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これ、恋愛小説なんですけど…


橘は、その夜リアル・アイについての考察をまとめた。


このシステムの恐ろしいところは、瞬時に人の行動を読み取れることにある。もちろん今の技術でもビッグデータというものがあり、そこから情報が読み取れる。検索サイトでハワイ旅行を調べると、その次からは旅行サイト、航空会社のサイト、お土産のサイト等のリンクが出るようになる。


だが、山本の話では、ネットを使っていないことまで読み取っている。新宿伊勢丹で買い物をしたことがそうだ。あの時はカードを使わず現金で買っている。伊勢丹の会員にもなっていないので情報はでてないはずだ。


さらに、ケイとのやりとりは途中でメールからラインに変わっていた。電話の回数まであてている。しかもあの時は、スマホではなく別の携帯からかけている。つまり仕掛けたスマホをかえしていなくても人の行動が読み取れるのだ。


メール、電話、ライン、更には別の携帯でも…


しかも時間がまったくかからず情報を集められている。山田は、あの時にケイからきたメールの時間だけでなく、内容まであてている。


もちろんこれを商売に利用するとすごいことになる。情報が命の現代社会で各個人のリアルタイムの情報ほど素晴らしいものはない。これが既存のビッグデータとつながったとしよう


例えば、今回のように橘がケイに飲みに誘うとする。


メールと電話の内容をみれば、橘がケイに惹かれていることがわかる。おそらくデータ化していけば、惹かれている 好きである 溺愛している まで内容でわかるだろう。

年収700万で貯金が300万あるの30代の既婚男が、恋に落ちた場合、どこにいくのか 何を買うのか どこで口説き、どこで夜をともにし、どこで別れるのか 全部丸分かりだ。しかもその時の状況、言葉、だけでなく相手の特徴までわかってしまう。


成功体験、失敗体験も集まるだろう。経済という点だけでもすごい情報となる。


だが、本当に怖いのは支配されることだ。現代社会でも行動は支配されかかっている。


だが、このリアル・アイを使われると「気持ちや心の奥底」まで支配される…橘はそう感じていた。


ケイが、今は橘のことを好きではないとする。恋人がいてそこそこ幸せにくらしているとしよう。


だが、ずっとその幸せが続くことはない。喧嘩もするだろうし、仕事がうまくいかなくなり凹むこともある。経済的に困窮することもあるだろう。


だが普通はその状況になっても、ケイが橘に相談してこない限り、橘がその事実を知ることはない。


だが、この状況を橘が知ったらどうなるか。橘が本当にケイのことを好きならこれはチャンスとなる。リアル・アイはその膨大なデータをまとめ、いつ、どこで、何をしたら ケイが橘に心が向くかまで教えてくれることだろう。


だがこんな話は小さな小さなことだ。国家間、巨大な取引、戦争、テロ そんな場面で使われたら、知っているものと知らないものの差は歴然だ。 


橘はこの話を早く真田に伝えたかった。



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