規則と罰則
真夜中、人通りのない路地裏で、腰にベッタリ血のついたナイフをぶら下げた赤い髪の男が、息を切らしながら紙幣を数えている。
「はぁ、はぁ、はぁ…コレだけありゃ当分は食いつなげるぜ。さっさとこんな街ずらからねぇと」
「おっと。このままずらかられたら、俺らのギルドがメンツ丸つぶれなんだわ」
突然、どこからともなく男の声が闇夜に響いてきた。
「だ、誰だ!」
赤髪の男は驚き、キョロキョロと闇夜に視線を走らせるが、声主の姿は捉えられない。
「どこ見てんだよ。こっちだぜ」
赤髪の男が声の方へ振り向くと、悪人顔に坊主頭の青年がニヤニヤしながら近寄って来る。大きくはだけた胸元にある王冠をかたどったタトゥーが目に付いた。
「うちのギルドは強盗や殺しが禁止でねぇ。破ると王国の憲兵なんかがうるさいんだよ。悪いがアンタ、死んでもらうよ…」
坊主頭の青年は、腰からナイフを取り出して赤髪の男にゆっくり近づいていった。
赤髪の男も黙って殺される気は毛頭ない。血塗れたナイフを構えると、一気に坊主頭の青年に襲いかかる。
「クッソー!こんなトコで死ねるか!」
ブンブン振り回される赤髪のナイフを紙一重で全てヒョイヒョイと避けきると、坊主頭のナイフが一閃赤髪の喉を斬り裂いた。
「ふぐぁっ!」
赤髪は喉と口から大層な血を噴き出しその場に倒れ込むと、ビクビク痙攣した後にただの肉塊へ成り果てる。
懐の札束は血溜まりに飛散し、肉塊はその一部を握りしめていた。
「あぁあ、使えねぇなコリャ。血まみれだわ…もったいねぇ」
血に染まった紙幣を一枚つまみ上げ、悲しそうな表情の坊主頭がつぶやく。




