05 友
建物の下で、嵐を見ていた。かなり、荒れていた。
本当は、こういう男子はちょっと。そう思うんだ。
話しかけたくないタイプ。暗さがあり、何を考えているか分からない。何も、メリットがない。
なのに、話しかけた。確実に飲み込まれている。
男子に、主導権を握られている。そんな感じがした。
「年下だから、敬語いらないよ」
「うん」
「色々、教えてよ」
「まだ」
「時間が少し経ってから、言いたいタイプ?」
「そうそう」
相変わらずの短文だ。五文字縛りが消えたのは、あの時だけだ。
逃げて逃げての性格。男子は、ほぼそれだけで出来ている。
でも、それだけではない。強い部分は強いと感じた。
強い雨の音で、耳が少しおかしい。ビービーする。
「そんな隠さないでよ。何か、言えることはない?」
「ドラマ」
「ドラマ好きなの?」
「はい」
時間は経過した。それからは、大学内で話すことが増えた。
どうも、が口癖みたいだ。いつ会っても、どうも、から入る。
私は、暗がりに飛び込んでいた。暗い場所にいる男子に、飛び込んでいた。
飛んで火に入る夏の虫。みたいなものか。虫とは逆で、闇に飛び込みたくなる方なのだが。
カーカーカー。
カーカーカーカーカー。
男子といるとき、いつもカラスが空を飛ぶ。そして鳴く。カラスは、男子の家来なのか。
男子は、逃げていない。精一杯の攻めをしているんだ。そう今は、思っている。