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もうひとつの日記


真田は橘が例の山本の告白に唖然としている頃、明日に控えたサナの誕生日デートに備え、パソコンでデートコースの確認とプレゼントの用意をしていた。


誕生日プレゼントは、サナの要望で財布に決まりそれは一緒に探すことになっていたがホワイトディのプレゼントは、ロクシタンのハンドクリームと、真田自身が描いたサナのイラストを送ろうと考えていた。別に彼女とかではないが、久々に女の子相手にちゃんとあげるプレゼントなので考えに考えた。


既に似顔絵は完成したので、それを今日、東京の丸ビルで購入した写真たての中にいれて渡すことにしていた。


あの大冒険の日から真田たちは一度も会っていない。メールや電話は毎日のようにしているが、何もなかったとはいえ、家に泊まってしまった手前なにかお互い誘いにくい状況になってしまったと真田は思っていた。もしかしたらユキの日記の中でさなやんとこの期間、会っていないと書いてあったかもしれないが。


真田はなんとなくあの事件があった後、自分の気持ちが一層わからなくなっていた。会わなくても、毎日メールをするし夜になれば電話をする。メールが遅かったり電話に出なかったりすると、なぜか不安になった。今まではそんなことは無かった気がする。特に、最近はサナの顔がはっきりと浮かぶ気がしている。いままでは、あれだけ会っていてもどこか朧げだった。夢にも登場する機会が増えている。ほとんどが、飲んで話している夢のだが…。

サナは現実的に真田の目の前に立っていて、手を伸ばせば手を繋げるし抱きしめることもできる。段々と心の距離が近づいてきていると真田は感じていた。


今こそ、さなやんの話しを聞いてみたい…真田はそう思った。彼もきっと似たような状況になったはずだ。彼はなぜ、ユキにちゃんと告白しなかったのだろうか…彼女の職業が原因なのか、それとも騙されていることに気づいていたのか…


真田も今のところサナに告白しようという考えはない。

その理由は自分でもよくわからないが、なにか喉にひかかっているようにこれ以上先へ進むことを頭が拒んでいた。


真田は、なんとなくネットを開き「年の差」「キャバ嬢」「お話」で検索してみた。淡い期待感なのだろうか…残念ながら真田はリアル・アイをもっていない。意味のない選択なのはわかっていたが無意識に検索してみたのだ。


ほとんどがキャバ嬢の落とし方解説というような内容だった。

まぁこんなもの見て落とせるなら、みんな落としていると思うが…真田はそんなことを考えているとふと、一つの項目に目が止まった。


「ユキのふる夜に」


というタイトルの携帯小説のようだった。真田は、導かれるようにそのタイトルをクリックする。簡単な登録をすまし、この小説のTOP画面にいく。


「これは!!?」


真田は思わず大きな声をあげてしまった。


タイトル ユキのふる夜に


作者  さなやん


バレンタインの夜からはじまった奇跡の物語



真田は、驚愕してしまった。これは…いや間違いなくあの「さなやん」が書いたものだと確信した。ノンブルをみるとタイトルは全て日にちになっている。

小説というよりも日記という方が近いのかもしれない。


タイトル通り、物語は2月14日からはじまっていた。


2月14日


その日、東京は雪だった。


今日、仕事の帰りに嫌なことがあった。嫌というか、切ないことだ。

心は大きく落ち込み、気持ち悪くなり、俺はとりあえず心を鎮めようと

コーヒーを飲もうと思った。周りを見渡すと目の前に、ファーストフード店があった。池袋交番のすぐ前だ。どこでも良かった僕は、その店に入りコーヒーを頼んだ。


席に着き。、周りをみると幸せそうなカップルが大勢いた。

なんか羨ましくなった。(いいなぁ、いいなぁ)と心が叫んでいる。

肘に顔をうずめながら、羨ましそうに彼らを見ていたらいつの間にか寝てしまっていた。ずっと仕事で徹夜だったからだ。


どれくらい時間がたったのだろう

目がさめると、周りの景色が一変していた。軽やかなジャズが流れ、キラキラと光輝いたBARのようなところにいたんだ。ぜんぜん状況が把握できない。

バーテンダーと思しき、老人に話をきいてみると俺は一人でフラッと来たという。僕は夢遊病なんだろうか。


お酒を飲む気分ではなかったが、その老人に強く勧められウィスキーを飲んだ。


と、店のドアが開き、雪とともにその女の子は現れた。すごく若くて、綺麗で、可愛い女性だった。彼女は、なぜか俺に話しかけてきた。


彼女の名前は、ユキといった。




真田は最初のページを読んだだけでこれが、さなやんが書いた日記のようなものだと確信した。次のページにはTOTO BARのことが書いてある。


これは…もう間違えない。


そして、サナの話は本当だった。確かに、ユキとさなやんの出会いはTOTO BARだった。ということは、日記は2つあったのだと真田は思った。


ユキの日記とさなやんの日記…


これを読めば、ユキとさなやんがどのように過ごしてきたのかを知ることができる。つまり、この先さなやんがどう行動をして何が起こったのかを知ることができるはずだ。


真田は急いで、先を見る。


だが日記は結局3月13日までしかなかった。

そう、未来は残念ながらわからず終いだった。














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