プロローグ 少年の思い、そして―――。
ほいほい。
なぜだろう、冗談みたいな設定で書くと結構スラスラ書けるのに…―――。真面目シリアスな物を書こうとすると、急に面白みがなくなる。
まず僕のことを話そうか。
僕が、自分の中にもうひとりの自分『俺』の存在を感じ取ったのは、五歳になろうかという時だった。
別に頭が痛くなったり、膨大な量の情報が流れ込んできたり、寝込んだりはしなかった。
俺は、気がつけばいつの間にか僕の中にいた。
俺は、とっても好奇心旺盛な奴だった。たった五歳にしてブリタニカ百科事典を読破した奴は多分俺が初めてだろう。
六歳の時には、なぜか大検を取り。そして、ハッキングの語源となったとされる某大学の卒業資格を習得していた。
この時点で、すでに義務教育を受ける意義は、俺にも僕にも存在しなかった。
両親も、俺よりもヤンチャな双子の妹と、三歳になりわがまま盛りのもう一人の妹に手を焼き、ひとりで生き急いでいるボクに構う暇がなかったのだろう。
だからこの十年間ボクらは、互の意思の統合へと費やした。
小説や漫画、ゲームなど様々なサブカルチャーを読み込み、科学的だけではない方向で現状を認識し、ついでに豊富な時間を使って様々な方向へと人脈の根を広げ、生きていくために金の流れを作り出した。
ついでとばかりに、自分の体を鍛えることも忘れない。
日曜日の朝流れている変身ヒーロー程度のことはできないと話にならない。
だからそれをとりあえずの目標に定め体を鍛えた。
気がつけばふらり修行の旅へと消え、家にいてもゲームや漫画に熱中している。
学校に行き成長を続けている、妹たちから見えれば、ボク達は立派な引きこもりか社会不適合者だろう。
確かに、その認識に誤りは無い。
俺がいる時点で、ボクらは立派な社会不適合者だろう。
だが、俺のおかげでボクらは生きてこれたのも事実なのだ。
彼の持ち得た知識は、そして、膨大な知識欲は、すでに少しずつ世界を変革の道へと導き始めてしまっている。
すでにボクらは止まれない道を歩み始めてしまったのだ。
後悔はなく、すでに反省もできないところまで来てしまっている。
だから、僕は僕の成さなければ成らない事をしよう。
俺の僕らの幸せを勝ち取るために。
臆病で俺の後ろで震えて世界に怯えることしかできなかった僕は今日で消える。
僕は俺と一つになる。
今日がボクらの最後の日になる。
僕の―――、俺の決意とともに。
「俺は、勇者を倒しに行く!」
嘗て剣と魔法の世界にて魔王と呼ばれた者がいた。
残忍で残虐で世界を壊し滅ぼそうとした魔王は、人々の願いとともに召喚された勇者に敗れ滅びた。
その魂は、輪廻を巡りその日、一人の少年と同化した。
少年の願いを叶えるために。
そして―――。
凍った笑みを浮かべる少女の後ろで、いつの間にかバラエティ番組が終わりを迎え、ひとつのニュースが流れていた。
『今日、未明―――A県相模原市山岳部にて、意識不明の少女が保護されました。少女は格好や所持品などから、半年前に行方不目になった同県相模原市在住の錦織尋さん(16)ではないかと思われており、警察では事件の全貌を明らかにするとともに、付近の住人、被害者への聞き込みを―――』
世界は巡る。
魔王は生まれ落ち、再び勇者は帰還した―――。
役者は揃い舞台は幕を開ける準備を整えた。―――さあ、物語を始めよう―――。
基本設定はこんな感じです。
まあ、暇つぶし程度に、冗談みたな妄想にお付き合いください。
誤字脱字ツッコミ等どうぞ…。
次は、一話に行く前にキャラ設定でも書こうか…。