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僕は貧乏騎士爵家の四男です。僕の夢はお腹一杯美味しい物を食べる事です。  作者: きすぎあゆみ
1 エルシード・バルディア・ヴァルロッティー
38/47

38・森では…

毎日天候が急変したり気温が急上昇したりと、気が抜けませんね。

皆様も体調不良などお気を付け下さいませ。


続きです。

宜しくお願い致します。

皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。

 せっかくルウスが教えてくれたのに、僕は目の前を必死に逃げて行く小さな動物の行動を見守る事しかできなかった。


「ああっ!まってっ!」


 何とか対応しようととたのだけれど…手遅れでした。


「(ああ…何やってんだよエル、逃げたじゃないかよ!)」


「えっ、ごめん…いきなりだったから驚いちゃった」


 そうなんだよね確かに身体強化の魔法を使っているから捕まえられなくは無いのだけれど、薬草や山菜を採っていたから身体強化の魔法の防御力以外は最低限にしていたんだよね。力が強すぎると薬草や山菜を握り潰してしまったり、採取する途中で必要な部分で千切れてしまったりするかもしれないからね。一応瞬発力とか素早さとかも最低限は使っていたのだけど…とっさの判断力?それとも対応力かな?が足りなかったって事だよね。


 とっさの時の状況判断って難しいよね?


 それこそ身体強化魔法を使いこなしているかって言われると…。まだまだ修行中の身なのである程度使えるようにはなってはきたのだけれど、それでも身体強化魔法を使っている時に今みたいな状況になっても上手く魔法を扱える自身は微妙かも?もしかしたらだけれどさっきの小さな動物を勢い余って握り潰しちゃったり、蹴飛ばしちゃったりって可能性が大いにあるのだけど…。


 生死問わずならもしかしたら捕まえられた可能性はあったと思うけどね?…いまさらだけど…。


「(小さいけど食うとうまいんだぞ!)」


「えっ…あんな小さな子を食べちゃうの?」


「(小さいって言っても、あれでも大きい方たぶん大人?だぞ!)」


 食べちゃうんだ…確かにあの子は大人みたい?だったけれど。でも、僕達と出会う前の常に命の危険や飢えと隣り合わせの生活をしていたルウスだったら、生きていくためには必要な事だったよね。


「そうなんだ…ごめん」


「(ちぇっ、しょうがないな。エルはどうせ、葉っぱに夢中になっていたんだろう?)」


「うん、そうなんだ。初めて見る物もあったし、前に食べてルウスが気に入っていた山菜もあったし…」


「(なんだ、それを早く言えよ。それだったら、今回の事は無かった事にしてやるよ!)」


 良かった、本当に偶然になるのだけれどルウスでも食べられる山菜が近くに生えていたから、一応ルウスの機嫌は直ったぽいのだけれど。でも、僕達と出会ってからは毎日お腹いっぱい御飯を食べられているはずなんだけど…おやつのつもりだったのかな?


「うん、ありがとうルウス。次からは気を付けるね」


「(おうわかればいいんだ。失敗しても代わりになる物が見付かったんだから、それでチャラにしてやるよ)」


「わかった、次からは気を付けるね」


「(次はたのんだぞ!オレが周りを警戒しとくから、今のうちにうまい葉っぱを採ってしまえよ。)」


「うん、わかったよ。ありがとう!」


 僕達が採った素材でルウスの口に合った物が有ればルウスも自分から進んで採って来てくれるし、ルウスの口に合わなくても僕が気に入った物が有ればこちらもルウスが探してくれる。なんだかんだ言ってもルウスは優しいし僕に気を遣ってくれているし、僕も大事な友達だから僕がして貰って嬉しいことはルウスにもしてあげるし、色々とお互いでお互いの面倒を見ているって感じなのかな?


 僕とルウスが見落とした物や気が付かなかった事が有れば、そんな時にはすかさずウリケルさんが出てきて簡単な講義みたいなのが始まるのだけれど、そうする事で僕とルウスには新たな経験と知識が増えていくから森のなかには毎日ではないけれど、新しい発見があるよね。


「ルウスありがとう。お陰で薬草と山菜が沢山採れたよ!」


「(おう、それは良かったな。うまい物が増えるのは大歓迎だぞ)」


「本当にさっきはごめんね」


「(あん?もう済んだ事だ、気にするな。そんな暇があるのなら旨い物を沢山食わせてくれ!)」


「そうだね、できるだけ頑張ってみるよ!」


 もう一年以上も森の中を移動しているのだけれど、未だにこの森を踏破できていない。大分進んだ筈なんだけどね?でも、ヴァルロッティー村の周りと比べると目に見えて植物の植生?が変わって来ているのかな?


「この辺りに生えているのは大体採ったから、移動しようか?」


「(うまい葉っぱも沢山採れたのか?)」


「うん、沢山採れたから晩御飯が楽しみだね」


「(それは良かった、じいさんうまい飯を頼んだそ!)」


「………(やれやれ、私はエルの師匠であって、ルウスのご飯係じゃないのだけどね)」


 見たことも無い果物や木の実や山菜に薬草や香草も採取しているし、野獣や魔獣や魔物も見たことも無い物も増えているし、見たことがある野獣や魔物や魔物もどことなく雰囲気が違っていたり身体が大きくなっていたり、より狂暴になっていたり少し見た目が違ったりと似ているけれど違う種類か上位種って言われている種類に代わっているみたいなんだ。


「すみません師匠、僕が御飯を作れないばっかりに…今度から僕が御飯を作れるようになるように、御飯の作り方も教えて下さい!」


「(おおっ、それは良いな。そうしたらいつでもどこでも飯が食えるぞ!)」


「………(いや、この森の中でいつでもどこでも御飯って…出来なくは無いが、その時にはルウスには沢山働いてもらうからな!)」


「出来ちゃうんですか?やっぱり師匠はすごいですね」


「(おおっ、さすがはデンセツノケンジャサマ?だな、エルに飯の作り方の修行もしてくれよ、任せたぞ)」


「………(まあ、その内には教えないとはいけないのだけどね…そうするとエルの他の修行の時間か寝る時間が減ってしまうけど良いの?)」


「えっ…出来る限り頑張ります」


「(まあ、あまり無理をするなよ、お前達が倒れたらオレの飯を作る奴がいなくなるからな)」


「………(それをお前が言うのか?)」


「ルウスのためなんだけど、ほどほどに頑張るよ…」


 何だかんだで師匠から魔法や武術や勉強や知識や一般常識?以外にも、料理を習うことになったのだけれど…料理を習うのにはルウスも一緒に習った方が良いよね。主に食べるのはルウスなんだからね…。


「………(!)」


 って和んでいたのだけど、一瞬、それこそ本当にほんの一瞬だけウリケルさんの目付きが鋭くなった気がしたのだけれど?


「(んっ?!エルっ、小さい気配が沢山近付いて来ている!)」


「えっ?なに?」


 ルウスも何かを感じたみたい。ちょっと余裕が無くて焦ってるような?僕の索敵魔法の範囲からは外れているのか僕にはわからないけれど、森の様子がさっきまでとは違う気がする。何て言ったら良いのかな、少し静かすぎるような、それなのにそれでいて森の奥の方がざわついているような?一言で言うと、いつもの森とは雰囲気が違うって言うのかな?心なしかその場の空気がピリピリしているって言うかチクチクしてるって言うか、これって何かある時に感じるただならぬ雰囲気ってやつだよね…。


「………(エル、ルウス、今すぐに家に入りなさい)」


「(何かめちゃくちゃ嫌な感じがするな!)」


「…何が、どうしたの?」


 二人の様子からただ事では無い事はわかったのだけれど、でも僕には何も感じられないし探知魔法にも何も反応は無いから状況が理解出来なかったのだけれど…。


 って思っていたのだけれど僕の探知魔法に僕や仲間に(この場合はルウスとウリケルさんも入るのかな?)敵意を持った反応が森の奥の方から、それこそさっきの小さな動物が逃げた方向から突然湧き出したかのように溢れ出してきたそれは、僕に探知できる範囲を埋め尽くすみたいに移動してきたんだ。


「…これは何なの?」


 なんて言ったらいいのかな?頭の中が真っ白になったって言うか、事態を飲み込めていない…いや、理解が追いつかないって言うのが正しいのかな?


「………(早く家に入りなさい!)」


「(エルッ、何かやばい逃げるぞ!)」


「でも、師匠は?」


「………(私は大丈夫だよ。何せ肉体が無い思念体だからね、私が食い止めるから今のうちに二人は家の中に避難しなさい)」


 ウリケルさんはそう言うと僕たちの目の前に、今ではすっかり見慣れてしまったウリケルさんの家の玄関のドアを出現させた。

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