拳を振り上げそのまま振り落とすとその衝撃で地面が砕け大きくえぐらていた。
それを見ていた俺達は紅春に鬼達が集まっていくのを確認すると、扉は俺と少女を肩に担ぐと地面を蹴りジャンプをし空中に行くと一度門の方を見るとそのまま門まで急降下し、門を目指し行く。
音を立てないように着地し門の目の前まで来た。
鬼達は気づいていない。
それを確認すると、赤と青のカードを取り出すとそのまま剣に戻し、門に剣をむける。
二刀流で門を攻撃すると門は四頭分に切られ門は壊れた。
鬼達は一瞬動かなくなり、辺りを見渡す。
だが、紅春は攻撃を止めない。
攻撃を続けた。
鬼達はどんどん倒れ大体半分くらいは戦闘不能になり、後は門で地獄から出るだけとなった。
俺は紅春を呼んだ。
「早くここから出るぞ」
「分かりました」
と言うと今相手をしていた鬼を倒すと地面を蹴り飛び門の方まで飛んできた。
扉は行くぞと言うと俺達は門の中へと消えて行く。
鬼達は今の状況についていけずに口を開けポカーンとしていたが一人の鬼が言う。
「おい、早く閻魔様にご連絡しろ!」
「えっ?」
指示をされた鬼は困惑している。
指示を出した鬼は血管がはち切れそうになるのをこらえ再度言う。
怒りを込めて。
「地獄から逃げられたんだぞ、早く閻魔様に報告しなければならないだろ!!」
「はい!」
と言うとすぐさま閻魔に知らせるために動き出す。
だが、俺達は地獄から出る。
最初からそう決まっていたかのように。
***
門は10分くらい走ると出ることが出来た。
出るとそこは俺が最初に地獄行きを決定された場所よりも数メートル離れたところにある森の中にいる。
俺は大きく息を吸い込む、そうすると当然のことだが美味しい空気が体に入り込んでくる。
それは体を巡り、また体の外に出ていくことが分かった。
「シャバの空気サイコー」
と気持ちが高ぶって行くのが分かる。
がすぐに扉に空気を壊された。
「これからだがな」
「あぁ、わかっているさ」
俺はすぐに返事をすることが出来た。




