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僕は貧乏騎士爵家の四男です。僕の夢はお腹一杯美味しい物を食べる事です。  作者: きすぎあゆみ
1 エルシード・バルディア・ヴァルロッティー
21/47

21・エル、無断外泊の夜?

朝晩はめっきり冷え込むようになりましたね、皆様ご自愛下さいませ。


続きです。

宜しくお願い致します。

皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。

「…ううーん…ここは?」


 目が覚めるとそこはウリケルさんが仮想現実って呼んでいる異空間に有る、ウリケルさんの家の中で僕用に用意して貰った部屋だった。


「…疲れて、また寝ちゃったんだね、きっと…」


 て言うか、この状況って一体何度目なのかな?僕はまだ五歳児だからそんなに体力が無いから、あまり激しく動くと直ぐに疲れてしまって眠たくなってしまうんだよね。だから魔法で体力を強化しているんだけど、それでも疲れてしまうのは仕方か無いよね。


「またウリケルさんに迷惑を掛けちゃったのかな?師匠の足を引っ張るなんて、弟子失格だよね…」


 僕の魔力はとても多いからウリケルさんが言うには魔法は人よりも多く使えるみたいだけど、それでも数多く連発したり一度に幾つも魔法を使うと魔力的には全く問題が無いけれど、幼児の身体には負担が掛かるのでどうしても疲れてしまうのはどうしようも無いよね。


「ふぁー…でも、眠い…」


 ウリケルさんに用意して貰っている僕の部屋には時間を知る事が出来る≪時計≫って言う機械?装置が有るんだ。


 時間って言うのはこの世界にも当然有る概念なんだけど、一日をお昼迄を午前お昼からは午後の大きく二つに区切って、更に午前と午後を十二当分に分けるその十二等分されたのを時と呼び、午前の十二時間と午後の十二時間の合わせて二十四時間で一日を表す考え方なんだって。更に一時間を六十で区切りこの六十は分と呼ばれて、この分を更に六十で区切りその六十は秒と呼ばれている。


 因みにヴァルロッティー村には日時計って言う太陽の位置で大まかな時間を知る事が出来る物が有るのだけど、基本的には夜が明けると起き出して日が暮れると寝てしまうので、お昼御飯の時間さえ解れば問題ないから、あまり活用はされていないのが現状なんだよね。それに季節によって昼間の長さが変わるから、お昼の時間を知るためくらいにしか皆思ってないってのも有るのだけどね。


 偶にウリケルさんが「秒で出来た、秒で終わった」とかって言っているけど、その秒って言うのが時間の秒の事を言っていたんだね。異世界の言葉遣いって、何だが面白いよね。


「えーと、はち、じ、にじゅう、さん、ぷん!外は暗いから午後だよね?」


 えっ…午後の八時二十三分?それって僕の家だったら、晩御飯を食べ終わってもう寝ている時間じゃ…


「…どうしよう、誰にも言わずに外に出て家に帰らないって…無断外泊?って事だよね、父様と母様が心配しているよね…絶対に姉様と兄様も…」


 僕は慌てて部屋を出るとリビングダイニングキッチンって言う居間?兼食堂兼台所?に向かった。そこでは大抵ウリケルさんがのんびりとお茶を飲みながら、本を読んだり書き物をしているんだ。


「師匠大変です!」


「どうしたんだいエル、そんなに慌てて?」


 案の定ウリケルさんはリビングでお茶を飲みながら、本を広げて書き物をしていた。何か調べ物なのか、それとも何かの資料でも纏めているのかな?僕には良く解らないけれど、ウリケルさんは常に何かしらの作業をしている。


「師匠大変です!」


「うん、それはさっきも聞いたよ。それでそんなに慌てて何が大変なんだい?」


 僕がウリケルさんに声を掛けると、書き物をしていた手を止めてお茶を一口啜った。


「師匠、夜です!」


「そうだね夜だね、エルも起きた事だし、晩御飯にしょうか?」


 ウリケルさんはそう言いながら僕用にお茶を入れて、僕に進めて来た。お茶を飲んで落ち着けって事なんだろうね。僕は熱いお茶を一口飲んだ。ウリケルさんの畑で育てている薬草と香草で淹れられた香草茶は、精神を落ち着けたり疲れを癒したりと様々な効果が有って僕も大好きなんだ。


「はい、僕はもうお腹ペコペコです。って、違います!」


「おっノリツッコミが出来る様になったんだね、エルも成長したね!」


 ウリケルさんはお茶だけじゃ無くて、お茶菓子も僕に進めて来た。白く焼かれたサクサクの焼き菓子に白くて甘い溶ける板が挟んで有る、くっきーさんどって言う僕の大好きなお菓子の一つだった。


 そのくっきーさんどを一口齧った。うーん幸せ!


 だけど、今はそれどころじゃ無かった!


「エヘヘ、ありがとうございますって、そうじゃ有りません!」


「…じゃあ、何が違うんだい?」


 僕は窓の外を指差してウリケルさんに今が夜だって事を知らせた。ウリケルさんは僕の家の事情を知っているから、きっと何か対策を考えてくれると思っているからね。


「師匠、夜ですよ!」


「夜だね?」


 …と、思ったんだけどウリケルさんの反応が薄いって言うか…気にしていないみたい?何か有ったのかな?


「なのに僕はここに居るんですよ!」


「私と話をしているのだから、エルはここに居るね」


 何だがのらりくらりと躱されているって言うか、何だそんな事かってくらいに気にしていないみたい?


「僕がここに居るって事は、父様達が心配して僕を探しているかも知れません!」


「ああ、その事か!それなら大丈夫だよ、君の家族がエルを探す事は無いよ」


 何それ初耳なんですけど…って僕を構う事を競っているみたいな母様と姉様が父様や兄様達の制止を振り切って、先頭に立って絶対に僕を探していると思うのだけど…?


「えっ…そ、そんな…ぼっ僕の家族は…そ、そんなに冷たい人達じゃ…有りません…ぐすっ」


「ああ、御免エル!私の言い方が悪かった、今朝の事は覚えているかい?」


 …なのに僕を探すことが無いって…僕はいらない子になっちゃったの?…そんな事を思っただけで…自然と…涙が…溢れて…来てしまった…ぐすっ…。


「…ぐすっ…朝…ですか?ぐすっ…いえ?」


「じゃあ、君の影武者の事は?」


 …ぐすっ…影武者…?ぐすっ…!確か…ぐすっ…僕がいなくなっても…ぐすっ…大丈夫な様に…ぐすっ…ウリケルさんが…ぐすっ…テイムした…ぐすっ…影武者…ぐすっ…スライムの…ぐすっ…事なの…ぐすっ…?


「ぐすっ…影武者…?…あっ…僕が居ないのを誤魔化すために…影武者スライムに…僕の代わりを…お願いして…森に入りました…」


「そうだね。影武者スライムに君の代わりを、お願いしたよね」


 そう言えばそうだったよね…完全に忘れて居たって言うか、夜になっていたから焦って完全に影武者スライムの事を忘れていました。


「はい…お願い…しました」


「だからね、今も影武者スライムがエルの代わりをしてくれているんだよ」


 そうだったの?影武者スライムに僕の身代わりをお願いしたのは昼間だけかと思っていたけど、夜も大丈夫だったんだね。でも、人族の御飯でも大丈夫なのかな?


「えっ…影武者スライムが…」


「そうだよ、あの子は頑張り屋さんだからね。大切な友達が頑張っているのだから、自分も頑張っているんだよ」


 …友達。影武者スライムは僕を友達って思ってくれているんだ!友達が僕の代わりに頑張ってくれているのなら、僕も影武者スライム以上に頑張らないと影武者スライムに申し訳無いよね。


「…そうでしたか…済みませんでした、影武者スライムの事をすっかり忘れていました…」


「そう言う事だから、今日はご飯を食べたらゆっくりと休みなさい。明日も森で特訓をするからね!」


 そう言う事なら、影武者スライムに何かお土産を持って帰ってあげないといけないよね。僕のために頑張ってくれているんだから、ありがとうって事で何か美味しそうな物が良いのかな?うん、魔獣か魔物の肉が良いかも!


「はい…解りました。影武者スライムが頑張ってくれているので、僕も頑張ります!」


「そうだね、沢山食べてあの子の分も頑張ろう」


 ウリケルさんが準備してくれていた晩御飯はオークの肉に似た肉を使った料理で、タレと香草に漬けて焼いた物や塩コショウで野菜と炒めた物や味噌って言う豆を発酵させた調味料を使ったスープに、それとライスって言う麦みたいな粒々を炊いた物で、大好きはお肉をお腹いっぱい食べる事が出来て、とても幸せでした。


 明日も頑張るぞ!




 …因みに僕のお漏らしだけど…服とズボンは汚れ防止と状態保存の魔法が掛けられていたから何とも無かったけれど、僕の身体と下着はウリケルさんのクリーンの魔法で汚れを綺麗に掃除されてから、ベッドに寝かせたと言う事でした。幾らなんでも師匠の手を煩わせ過ぎだよね…弟子としてどうなのかウリケルさんに聞いてみたいけれど、怖くて聞けないよね…。

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