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僕は貧乏騎士爵家の四男です。僕の夢はお腹一杯美味しい物を食べる事です。  作者: きすぎあゆみ
1 エルシード・バルディア・ヴァルロッティー
22/47

22・修行なのに快適?

今は何の花粉?ですかね?

鼻がムズムズしています。

目も痒い様な気が…?


続きです。

宜しくお願い致します。

皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。

 ピピピピピッ…


 何か、耳に付く音が聞こえる?


「…!…う…ん…?」


 ピピピピピッ…


 うるさいな…一体何なの?


「…?…な…に…?」


 ピピピピピッ…


「…あ…時計か…!」


 ピピピピピッ


「…あ…さ…なの?」


 僕の部屋の目覚まし時計のアラームって言う音?が鳴っている。って事は朝の5時。もう少ししたら朝日が昇るから、起きるのには丁度良い時間だよね。


 これは僕の部屋のベッドの枕元に置かれているもう一つの時計で、小さい上に決められた時間にアラームって言う音で起こしてくれる、とっても便利な道具?機械?装置?だった。


 朝にこんな風に起こしてくれるのだったらとっても便利なんだけど、どこで何をしていても時間が気になってしまって時間に追われてしまうのだったら、それはそれで嫌かな!


 昨日はウリケルさんの仮想現実の世界に有る異空間の家に泊めて貰ったんだ。大好きなお肉を使った美味しい御飯も沢山食べられたし、久しぶりにお風呂にも入れたから今日は何時もよりも何だかとっても元気になった気がするけれど、きっと気のせいだよね?


「おはようございます!」


「おはようエル、朝御飯はパンとライスとどちらが良いかな?」


 身支度を済ませた僕がLDKに入ってウリケルさんに挨拶をすると、ウリケルさんは朝御飯の支度中だった。白く長い髭を蓄えたローブ姿の威厳の有る魔法使いのお爺さんが、エプロン姿でキッチンに立っている…強いだけでは無く、弟子に対しても優しく面倒見の良いとても格好いい師匠だよね。


「パンでお願いします」


「了解、直ぐに出来るから座って待っていてくれ」


 本当なら弟子の僕が御飯の準備をしなければいけないのでは?と思うのだけれど生憎と僕に料理の経験は全く無かったので、師匠のウリケルさんが僕の御飯の支度をしてくれている。知識としては色々な、それこそ異世界の料理の作り方も知っているけれど、作った事が無いので本当に知識だけで料理が作れるのかは疑問なんだよね!


 そんな事を思っていると出来上がった料理が、次々とテーブルの上に並べられていく。オークの肉の燻製の上にコッケ鳥の卵を目玉みたいに焼いた料理ベーコンエッグに、野菜と果物のサラダに、牛乳って言う家畜の乳を発酵させて作ったヨーグルトって言う酸っぱい固まりに果物で作ったジャムを掛けた物、野菜を煮詰めて濾した野菜の旨味が凝縮したポタージュスープに、丸いロールパンや四角い食パンや楕円形のコッペパン?やクルクル生地を巻いたクロワッサンとか色々な種類のパンに、牛乳や香草茶や黒いコーヒーって言う苦い豆のお茶?が並べられた。


 ウリケルさんの家で食べる御飯は何時も種類が沢山有って、しかもその全ての料理がとても美味しくてついつい食べ過ぎちゃうから困るんだよね。


「頂きます」


「はい、召し上がれ」


 案の定今朝も食べ過ぎちゃった。食べ過ぎでお腹がパンパンになったけどどうしよう…。


「御馳走様でした!」


「お粗末様でした」


 えー、全然お粗末なんかじゃ無かったよ。家の御飯と比べると…比べる以前の問題でした…。


 こんなにお腹がパンパンになっちゃったけど、今から森の中を歩かなければいけないのに大丈夫かな?




 今日は、昨日僕が力尽きた場所から更に森の奥に向かって歩く予定なんだけど、でも、どうやって昨日僕が力尽きた場所まで戻るのかは疑問だよね?僕が疑問に思ったのでウリケルさんに聞いてみたけれど、「直ぐに解るさっ」って言われて教えて貰えなかった…。


 それならと森に入る前に、僕自身に強化の魔法と索敵の魔法を掛けるのは忘れてはいけないよね。念のため小剣と服も確認しておく。汚れた下着も着替えて洗濯をしたし、お風呂にも入ったから完全にリフレッシュ出来た。


 森の中を修行できる場所を探すために修行を兼ねて移動している筈なのに、とても快適なのだけど今更だよね。だって、僕が使っている小剣や服もウリケルさん製で無限収納も有るし、何よりも魔法を使う事が出来る事のそれだけでも一般の人達よりも条件は整い過ぎているのに、更に家に寝泊まり出来て暖かい御飯とお風呂に入れるなんて…でもこれって、僕が≪理の実≫を吸収して倒れた時の状況と殆ど同じだった…!




 この見渡す限り終わりの見えない盛りの中を移動するのは、本当に命懸けなんだ。僕のご先祖様達がヴァルロッティー村を造る予定地に到着するまでも到着してからも、この森で沢山の人が死んだり行方不明になっているからね。


 過去には王族や貴族やお金持ちの商人に依頼されたり支援された冒険者とか探索者とか探検家って言う、人跡未踏の地を探検する人達や、未知の食材や珍しい薬草や木材や動植物の素材などを探す人達も居たみたい。ヴァルロッティー村や他の村にに立ち寄ってその後どうなったのかは知らないけれど、でもそれはこの森に人が入植を始めて村が出来始めた頃の話だから最近そういう人達は居ないみたい。




 …で、ウリケルさんの家の玄関の扉を出るとそこは森の中でした…何故?


「師匠、玄関の扉を開けたら森の中です。これも魔法ですか?」


「そうだよ!時空属性の魔法で森の中と家の玄関の空間を繋げたんだ、便利だろう!」


 見た目が威厳の有る魔法使いのお爺さんなのに、悪戯が成功した時の姿はお茶目なお爺さんに見える…この代わり様って、何だが何者にも縛られない自由人って感じがして凄く好きなんだよね。


 理論って言うか理屈なのかな?それはおぼろ気にそれこそぼんやりとだけど解るような知っているようなそんな魔法なのに、今の僕には再現出来ないとても凄い魔法なんだよね。


「師匠の魔法はこんな事も出来るんですね。これなら森の中の移動がとても楽になりますね!」


「そうだろう。私が一人で冒険していた時にはこうして好きな時に好きな場所で家に帰って、ご飯を食べてお風呂に入って寝て、そしてまた修行をしていた物さ!」


 何それ?修行なのに自由に家に帰れるって…確かに常に極限状態で危険な冒険をするよりも、適度に休めて息抜きを出来る状態で修行をした方が何か不測の事態が起きた時の対応の仕方は違うよね?それを修行と呼べるのかどうなのかは別として…。でも一人で修行をしていたのなら、それも有りかも?だって死んでしまったら、それで終わりだからね。生きていているからこそ、偉業や行いが後世に残せるんだからね!


「凄すぎます、僕も一生懸命魔法の練習をして、一日でも早く師匠のお手伝いが出来る様に頑張ります!」


「そうだね。エルには私の知識の全てを渡しているから、頑張れば私と同じ事くらいは出来る様になるさ。出来ればその上を、出来れば私よりも更なる高みを目指して欲しいのだけどね」


 ウリケルさんの物語を聞いただけでも凄いって言う感想しか出てこなかったのに、実際に本人から物語の中の出来事の真実や裏側それに側面を聞いてしまうと、それに本人しか知らない冒険の裏話を聞いてしまってから…僕がウリケルさんの知識や経験を引き継いだ事も有るのだけれど…今の僕では足手纏いでしか無いよね。


「そうですか…でも先ずは一日でも早く師匠のお手伝いが出来る様になりたいです!」


「解ったよ、弟子の成長を楽しみに見守らせて貰おう!」


 師匠が偉大過ぎる…。そんな師匠の背中を追い掛けるしか今の僕には出来ないけれどいつか必ず師匠の隣に立てる、そんな魔法使い…男になりたいよね。そして英雄の物語りに出て来る様な、背中を任させて貰える様なそんな存在へと…。追い掛ける背中は遥か遠く高くそして険しく、そびえ立って居るけどね!


 そう、いつかかならず!!


「はい、宜しくお願いします!」


「いや、こちらこそ宜しくお願いするよ!」


 そして森の中に降り立ち後ろを振り返ると、ウリケルさんの家は見えなくなっていた。それはほんの一瞬の出来事だった。


「家が消えちゃった?それよりも、昨日の今日なので緊張しますね」


「………」


 辺りを見回すと根本付近でへし折られた大木の根と、黒ずみ固まったオークの血痕の痕が残っていたけれど、へし折られた大木とオークの死体は無くなっていた。


「オークと折れた木が、無くなっていますね」


「………」


 疑問に思ってウリケルさんに聞いてみたら、僕をウリケルさんの家に連れて行く前にウリケルさんが僕の無限収納に入れておいてくれたんだって。それはそうだよね。美味しいお肉も勿体無いし、ウリケルさんは木工とか大工とか木を扱う仕事も熟すので折られた木の使い道も沢山有るから無駄には出来ないよね。


「あっ本当だ、オークとホワイトシダーが入っています!」


 あれだけ苦労して?倒したオークの肉を誰かに盗られる事がなくて、本当に良かった。だって、美味しいお肉はお腹一杯に沢山食べたいよね。そんな事を考えていると、昨日の晩御飯の事を思い出してしまった。オークに似た美味しい肉で脂身と肉のバランスが絶妙で、肉と脂身の美味しさを堪能し尽くせるとても美味しい晩御飯だっよね。


 それにホワイトシダーの木はヴァルロッティー村では家を建てたり家具や食器を作ったりと、とても重宝している木で香りも良いのでこれだけ大きな大木なら小さな家くらいなら建てられるかも?


 だけど僕はこういう風に考え事をしている時でも、回りを警戒する事を忘れてはいないよ!だってこの森はいつどこで何が現れるか解らない、危険地帯だからね。


「今日中に修行が出来そうな所まで、行けますかね?」


「……」


 「そうですよね、僕の体力と、後は魔獣や魔物次第ですよね…」


「………」


「ケツを持つから、エルは出来る事を頑張れっ」て、何から何までウリケルさんに任せっきりなのに、これって僕の修行だったよね?こんなので大丈夫なのかな?

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